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2013年04月28日
「まちのえんがわ」の素
ゴールデンウィークが始まり、木村工務店では、4月28日29日と5月3日4日5日6日の暦通りのお休みを頂戴するのだけれど、引き渡しに向けて仕事をしている現場もあって、何かしらの気がかりを持ちながらのゴールデンウィークとなるのは、いつものこと。すっかり忘れている時もそれなりに多いが、ふとした瞬間に気になって、現場が無事でうまくいきますように。と願ったりする時も多々ある。
ここ数年GW前半の4月の連休は丹沢の「堀山の家」に登山する。ビーパルに紹介されたりして、少しだけ知られるようになったのだけれど、山小屋の主人とは、30年来の友人で、毎年12月にはクリスマスリースを届けに大阪まで遊びに来てくれる。昨年の12月には一緒に滋賀県のミホミュージアムまで縄文土偶展を見に行ったりし、まぁ縄文友達であり、ジャズ友達でもあったりするわけで、そんな山小屋で、いろいろな人たちと四方山話をするのが、毎年の楽しみのひとつ。
それで、木村工務店で運営する「まちのえんがわ」の着想の元には「堀山の家」の存在があって、山小屋の中から、丹沢の塔の岳に登り降りする登山者を眺め、小屋に立ち寄る登山者と触れあい、宿泊する登山者と語り合ううちに、大阪の下町の中に、道を行き交ひとが、立ち止まり、ひと休みする、山小屋のような居場所があったらどうなるのだろうか・・・。「住宅」が持つ「縁側」と同じようなようなものを、「企業」が「縁側」の機能を持ったとしたら、どんなコミュニケーションが生まれるのだろうか・・・・。という、この二つの想いが融合して生まれたのが「まちのえんがわ」だといえる。
そんなこんなで、本日はこれから、「まちのえんがわ」の素である「堀山の家」へ行って、親交を深めてこようとおもう。皆さん、素敵なゴールデンウィーク前半の連休を!
↑ 4月29日朝の塔の岳山頂からの眺め。
↑ 登山道で出会う「道」。土の色と木の植生と道の曲がり具合が好き。
↓ 塔の岳へ向かう大倉尾根の途中にある「堀山の家」
2013年04月21日
継続のエネルギー源
4月20日土曜日は穀雨だと24節季カレンダーに書いてあって、春の雨が田畑を潤し穀物の生長を早めるらしい。まったくその暦どおりに雨が降り、その雨が今日の21日日曜日の朝まで残って、午前5時30分に目を覚ますと、雨で、ランニングが出来ないことに残念がる気持ちとともに、堂々と寝られる・・・。みたいな気持ちもあって、こういう心の「ぶつくさ」にいつも翻弄される訳で、「続ける」というコトは、この「ぶつくさ」を眺めつつ、やり過ごす「コツ」をつかむコト。なのではないのかとおもう・・・・。
また冬に戻ったのかと感じるほど寒い本日の日曜日は、ステンドグラスワークショップの日で、まちのえんがわワークショップは私の「趣味」でやってます。と公言しつつも、シャチョウの趣味に付き合わされる社員や職人さんという構図もあって、もちろん申し訳ない気持ちもあり、でも社会や会社のためになるのであれば「続けたい・・・」みたいな気持ちもあって、そんな時に前回のブログにあったような「出張ワークショップ」の依頼があると、他からも興味をもたれているという、そういう出来事が、この私の心の「ぶつくさ」と葛藤をやり過ごす役目を担ってくれる。
生野区の行政の方々が、「まちのえんがわ」に興味を持ってくれて、本日のワークショップを見学するために6人ほどでお見えになった。月1回のワークショップを一年間続けてみて、今年はどんな内容にしようかと悩んでいたら、出張ワークショップや生野区との関わりが唐突に芽生えてきて、「まちのえんがわ」という活動そのものをシエアーし、見つめ直す機会が、「まちのえんがわ」とワークショップを「続ける」エネルギーを得るために必要な要素であれば、やってみよう!なのだろう・・・・。
そうそう、本日のステンドグラスワークショップは、東成ブリキ職人製作の銅板容器に自分たちでカットしたステンドグラスを半田付けし、それに多肉植物を植えるというステンドガラス作家の田中共子さんとのコラボレーションで、それは「ものづくり」というものがもつ性質が、独立した状態から共存したがるような「癖」があって、まさしく「建築」というものづくりは、さまざまなコラボレーションによって成立するわけで、そんなこんなで今年のワークショップは、コラボレーションを目指すワークショップとなっていくのだろうか・・・。
「継続」のためのもっとも大きなエネルギー源が、お客さんとの共有体験による「笑顔」なのかもしれない。ありきたりのコトバですが、参加者の皆さん、thanks!
2013年04月14日
出張ワークショップ
朝、目が覚めると、午前9時前だった。ぐっすり眠ったような。全然眠ていないような。とにかくもっと眠りたい気分。そういえば、昨日はけっこう大きな地震があったな。とぼんやりとおもう。そうそう、眠りについたのが午前5時だったのだ。この頃、日曜日の朝のランニングが途絶えていて、今日こそは、と心していたのに、やっぱり今日も無理みたい・・・と心が呟いているのを半寝の「私」が眺めているという構図。
「えんがわ友の会」なんていう会が、なんとなく自然発生的にできあがって、「まちのえんがわ」のスタッフのアオキさんを中心に、廃材プランターのイエタニさん、ステンドグラスのタナカさんのワークショップ講師と共に、お施主さんでもあるカワタ夫妻、うちの庭のお花畑を担当してくれているタマンサリのヤマダ夫妻、横浜のアーバンリサーチの床貼りをしてくれた大工のハルモトくん、「まちのえんがわ」の棚にセレクトショップ「ovest design 離れ」をオープンしてくれたカサイさんと近所に住む画家のタカヤマさんの二人が新に加わり、最近うちの会社の社員になったオオムラくんが住む戦前の長屋、この長屋は、うちのおじいちゃんが建てた当時としてはちょとだけ高級な長屋だったらしいのだけれど、その長屋に集結しての宴会だった。それが、午前0時に終わって、そのあと、うちの会社の3階のサロンで、2次会が続いて、気付いたら午前5時になっていた・・・。そうそう!今日は、出張ワークショップの日で、神戸に午前11時到着の予定なのだ。白々と明ける朝の空気を感じながら慌てて退散するが、そういえばサロン横の和室では、何人かが寝ていたな・・・。
NHK文化センター神戸から「光る泥団子を作ろう!」というワークショップの依頼があって、それが今年の1月の事。まぁどうしようかなとほんの一瞬だけ躊躇したが、とりあえず日曜日なら、ひとつの「趣味」と捉えて、1回だけトライしてみようかとおもい、左官山本組のヤマモトさんの協力を得て催す事にした。それが、今日の13時から15時のワークショップ。
毎月開催している木村工務店加工場で催すワークショップの雰囲気とはかなり違う会場の空気感なのだけれど、それでも、子供さんとお母さんを中心にした20人の参加者の方々は、「まちのえんがわ」にお越し下さるお客さんと共通の雰囲気が宿る。
3人のお孫さんを連れて参加されているバァーバがいらっしゃって、自分も一緒に泥団子をつくりながら、「ひーかれ、ひかれ、さーちゃんのどろだんご」なんていう呪い(まじない)を歌いながら光る泥団子を孫さんと一緒に作る姿があって、そんなのを見ていると、縄文土器や縄文土偶の姿と重なり合って、きっと願い事を祈りながら土をこねていたのだ。一生懸命造った願い事をこねた「土物」をわざと壊すコトによって願いを成就させていたのだ・・・と、想像しながら歌を聴いた。
最後に皆の作品を並べて、自分以外の作品に投票をしてもらい、優勝者を決めて、うちの現場監督のトクモトが製作した古材多肉植物プランターを進呈したのだけれど、ある小学生が、あーぁ、誰も僕に投票してくれなかったわ。今度、絶対、がんばるからなぁ!なんて。まぁ、こんな気持ちをこんな手法で湧き上がらせたのが、良かったのかどうかそれは解らないが、それでも印象に残る光景だったのは確か。
別の小学生が、今度いつ開催するのですか、また参加したいです。なんて言ってくれるとそれなりに嬉しいもので、かなりの寝不足で、ワークショップが終わったら、ぐったりと疲れてしまうのかと思っていたら、それどころか、子供さん達の笑顔と一生懸命さと多くの「ありがとうございました」というお礼のコトバをもらって、私のほうがエネルギーをもらったような感じ。こちらこそ「ありがとう」なのだろう。そうそう、参加者のある女性が、帰りのエレベータで、ヤマモトさんと私にリポビタミンDの差し入れで労ってくれた。それを帰りの車の中で飲んだのだけれど、「元気一発リポビタミンD!」の味と共に、なぜかとっても不思議な印象が残る出来事になった。
そういえば、左官山本組のヤマモトさんが、帰り際の駐車場で、「やっぱりものづくりはエエわ。いっぺんに皆と親しくなって、コミュニケーションがスムーズになるわ。」というコトバを発して、それが残像のように脳裏に残った出張ワークショップだった。ヤマモトさんにも感謝の意を表しておこうとおもう。
2013年04月07日
コミュニケーションの道具としてのロードバイク
ロードバイクの話をこのブログに書くと、何人かのひとから、シャチョウ、最近自転車乗ってるらしいですね。と話しかけられて、それで、そうそう、実はね・・・。なんてかんじで、調子に乗って話しているうちに、私自身が、かなりの自転車好きのような錯覚にとらわれて、っといっても、たかだか1ヶ月ほど前に、買っただけのこと。既に自転車好きのひとからすれば、今頃何を言っているのぉ、なんて感じだと思うのだけれど、とりあえず、サイクリング以上ロードレース未満。スピードを出すなんてとんでもない。ちょっとした山には登りたいのだけれど、ヒルクライムと呼べるほどのパワーがあるはずもなく、それでもそれなりに、少しスポーツよりに自転車を楽しもうとおもう。
先週の日曜日は、ウィリエールのキタムラくんに誘われて、京都府美山茅葺きの里へ、自転車を車に積んで出掛け、里山の道を45kmほどサイクリングする。街の中をサイクリングするのとは違う楽しさがあって、それは通常の歩くスピードの3倍速で、山や川や村の景色を眺めることができる魅力とともに、気になったところで自転車を気楽に停めて見学したり飲んだり食べたり出来ることが魅力なのだろが、何よりも景色を眺めながら適度なスポーツとして坂を登ったり下ったりして汗を流すのがエエのだとおもう。そうそう、それにもうひとつ付け加えるのなら、自分の愛馬を持ったような美しい道具を所有する魅力。
こんな感じでサイクリングをしたのだけれど、道中でさまざまなコミュニケーションがうまれて、それがなんとも不思議な感じがし、ロードバイクとその服装の雰囲気がそうさせたのだろうか。そういえば、先日の「旅は道連れ建築行脚」では、参加者の中での会話ははずんだけれど、外のひととのコミュニケーションはほとんどなかった。
朝、モーニングを食べるために、走り出して10分ほどのところで見つけた水車が回る喫茶店に入ると、どうも地元のひとが集まる喫茶店のようだった。珈琲とパンを頼んだら、今日はパンがないのでと言って、カステラと卵を出してくれて、囲炉裏の上に置かれた暖炉の上の「おかき」もすすめてくれる。それで「珈琲と卵とカステラとおかき」という、きっと生涯二度と味わうことがないとおもわれるスペシャルなモーニングを食べた。
地元のおっちゃんとの話がはずんで、田舎暮らしを望んでやってくるひとが長続きしない話や、ここの電灯が水車による発電で担っていて、その発電をするための水車の直径は2mがエエのや。という話などなど、気付いたら30分ほど経過していて、まだ2kmほどしか走っていない・・・。そういえば、帰り道にこの水車の喫茶店の前を通過すると青いシャツを着た店主が店の前で水車をいじっていて、自転車で走りながら、今朝はどうもおおきに!と声をかけると、気ぃつけて行きやぁ!と手を挙げて応えてくれた。
茅葺きの民俗資料館があって見学する。柱と梁をじっと眺めて不思議な顔をしながら立ち止まっているヘルメットを被った黒い服のスパッツ姿の「私」を見て案内の女性が、実は火災で焼けて全て新しい材料で建て替えたのです。と説明してくれる。そんな訳で、古民家の魅力と言うよりは、新築でもこんな茅葺き民家は出来るのだという、へんな魅力を感じながら見学した。
道中、お米で出来たパン屋さんに立ち寄り、ようやく、モーニングのパンにありつけたり、ポストの前で記念撮影をしたりするという、とってもベタな観光客的楽しみ方をするのがサイクリングとしての面白さなんだろう。そうそう、トイレ休憩をしていると、停めているロードバイクを見て話しかけてくる家族があって、民俗資料館でも一緒になったひとで、あーだこーだと面白可笑しく会話をしているうちに15分ほど過ぎていく・・・・。京都市内から自転車できている高校生のロードレーサーと出会う。まぁほとんどの場合、まず声をかけるのはキタムラくんで、20万円以上するロードバイクを買って、本気で走っている高校生がいるなんて、まったく知らなかった世界観。考えてみれば、これまで、いろいろと旅しているけれど、これだけ短時間に見ず知らずのひととコミュニケーションをした経験はそうそうない・・・・。
ところで、工務店のシャチョウとして、遊んでばかりのように思われると、ちょっと困るので、ロードバイクを家で吊り下げるために、どうしたらよいのかを思案してみるという、ちょっとした義務感が押し寄せてきて、それでスケッチを描いてベッショ大工に相談すると、ここをこうしてこうやれば簡単に出来そうなので、試作を造ってみますわ。といって、現場から早めに帰った時に試作してくれた。「木」なので、カーボンを傷める心配もなく、それはそれなりにエエ感じなのだけれど、ロードバイクが大工とのコミュニケーションを誘発してくれたのだとおもう・・・・。
ちなみに「私」が自転車に乗っているときに感じるリズムと気分は動画のバックで流れるマイルスの「メイーシャ」。そんなこんなで、先月のブログも含めて、こんな一連のロードバイクにまつわる出来事が、ひとや街や村や自然やお店や音楽や身体との「コミュニケーションの道具としてのロードバイク」なのかなとおもう・・・。
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