2006年05月07日

五島列島の旅(その1)

RIMG83 五島列島上五島と呼ばれる島々の集まった地区があり、 そんな小さな島に29もの教会があると知ったのは、 インターネットのおかげだった。なんで、 五島列島に教会を見に行くことになったのかと言えば、それは、 前にもブログに書いたのだけれど、ひょんな事から、クリスマスを教会で過ごし、 それが、それなりに良かったことと、その教会がヴォーリスが造った木造の小さくてかわいらしい教会だったことがきっかけだった。 それで、モダンな教会ではない、そして古い、しかも日本的な教会を見てみたかった。

3・4・5の三日間でどうやって、大阪から五島列島まで行って戻ってこれるのか、 調べてみた。あいにく、6日には同窓会があって、どうしても、大阪に戻る必要があった。1週間ほど前にフェリーの予約を調べてみると、 長崎から五島市がある福江島と呼ばれるメインの島に行くめぼしい便は、 どれも満席だった。それで、仕方なく、福江島を諦めて、佐世保から上五島を往復するフェリーに決めた。

RIMG00163日の朝8時の便に乗るため、2日の夕方、大阪を出て、佐世保まで、730キロほど、走った。 佐世保港から 五島列島の有川港までフェリーで2時間30分ほどかかる。出航してまもなく、海がしけていて、かなり揺れた。 到着も10分ほど遅れた。息子は、酔って、吐いたらしい。私はそんなことも知らず、運転の疲れもあってか、まるで、 揺りかごにゆられているような気分になって、ぐっすりと眠りこんでしまった。

そうそう、どの教会を回るかが、なかなか問題だった。事前にインターネットから調べてみると、小さな島だけれど、 三日間で29もの教会をまわるのは、どうも無理そうだった。それで、どの教会を回ろうかとチェックしていくうちに、今、 文化遺産として登録しようとする動きがあり、その主だった教会を造っているのが鉄川与助という人物であるということを初めて知った。 その孫さんが制作しているホームページがあり、 設計施工という立場で教会を造っているのだと知ると、なんだか、私たち工務店と同じ立場の大先輩だと判ってきて、いっそう、 親近感がわいてきた。まぁ、そんなわけで、とりあえず、上五島にある鉄川与助が造った教会を全て見て回ることで、 今回の旅は良しとしようかなぁ・・・ということになった。

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まず、頭ヶ島教会を目指した。石造りの教会らしい。途中にあった黒崎峠という所で休憩をして、島を眺めることにした。 展望台で広場を見つけた息子は、いきなり階段を引き返して、サッカーボールを取りに車に戻った。そして、 広場でサッカーのパスをさせられたのだぁ・・・。到着して、まだ、船に乗っているような気分がつづく中、 父親家業というのもなかなか辛いものがあるなぁ・・・とぶつくさおもいながらボールを蹴っているうちに、船酔い気分もとれて、それはそれで、 スカッとしてきたのだ。以降、「教会を見るのは遊びじゃぁないでぇ」と、まぁ、子供にとっては、しごく、 当たり前の正論をまっ正面からぶつけられ、各地で広場を見つけるたびに、 サッカーかキャッチボールかフリスビーのいずれかをすることとなった。

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頭ヶ島教会は海岸のすぐ近くの山あいにある石造りの教会だった。あいにく、 工事中で足場におおわれていた。「ついてないなー」 なんて思いながら近づくと、RIMG0133石造りといいながらも、実に、 かわいらしい、 大きさと形の教会だった。いわゆる、 アカデミックな建築とは言えないのだろうが、写真で見る以上に、 かわいらしいスケールなのだ。 1919年(大正8年) に落成とある。それにしても、こんなへんぴな場所に、よくもまぁ、 これだけのものを造ったなぁ・・・ と感心する。 確かに神社もお寺もへんぴな所にあるよなぁ。工務店という立場で考えてみると、 神社仏閣のように伝統的な手法とその職人技だけに頼る事が出来ず、 全く新しい教会建築をこんな場所でチャレンジしていくということを考えてみると、職人さんも大変やったろうなぁ・・・ 現場監督も苦労したやろうなぁ・・・お金の工面も大変やろうなぁ・・・と、以後、鉄川与助の造った全ての建物と立地条件を見て、 そう思うこととなる。

RIMG0085RIMG0099中に入るとミサをやっていた。前に立っている牧師さんはどこかで見たことのあるような・・・、 と思っていると、奥方が、「フェリーに乗ってた人」そうそういえば、前に座っていたなぁ・・・。 マイクロバスで数十人と巡礼をしているらしい。以降、何カ所かですれ違うことになる。 内部は石組みの上にハンマービーム架構と呼ばれる木組みが表されており屋根を支えているらしい。それにしても、 なぜ祭壇の正面に窓がないのだろうか・・・・とちょっと違和感を憶えた。外に出て、ぐるっと回ってみると、窓を埋めた後が・・・。 建築中にな~んか、あったんやろうなぁ・・・と想像を巡らしてみた。

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頭ヶ島教会の目の前は海だった。ちょっと散歩してみると、白浜遺跡と書いてある石碑があった。何でも、 縄文時代の遺骨と土器が発見されたらしい。こんな所にも縄文人が住んでいたのか・・・とおもった。まぁ、いつも思うのだが、 縄文の遺構のある所は、のどかで、平和な感じの場所が多いなぁ・・・と。近くに、小さな公園もあった。そんなわけで、息子から今度は、 グローブとボールを手渡された。まぁ、「イエス」というしかなかった。素直な「私」は教会でお祈りした効果かもしれない・・・・。 そんなわけで、奮発して、海岸べりで、サッカーもし、フリスビーもしたのだった。
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 お腹が空いてきた。五島うどんでも食べに行こうということになった。五島うどんは日本の三大うどんのひとつらしい。 五島列島を知るまで、そんな事は、全く知らなかった。フェリー乗り場まで戻れば、大きなうどん屋さんがあるという。 今きた道を戻ることにした。帰り道の坂から再び頭ヶ島教会を眺めた。

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(つづく)

 

投稿者 木村貴一 : 2006年05月07日 21:10 « 五島列島の旅(その2) | メイン | ほろほろと やまぶき散るか 滝の音 »


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