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2008年02月24日
はいはい
だいだい「はい、はい」と二回続けて、返事をする時は、全身全霊の「Yes」 じゃない場合が多い。何というのか、言われたことを 「振り払う」とういう感覚かな・・・・。あえて、「ふりはらう」を「ふり祓う」と表現した方が適切なのかもしれない。
社内でも、その「はぁい」には「いいえ」が含まれてるのとちゃぅかぁ!なんて、現場監督と揶揄しながら話す時があって、「はい」 という返事のニュアンスを研究すると結構面白いかも。
そんな事を思い出したのは、三つのことが重なったからだ。ひとつは、先日訪れた繁昌亭の落語で、だいたい「ほんま、ほんま、ほんま」 と3回言う時は嘘ついてる時やからねぇ・・・・・。という落語のくだりがあって、会場内が爆笑で包まれた。
その瞬間、自分の息子の事や、奥方の返答、自分自身の返事、社内での現場監督とのやりとりなどがハイスピードで頭の中を駆けめぐり、 そう言えば、何時か、「はい」の研究でもして、その「はい」は「ほんまにはい」なんかどうか研究せなアカンなぁ・・・・。と、 社員と談笑しながら語ったことを思い出し、「ほんまほんまほんま」と「はいはい」が頭の中で遭遇をした。
もうひとつは、テレビを見ていたら、あるタレントさんが、「部屋に入ったらパンパンと手をたたいて、部屋からヘンな霊を追い払うのぉ」 と語った。その言葉の「追い払う」と「パンパン」が、なぜか「はい、はい」という返事の仕方と結びついてしまった。
もうひとつは、会社にお稲荷さんが祀ってあり、正直、あまり興味を しめしていない「私」が、 そこにあって、無かったら無かったで、良しなのだけれど、あるのであれば、それなりに世話をしなければ・・・・。
10年前までは、会社のお稲荷さんで、初午祭とやらを協力業者の皆さんを招いて、安全祈願祭としてやっていたのだけれど、 いつ頃からか、その祭りもなくなり、弊社の会長だけが拝んでいた。
そこで、先日、久しぶりに、協力業者の会員さんを招いて、社員共々、現場の安全を祈願した。神主さんが、その時奏上した大祓詞 (おおはらへのことば)の訳文を皆に配って下さった。
その訳文によると、「・・・・多くの神々を何度も何度も集めて、何度も何度もご協議され、日本の国を安らかな国で、 平和なところであるように治めなさいとご依頼になりました。」とあった。へぇー、やっぱり、事をはじめるのには、まず、 コミュニケーションが大事なんだ。神々もそうしたの。「千と千尋の神隠し」の映画のシーンがよぎっていく。
そして、こんな事も書いてあって、「・・・沢山の罪が出てくるでしょう、その罪が出てきたなら犯した罪を神事によって、木の元を切り、 先を切り取り、沢山の机に積み上げ・・・・」「・・・すると、天津神は・・・、国津神は・・・お聞き下さるでしょう」「すると、・・・・ 神がどこともなく運び去って無くしてしまうでしょう。このように運び去ると・・・・・全ての罪は無くなると祓い清める様子を・・・・・ お聞き下さいと申し上げます。」あっ、そういう事。地鎮祭などで、榊(さかき)というあの木の枝を机に積み上げるのは、そういう事なの。
そんな訳で、先日、手拍子を「パンパン」と打ったことで、 「職人さんや社員や私の失敗は祓い清められたということになって頂くとありがたい・・・・とお聞き下さいと申し上げます。」と、思った事が、 先ほどのテレビタレントの「パンパン」と結びつき、妙に「はいはい」とくっついてしまった。
それで、「お稲荷さん」にちょっと興味をもってグーグルで調べてみる。そしたら、こんなページにぶち当たった。 そこには「・・・・・・、弥生時代以来農耕民族となった日本人は、田圃を耕して稲作をして生きます。田を耕すためには、 自然の土地を開墾しなければなりません。自然破壊の祟りを恐れ、稲荷神社を建てて森に棲むオオカミ(大神)を祀り、稲の豊作に感謝し、 お稲荷さんにお供えをしたそうです。・・・・・オオカミが狐に転じたのか、・・・・・稲荷神社と言えば、いまではお狐さんを祀ります。・・・ ・・・」と。
お稲荷さんって、環境問題と関わっていたのか・・・。そうか。建築というのは、どちらかといえば、 自然を破壊しながら家を造っていくわけで・・・・、まぁ、これからは、今まで建てた家の事も含めて、 自然に対する畏敬の念をもってお稲荷さんに「パンパン」としたいとおもう。
2008年02月17日
今、ふたたびの 古典
町内会の集まりで、「天満天神繁昌亭」に行った。 テレビで落語を聞いた事はあるけのだけれど、寄席で「生落語」を見るのは、初めてだった。
意外と小振りな建物。外壁はALCか・・・。きっと、この建物は、コストパフォーマンスが良いのだろうなぁ・・・。外部に提灯が沢山。 デザインとして飾ってある。中に入ると、天井にも沢山の提灯が・・・。天井の照明が提灯を通して柔らかく降り注いでいた。
2/17 (日) |
森乃石松 林家染左 笑福亭喬楽 ビックリ!ツカサ(奇術) 笑福亭仁扇 露の都 //仲入// 桂坊枝 桂一蝶 レツゴー長作(漫談) 桂あやめ(第一回繁昌亭奨励賞受賞記念) |
私たちが聞いた出演者は、こんなメンバーだった。テレビで見るとひょっとして、面白くないのかもしれないが、「生」で見ると、 それなりに面白い。いやいや、けっこう笑えるのだ。
M-1選手権などに比べると、ネタは古くさいのだが、「臨場感」と「間」が笑いを誘う・・・・。いやぁ、また、 行ってみたいなぁという気持ちにさせられた。2000円という価格も手頃だしね。今度、会社で、行こうかなぁ・・・・。
それよりも何よりも、満員で、盛況だったのには驚いた。入場するのにも少し並んだ。立ち見も出ていた。年齢層が高い。 私は48だけれど、その私から見て、年齢層が高いのだ。若者だけでなく、そういう年齢層の人たちで、盛況で、 活気のある町も良いではないかと、想像してみた。
そうそう、そういえば、先週、ちょこっと京都に行った。それは、突然、京都散策を兼ねて、 東山魁夷を見に行こうと奥方が言い出したからだ。奥方と東山魁夷の結びつきを少し可笑しく感じながら、まぁ、同行した。川端康成と東山魁夷の展覧会だった。 へぇーそんな結びつきがあったのかと・・・・。
繁昌亭と同様に、会場の年齢層が高く、そして満員だった。何よりもそれに驚いた。そして、古典な落語も、古典な絵も文学も、 どうしても、見に行きたいと思うわけではないのだけれど、「生」で体感すると、おもいのほか新鮮な印象を感じ取っている私が、 そこにいることに、驚く。
新しい結びつきを伴った「今、ふたたびの 古典」というのもエエものかな。そして、それは、建築でいうと、工務店でいうと、 どういうことになるのだろう・・・・・。
2008年02月10日
大阪に雪が積もって
土曜日の朝、打ち合わせをしていると、雪が降り始め、一時間後には雪が積もった。大阪では、珍しいことだった。
雪の中、うちの会社の前で、あっ、原付バイクのおっちゃんが転けた。その横を、 スイスイと大阪のおばちゃんが、片手に傘をさしてながら自転車で通り過ぎていく。それも、何人も通り過ぎていく。
きっと、家に帰ったら、食卓のテーブルで、「今日は、すっごい雪やって、 自転車乗ってたら、滑って、転びそうで、 ほんま怖かったわー」とかなんとか、にこやかに、しかもわりと大きな声で喋りながら、それとなく自分の運転技術を自慢しているのだろうなぁ・ ・・・。
それが、大阪のおばちゃんの雪の楽しみ方かもしれないなぁ・・・・。なんて言うことを、 今朝の朝刊の三面記事に掲載されていた、大阪の子供が、雪が降ったことに喜んで、雪遊びをしている記事を見ながら、思い起こした。
その横には、橋下知事の記事があって、「どうなっていくんやろー」と、確かに興味がわく。前知事は、女性だったけれど、 大阪のおばちゃんという感じではなかったような。やっぱり、大阪の元気は、 大阪のおばちゃんの持つバイタリティーと陽気さと何だかよく解釈できないsomethingが必要なのかも・・・・。
そんな事を書くと、突然、マイルスのサムシン・
エルスというアルバムを思い出してしまった。正確には、マイルスのアルバムではなく、
キャノンボールアダレイがリーダーで、そのもとでマイルスがトランペットを吹いている。と書かれてあった。題の意味は、
「
なんていう意味があるらしい。そういう何かが求められているのか。と、ふと考えてみた。
建築業界だって、「何か別のもの」が必要なんだろう・・・・。
そうそう、また、今朝の事を思い出す。目が覚めると、まだ、雪が残っていた。いつも見慣れている、楠の横に、 雪がこんな造形をつくっていた。いつもと違う「何か別のもの」だな。
その奇妙な造形の雪を眺めながら朝刊を見ると、こんな記事に目がとまった。
このブログでも、問題な日本語をいっぱい使っているのだろうなぁ・・・・。KY式も使っていくのだろうなぁ・・・・。
子供の教育問題も確かに気になるよな・・・。職業的に言えば、子供部屋はどこに造れば・・・・。どれぐらいの広さが・・・・。 子供はどこで、勉強をするのが・・・。友達との家遊びは・・・。 何て、考えることそれなりにあるよなぁ・・・・。
昨年、 訪れた屋久島で、シカ食害か。環境問題なぁ・・・・・。
森ビルの森社長さんの記事があって、「だからこそ、世界の知や文化、情報、技術の交流拠点になり、協働や新結合を触発する空間・機会・ 仕組みを提供する都市が必要なのです。」と。
「六本木ヒルズでは・・・・たくさんの挑戦をしました。ここで行った新結合の意味を正確に理解している方は少ないでしょうが・・・・。 」と。
「世界は挑戦者を待っています。世界はオープンマインドです。日本独自の視点・視座と国際的視野をもって、 共に大きな世界にチャレンジしましょう。」と。
たまに、雪が降ると、雪が静かにものごとを考えさせるのだな。
2008年02月03日
便所
だいたいにおいて、趣味のエエ便所というものが、どういう便所の事をさすのか・・・・。と、そんな議論したいわけではないのだけれど、 ひょんな事から便所の話になった。
先日の金曜日の夜、石井良平さん設計による目神山の家で、大工さんを招待していただいた 食事会があった。大工さんが出来上がった家にお伺いをするのは、メンテナンスの時がほとんどで、
こういう機会はめったになく、まして、大工と左官で作られた現代風の茶室で、お茶を一服頂戴するという経験は、
大工さんにとっても左官屋さんにとっても、そして私にとっても貴重な経験となった。この場をお借りして、お礼を申し上げます。
そのお宅の便所の鏡と照明が格好良かったので、材料は何を使って、どうやって施工したのぉ。 と問いかけると、結構、時間掛かって、苦労をしたんです・・・・。と、大工さんと現場監督。あれやこれやと、 設計者やお施っさんを交えて、 談笑した。
そんな話のなかで、我が社の1階の加工場にある便所の鏡を思い出して、話題にした。それは、確かに、 趣味の悪い便所といえるのかもしれない。初めて入った人は、えぇ何でぇと、驚く。と言うよりは、少し嘆く。
先ほどの写真と同じように、扉を開けると鏡があるのだが・・・・
だいたい、男子が、小をいたすと、かような状態で、「自分自身」と対峙する羽目になり、何とも言えない気持ちに陥る。大の時は、 ドカンと目の前に、それなりに頑張っている自分の顔と出くわす。弊社のT桝氏に言わすと、「自分を見つめ直すための部屋」らしい・・・・。
もう10年近くなるのだが、何時、誰が、その鏡を設置したのか、いまだに名乗り出るものはいない・・・。誰もが、 その鏡を簡単に外す事ができるのだが、誰も外そうとしない。私もなぜが、その鏡に手を掛けないでいる・・・。 趣味が悪い悪いと言われ続けながら、なぜか、使用頻度の高い人気の便所だ。そういえば、社員や職人さん、ほんとうは、 どう思っているのだろう。今度、聞いてみよう。
こう書いてみると、趣味の悪い会社と思われ、今後の受注に響くかもしれない・・・。それで、
もうひとつ2階の事務所にある便所を紹介すると。それは「ゴッホの部屋」と呼ばれている。(今、急遽、そう呼ぶことにした)
小便器に立って、左を向くと大便器の向こうに、茶色のモザイクタイルを背景にした、ゴッホの「夜のカフェテラス」がある。 ゴッホとミッキーマウスのトイレットペーパーが絶妙に、アンバランスなのだ・・・。
大便器に座ると、小便器越しの正面に、白のモザイクタイルを背景にした、「種まく人」がある。「種まく人」 を見ながら大きな用をすませ、肉体的に、スッキリすると、なぜか元気になる。あらためてこうして、写真で見ると、 この便所が趣味がエエかどうか、確かに疑問だなぁ・・・。
そういえば、うちの家の便所には・・・・・・
年表や、四文字熟語、単位換算表、二桁九九、歳時記カレンダー、地図と、小学校5年生の息子の勉強のための便所と化している。
彼にとってはありがた迷惑な事だろうなぁ・・・。時として、私は「はまる」。意外と、勉強になる・・・・。私よりもおそらく、奥方のほうが、
この部屋で、いちばん勉強しているのかもしれない。まぁ、その割には、その成果があまり、感じられんけどね。いづれにしても、やっぱり、
あんまり趣味エエとは言えないなぁ。
そうそう、矢部達也さん設計による「コトバノイエ」 の便所も凄い。オープンなのだ。それも台所の横。勿論、仕切りがあるし、上下がオープンな扉もついている。趣味がエエのかといえば、 悪いのかも知れない・・・。が、しかしそれはそれで、それなりに格好エエのだ。そして、その家と家族にとっては、マッチしているのだなぁ。 確かに、外ものには、用を足す時、ちょっと勇気がいるけどね。それが、妙に、「意識の目覚め」を呼び起こし、いつも以上に慎重に用を足す・・ ・・・。
まぁ、そんな訳で、、趣味のエエ、悪いより、その家と家族にマッチした個性的な便所をいろいろ造って行くのも良いものだなぁ・・・・・ .。
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