2015年04月19日

タニグチパワー

朝起きると、雨で、その上、下痢で、昨日食べた何かが当たったのか、それとも、連日、奥方が、風邪を引いて、夜中じゅう、何度も咳き込んでいて、流石にそんなのが、連日続くと、風邪を移されたのかもしれないと思ってくるわけで、ひとの感覚などエエ加減で、急に体全身の関節がだるく感じて、それに1時間の間に6度も便所に通う様子を見ていた奥方が、わたしの風邪が、移ったのとちゃう…と、心配そうに言いながらも、どことなく嬉しそうな気配もあって、これで自分の風邪が治るかもとか、それとも仲間が増えたような気分なのか、とにかく、自分が使っている、この薬とこの薬とこの薬を飲むように勧められて、女性って、ごくたまに、親切な時に、ちょっと意地悪を感じたりするよなぁ…。

本日の日曜日は、絵本作家の谷口智則さんによるワークショップで、マトリョーシカに、というか、皆さん、マトリョーシカって知ってました? 私、全く知らずにいて、スタッフのアオキさんに教えられて初めて知ったわけで、入れ子になった5つとか6つとかの人形のことらしく、そこに、絵を描くのだけれど、今回は、ただ描くだけでなく、5つの描く動物の頭文字が大きさの順番に、ア行になっているとか、カ行になっているとか、もしくは「しりとり」になっているとか、そんな一定の縛りを絵と絵の関係性に設けて、それに、なによりもスペシャルだったのは、そのうちの1体はお客さんのために谷口さん自身が描いてあげることになって、そんなワークショップだった。

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参加人数は34組で、もともと30組だったが、キャンセル待ちが出るほどの人気で、タニグチトモノリ人気を改めて実感するのだけけれど、それで、会場となる加工場の机と椅子のセッティングを工夫し、何よりもタニグチさんが描く人形が、4つも増えるわけで、そんなのをタニグチさんに相談すると、やってみましょか…というポジティブな返事が返ってきて、そんなこんなで、参加人数の枠を増やす事にした。

参加者が人形どうしの関係性とデザインを考え、なかにはカップルや家族連れも多く、DSC00749うちの板金工事をしてくれている、親子4人の家族は、一緒にテーマをあれやこれやと考え、それぞれが一体を製作し、残りの一体はタニグチさんが製作をして、5体の協働作品が出来るわけで、そうそう、お父さんはゴルフに行って、その帰りに家族のために、このワークショップに参加したそうで、そんな家族写真を撮影すると、旅行の記念撮影とは、また趣の違う、ものづくりの記念写真になって、そんなのが、嬉しかったりし、それは、ものづくりの過程を共有することが、家族の良い思い出としての絆になったり、お子さんたちが、クリエーティビテイーを持った、ものづくりのひとになって欲しいという潜在意識だったのかもしれない。

ベビーカーに乗せたママ友3人組の参加もあり、ものづくりの空気感のなかで、DSC00695お子さんたちがうろちょろし、それもほとんどの人が、午後1時15分から、午後6時を回った時間まで、製作がかかって、それでも、子供達が、遊園地で遊ぶように、初めて会う子供同士や、大人たちと楽しく過ごしている姿を眺めていると、わりと静かなムードの中で、静かにコミュニケーションをしながら、一生懸命製作する雰囲気を60名ほどで共有しているその場所が、それなりの居心地の良さに包まれていたことが、嬉しかったりし、それに、ベビーカーママ友の息抜きになっていたのであれば、それはそれで、なお嬉しい。

そういえば、3人家族でお見えになった参加者で、息子さんがひとりで製作する途中に、DSC00649我慢出来なくなったお父さんが、あれこれと口を挟むと、息子さんにたしなめられつつ、それでもやっぱりいてもたってもいられず笑顔で製作を手伝う父親としての姿を見ると、とっても微笑ましい光景におもえるのだった。

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こんな雰囲気の中で、何よりも圧巻だったのは、谷口さんの絵を描く真摯な姿勢だった。午後2時頃から午後の8時頃まで、そうそう、34体の絵を、それぞれの参加者から、この動物を、この大きさのマトリョーシカに、描いてくださいと、その場でリクエストされて、そのデザインをほんの15秒ほどで考え、アドリブで、どの一体も手を抜くことなく、丁寧に仕上げきった。それは、まるで、JAZZミュージシャンのコルトレーンがビレッジバンガードで、延々とアドリブを演奏し続けているような姿だと思えたりし、製作するのは34体だけれど、参加者の方々からすれば、自分自身の1体なので、それを楽しみに待ってくれている方のために、手を抜くこと出来ませんよね…と云う。

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まだまだ沢山の参加者が残っていた午後5時頃あたりから、多くのひとが、自分の順番がくるまで我慢強く列をなして待っている中を、黒いハットを被った、まるで修行僧のような姿で、黙々と33体を描き続け、あとの予定があり、谷口さんに描いてもらう一体だけを会場に残して早々にお帰りになった方の、その一体と、谷口さんと、スタッフのアオキさんと、私の、4人だけの最後の「セッション」が終わったのが午後8時頃だった。その6時間の間、トイレ以外に休むことなく、お客さんの要望を聞いてアドリブで描ききった、その「姿勢」が圧巻だった。

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今日はエエ勉強になりましたわ、また絵が上手くなりましたわ、なんでもちょっと無理せんとあきませんよね…。と謙虚に云うタニグチさんと、慰労を兼ねて、あそび菜で食べて飲んでいるうちに、不思議とお腹の調子も回復してきて、それは参加者の皆さんと同じように、きっと「タニグチパワー」に癒やされたのだろうね…。

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投稿者 木村貴一 : 2015年04月19日 23:59 « 土地の神様 | メイン | さまざまなコミュニケーションのかたち »


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