2016年12月04日
「界隈」という本棚
「まちのえんがわ」の本棚がリニューアルされて、BOOKS+kotobanoie のカトウさんのこんなコメントがフェースブックに掲載された....。
本のある風景。
大阪市生野区にある「まちのえんがわ」のライブラリー。
「まちのえんがわ」は、コトバノイエを施工していただいた木村工務店が運営している、その名の通り縁側のようなコミュニティ・スペース。
もともとは、木村工務店の木村さんとぼくが酔狂で始めた「木村家本舗 / BOOKS in RESIDENCE 」というイベントがきっかけで生まれた「場」なんですが、2011年12月にスタートしたこの場所に、BOOKS+コトバノイエの本を置かせていただいて今年で5年目になります。
ぼくが選んだ本のあるスペースは他にもいくつかあるんですが、じつはコトバノイエの本をいちばんたくさん出張させているのはこの「まちえんがわ」で、先月までは「日本の文化」というテーマで、約300冊の本が並んでいました。
今回はその本棚のリニューアル。
スタートから5年経ち、「まちのえんがわ」の役割やここを訪れる人にも変化が生まれているので、ライブラリーのラインアップもそういう場の動きに合わせて変えていったほうがいいよね、ということで、全面的な入れ替えを企画しました。新しい本棚のキーワードは「界隈」。
この夏の和歌山でのイベント「ARCADE」で試したコンセプトをもう少し深化させて、人が集まる場、街の中でのライブラリーの在りかたみたいなことを、もう一度考え直してみました。これがそのブックリスト。
http://kotobanoie.com/library/engawa_november16.pdf
もちろんすべてお買い求めいただけます。とりあえず、209冊からのKICK OFF。
また少しずつ育てていければと思っています。老舗の工務店らしく上質の吉野杉で設えられた端正な空間で見る古書たちは、雑誌でさえもコトバノイエとはまたちがった佇まいを見せていて、この場所に来るたびに、空間の力、素材の力というものをあらためて考えさせられます。
ぜひいちどお越しください。
そして、お気に入りの本が見つかったら、その本をお手元に。まちのえんがわ / 木村工務店
http://www.kimuko.net/engawa/まちのえんがわFBページ
https://www.facebook.com/まちのえんがわ-280325995353832BOOKS+コトバノイエ
http://kotobanoie.com/
土曜日の午前中に、ワークショップに参加してくれている女性のウエノさんが、リニューアルした本を観るために、わざわざ「まちのえんがわ」にお越しになった。丁度、2階の事務所にいたので、1階まで降りて、縁側に座りながら、なんだかんだ話をしているうちに、なぜか淡路島の話になった。南海荘で泊まって食べたいわ。みたいな話で、建築カメラマンのササクラ夫婦がいつも泊まりにいくらしい...とか、瓦ワークショップを主催してくれた淡路瓦のミチガミさんの同級生であり、曰く、イタリアンが抜群なのだ....とか。そんな食べものにまつわる縁側話で盛り上がった。
お昼過ぎに、植景研究所のイエタニさんが、「まちのえんがわ」の真向かいにある減築工事中の木村家の外構の打ち合わせに寄ってくれた。イエタニさんは、砂利の洗い出しの平板を自分で造っていて、それをうちの外構の階段に使用できないかという相談で、現場で打ち合わせをした後、縁側に座りながら、小一時間ほど、ケンチクとニワにまつわる四方山話を楽しんだ。
イエタニさんが帰られたあと、そのまま縁側に座りながら、何冊かの本を手にとって、読んでいたら、ホールアースカタログと、それについての特集をしている雑誌 spectatorのホールアースカタログ後編が面白くて、どんどん読み進むうちに、「 木滑良久、ものづくりを語る(前編) 雑誌づくりは「町工場」じゃなきゃダメ」というインタビューがあり、雑誌ポパイやブルータスの創刊当時の編集者で、高校生の時に創刊されたポパイという雑誌を通じて、さまざまなファッションやライフスタイルを学んだ「私」でもあり、カトウさんのBOOKS+kotobanoie は、最近、ブルータスにもちょくちょく掲載されていて、そんなこんなの興味からも楽しく読んだ。
実はホールアースカタログは好きでないんです。というコトバに、あんがい共感するのだけれど、そんなことより、町工場的に雑誌を造ったというインタビューを読みながら、木村工務店も生野区の町工場のような工務店な訳で、それに、なによりも持続可能な町工場的工務店として存続けたいとおもう訳で、そういう町工場的なものづくりというかケンチクを造っていきたいというのが、祖父や親父の願いでもあり、「私」にも引き継がれている想いでもあるのだ....なんて感じながら、まったりとした縁側的時間を過ごした。
そのまったり感を邪魔するようにポケットの携帯が振動して、誰かとおもうと、奥方からで、なんでも近くの家電量販店のコジマに来ていて、リフォーム中の家の洗濯機を選んでいるので、色とデザインだけ、これでエエのかどうかを「承認」しにこい!というお達しだった。長年連れ添うと、これは出来るだけ早く駆けつけんなあかんで!という「ハラ」のどこかが、行動を促すようなサインを受け取れるようになってきたので、まったり感などあっさりと投げ捨て、さっと縁側から腰を上げて、すぐさま電動自転車で駆けつけた。
たまに家電製品を見ると、確かに面白い。日立のナイアガラ洗浄にも惹かれたが、最後は、デザイン重視で、パナソニックのキューブ型を買ことになった。乾燥機能をどうするかで、あれこれと同意を求めてくるのだが、たいがい、そうやな、そうやな、イエス、イエスと、ほんとにちゃんと考えているのぉ!っと、お叱りを受けながらも、絶対的に「イエス」から入ることにするのが、コツのようなものだと、長い年月をかけて学んできたのだった。
私の選択権はピンクゴールドかクロームメタルかの色決めで、もちろんクロームメタルにしたが、そうそう、お風呂にカワックをつけたのも、ま、どっちでもエエけど、友達、エエっていうてるし....という、どっちでもエエ的発言には、絶対的にそれを付けたりする方向にすすまないとアトで良くない結果を生むというコツのようなものも学んできた....。カワックも乾燥機も両方付けるん!なんていう愚痴を決して言ってはいけないのだ。
今回の任務と使命を果たした後、夫婦で、のらりくらりと、コードレスの掃除機や、液晶テレビを楽しみながら見ている時に、「まちのえんがわ」のアオキさんから電話があり、OpenStreetMap のマッピングパーティをしているSEのワダさんが縁側に遊びに来ているので、戻ってきて欲しいという連絡で、そこで、奥方と別れて、電動自転車で生野のまちなかの小道をチャリンコしながら戻った。
縁側に腰掛けながら、OpenStreetMap 上で、生野区ものづくり百景のマッピングパーティを開こう...、いずれは空き家マップとか...という話題で盛り上がったが、この日、縁側に置かれていた雑誌の影響をもろに受けて、タイトルが「生野区町工場マップ」になってしまったのが、単純と言えば単純で、ま、でも、そんなのが、縁側効果であり、「界隈」の影響力でもあって、こんな「まちのえんがわ」の縁側に座って、まったりとした時間を過ごすのもエエとおもうんです。如何でしょうか!
投稿者 木村貴一 : 2016年12月04日 22:42 « 忘年会とメッセージ | メイン | 加工場での忘年会とワークショップ »