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2012年09月30日

台風と椅子

大型台風17号が近畿地方に接近してくるのが午後3時頃だという。丁度その時間は「ケンチク椅子のすすめ」というワークショップを催している真っ最中なわけで、今回のワークショップはどうなるのだろうかと不安を感じていたのが前日の夜の事だった。

DSC07936このケンチク椅子というのは、建築家の矢部達也さんがデザインした椅子で。3つのないと5つのこだわりというルールのもとで製作された椅子。3つのないは、曲線がない、斜めがない、仕口がない。5つのこだわりは、単一の素材にこだわる。面一の納まりにこだわる。小口の勝ち負けにこだわる。寸法にこだわる(厚み24の合板の倍数)。仕上げにこだわる(ペーパーでこすらない。角はでたまま)

誰でもが作れそうな椅子なのだけれど、そのための材料を必要な寸法に切る作業は、前日にベッショ大工とフクダ大工の二人が中心になりながら作業を続け、仕事を終えて帰ってきた大工や現場監督が作業を手伝いながら丸一日をかけて材料を段取りし終えて、それから参加者それぞれの作業場所を区分けする作業を会社に戻ってきた社員と一緒に遅くまでかかって設置した。そんなバタバタした前日と台風接近のニュースの絡みあい。

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今朝、早朝、目が覚めると、曇り空で、まだ雨が降っていない。もう暫くは雨が降りそうな気配がなかった。それで、先週も雨だったし、来週と再来週は木村家本舗というオープンホームのイベントがあって、ランニングが出来そうにもないので、きっと嵐の前の静けさなのだと思いながら、ランニングをすることにした・・・。

こんな台風が迫るワークショップ当日の朝。予報通り、お昼に近づくに連れてどんどん雨が激しく降り出してきて、加工場の戦前の木造トラスと30年前のALC3階建ての接続部分から、漏水するというハプニングもあり、それにワークショップはどうなるのですか、という2、3の問い合わせもあったりして、まぁそれでもとにかく決行することにした。外は激しい風雨、中はものづくりの熱気。という独特の雰囲気でのワークショップだった。

そんな外の台風の事など全く気にとめる気配もない大工さんたちは、はじめてワークショップのスタッフとして参加したのだけれど、参加者の方々が楽しんでいる姿に、まさしく乗せられて、ひとのために教える喜びを何となく肌で感じながら、あれやこれやとサポートしている様子だった。そうそう、なによりも、参加者全員の椅子が無事に完成した事が、スタッフ全員の大きな喜びだったとおもう・・・。

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自分で作った椅子に座ってもらいながら記念写真の撮影を試みる。それぞれの笑顔には、自分で椅子を作って完成したという達成感と共に、その椅子に座って、くつろぐ喜びの表情があって、それが椅子のもつ根源的な力だとおもうのだけれど、きっと今回はそれだけではなく、加工場に響く台風の激しい雨音を乗り越えて完成したという付加価値が表情に付加されているとおもうのだ・・・。

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追伸:あとで写真をみると、写真撮影を忘れたひともいたようなので、この場にて陳謝。

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2012年09月23日

暮らしを楽しむコト。

朝、枕元で、目を開けずに耳を澄ますと、雨音がしている。あっ、今日はランニング出来ないなとおもうと、残念な気持ち以上に、嬉しい気持ちもかなりあって、誰と約束をしている訳でもないのに、ランニングをしない堂々とした言い訳ができる事に、ほっとしている「私」がいて、こういう人間心理って、どこから生まれてくるのだろうか・・・・と、夢うつつで苦笑しながら、そのまま、寝入る。

今日は月一回の住宅相談会があって、3組のお客さんとあれやこれやとお話をする。ひと組目の若いご家族は、奥さんのお婆さんが亡くなって、その住んでいた長屋を譲り受ける事になって、そこをリフォームして住みたいというご相談。幼稚園前の女の子とご主人と3人でお見えになり、奥さんは1月に出産予定だとか・・・・。まず、現地調査に行くスケジュールを決めて、2階の応接室から1階路面店の「まちのえんがわ」に移って、杉の素材感や、部屋の中に見える木の量と好みについて四方山話。

ふた組目は大手ゼネコンにお勤めのご家族で、木造2階建て新築工事の打ち合わせ。実施設計の打ち合わせもほとんど終盤で、確認申請を出す一歩手前まで来ていて、最後の見積調整の段階。普段は日曜日には設計の込み入った打ち合わせはしないのだけれど、今日は、確認事項をお互いに確認し合うための打ち合わせ。それで、ちょっとした隙間のような時間で四方山話をする。お互いに建築に従事するものとして、建築に費用を費やすと、大工さんや左官屋さんやその他多くの職人さんたちにお金が回っていき、それにわりとパーとお金を使う人たちでもあって、経済効果はあるし、世間が思っているほど、会社に残るお金は少ないのよね・・・。なんていう話で頷き合う。

三組目は、築80年のご両親が住む長屋があって、その家をリフォームして2世帯で住むのか、壊して建て替えるのかという相談。お父さんと息子さんのお二人でお見えになったのだけれど、この相談会に申し込んでから今日までの間に、親子げんかをしまして・・・。それで、いま・・・・。なんて言う出来事をにこやかに話された。2世帯が同居して、新築やリフォームをするためには、私たちが想像する以上に、様々な家族間の葛藤を経て、うちの会社にお見えになるのだなぁ・・・と、今までご相談にお見えになった方々の顔を思い出しながら、あらためていろいろと考えさせられた。

「いま」というご時世に、こういう相談会をしてみると、自動車や家電ではなくて、「暮らしを楽しむ」という事に費やすエネルギーとかお金が、それは、時には、「省エネ」という暮らしを楽しむ家であったり、「木」を楽しむ暮らしであったり、「家具」を楽しむ空間であったり、「緑」と親しむ家であったり、「食べる」を楽しむ暮らしであったり、その他いろいろな「暮らしを楽しむ」ためにに費やすお金が、生活に潤いを持たせて、閉塞しそうな世の中を豊かにし経済的効果も生むひとつの「コト」となり得るのではとおもえてくるのだが・・・。

IMG_3767そうそう、相談会が終わり日も暮れかかった頃、木村家本舗の完成したフライヤーを持って、デザイナ-の平田くんが「まちのえんがわ」にやって来た。

ヒラタくんは、建築家矢部達也さんの大学での教え子で、就職難民なのだけれど、その才能をヤベさんがすくい上げて、自邸の1階にあるカットザコーナーと呼ばれるオープンスペースを使って、ヒラタくんによる、週間デザインLIVEという無料デザイン相談会のようなものを開催していて、そこで、知り合う。それで、木村家本舗の総合プロデューサーでもあるコトバノイエ加藤さんが指導しながら、夜を徹して、IMG_3766仕上げたのが、このフライヤーで、そういうひとの「縁」によって何かを作っていくのが木村家本舗のものづくりなのだとおもう。

ということで、今朝のよく降った雨はもうすっかり止んで、あの残暑から一転して急に涼しくなった大阪生野区の下町小路。そんな場所で、木村家本舗というオープンホームを10月の週末に開催予定で、今年は、それぞれのライフスタイルで暮らしを楽しむ8人のナビゲーターが、自らのエネルギーを皆とシエアーして一緒に遊び宴会を催す予定。暮らしを楽しむ「コト」を通じて、ひとが、集い繋がり「こころ」の広がりを持てればとおもう・・・。

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2012年09月16日

木村家本舗 3

「木村家本舗」というオープンホームをする企画を始めたのは2年前の事で、第一回はこんな感じだった 。それが、おもいのほかひとが参加してくれて、それなりの楽しい出会いが生まれた。それで、調子にのって第二回を催した。その様子はこちら

もともと、オープンホームとライブラリーという事で、ひとの暮らしを覗く楽しみを、少々自虐的ではあるものの、楽しんでもらおうという主旨で始めた事で、もちろん、木村工務店という家業があって、何回もリフォームを繰り返しているうちの家の暮らしを見てもらう事で、少しは営業的な足しになるのかも。という狙いのようなものがあるにはあったが、やりだしてみると、そんなことそっちのけで、なんだかんだと「遊び」を企画して、楽しんでいるのが実態。

第二回目は、木村工務店の加工場も会場として、写真展をやってみると、それはそれなりにエエ雰囲気になった。きっとその時経験した「場の力」のようなものに対する、共有体験が、社員や「私」に育まれて、それが、「まちのえんがわ」のワークショップを加工場で催すきっかけと自信に繋がって行ったのだとおもう。

今年は、10月の週末の5日間に5つの宴会を催す。「5days、5party」。それに、8人の暮らしを楽しむナビゲーターに、それぞれの企画をリードしてもらいながら、そのナビゲーターが醸し出すエネルギーを皆でシエアーしあって、祝宴を楽しもうという催し。会場は木村家本舗と呼ばれる木村家であったり、木村工務店の加工場であったり、「まちのえんがわ」であったり。

そういえば、「オープンホーム」という、暮らしを開く体験をしてみると、プライベートとオープン、日常と非日常という境界線の曖昧な部分が広く長く形成されだして、それを海と陸との間にあたる、「渚」のような場所と例えることができそうだけれど、そんな渚のような場所を通じて、それを日本的には縁側というのだろうが、そういう場所を通じて、ひととの出会いとコミュニケーションが生まれるのだなぁ・・・と感じるようになった。

それじゃぁ、家庭だけでなく、会社を町に開いていてみればどうなっていくのだろうか。ということで始まったのが、「まちのえんがわ」の本質的なところだとおもう。「まちのえんがわ」は木村家本舗の経験を通じて生まれたのだけれど、その木村家本舗で、温泉ソムリエぐっちという「ひと」と出会って、それが、住宅風呂巡礼という企画をうんだ。あれ!、住宅風呂巡礼って、いったい何ですか!。と聞かれることが多々あって、それで、今週に、こんな文章を書いた。

「ひと」の存在が企画をよぶのだとおもう。

温泉ソムリエぐっちとの出会いは、木村家本舗という自宅をオープンホームしたイベントで、彼が迷い込むようにやってきて、お互いに温泉入浴自慢を競い合ったのが最初だった。暫くして彼のホームページを眺めていると、どの入浴シーンにも自分撮りした姿が写っていて、それが、とっても不思議だった。いったいどうやって自分撮りしているのだろうか・・・と。 後日、再び木村家本舗に彼がやってきた。曖昧な会話をあれこれしているうちに、そうそう、温泉もエエけど、住宅のお風呂に入って自分撮りしたらどう。それも、いろいろな家のお風呂。有名建築とか無名建築とかのお風呂を巡る旅。住宅のお風呂の写真は数々あれど、ひとが入浴してるシーンはないし。そんなコトバを口走ると、即座にしかも軽やかに、やりましょ!と返事が返ってきた。

西宮の目神山に建築家石井修さんの回帰草庵という超有名建築があって、その草屋根の上で、息子さんの建築家石井良平さんが、炭火串焼き宴会を催してくれた。写真家の多田ユウコさんが同席していて、温泉ソムリエぐっちとの住宅のお風呂を巡る旅の話をした。その日の彼女は、草屋根の穴に落ち込んで尾てい骨を強打してしまうほど酔っぱらっていた。きっとそれが幸いしたのだとおもう。その写真撮影、私やりましょか!と、とっても軽やかに答えてくれた。

2011年12月4日日曜日木村家本舗とも呼ばれている自宅のお風呂で、主演は温泉ソムリエぐっち、撮影は多田ユウコ、企画は木村貴一で、第1回撮影をしたのが始まりだった。ぐっち自身が自分撮りをするか、私が撮影するのかとオロオロしていたのに、プロの女性カメラマン多田ユウコの出現によって手持ちぶさたになった「私」が唐突にとった行動が「making of 住宅風呂巡礼」だった。

ちょうど、12月1日に、自邸直ぐ近くの「まちのえんがわ」という木村工務店の路面店がオープンしたばかりで、そこで、撮影終了後3人でお茶を飲みながら和んだ。その時に多田ユウコさんが撮影してくれた写真が「まちのえんがわ」の写真になった。

そういえば、住宅風呂巡礼と命名をしてくれたのは、建築家の矢部達也さんで、第1回撮影の様子を伝えたブログを見て、第2回の撮影場所に自宅のお風呂でやりましょう!と名乗りをあげてくれた。2012年1月8日日曜日に第2回住宅風呂巡礼が大阪・野田・矢部邸で催されて、ヤベさん自らが演出をしながら撮影をした。撮影後、そこで小宴を催し、それがとっても楽しいひとときだった。その撮影現場を見学するためにコトバノイエの加藤博久さんがやってきた。コトバノイエというのは矢部達也さんが設計した家で、その住人が加藤さんで、その家を施工したのが木村工務店でその会社の社長が「私」だという、施主と設計者と施工者という奇妙な構図。ちなみに、住まい手の加藤さんの古本好きが高じて、本棚か構造体になった家がコトバノイエで、家が出来て暮らし始めてから、自宅でコトバノイエという古本屋さんを開いてしまった。

そんなこんなで、様々な奇妙な縁によって「ひと」が集い、繋がった。主演は温泉ソムリエぐっち、撮影は多田ユウコ、演出は矢部達也、協力は加藤博久、企画は木村貴一、制作は「まちのえんがわ」という住宅風呂巡礼団クインテットが生まれて、どこに向かってどこに連れて行かれるのか、流れるままに何かが広がり始めた・・・。

やり出してみて、もっとも面白い出来事は、住宅風呂巡礼団はチンドン屋さん的だというコトだった。もっとも日常的でプライベートな私たち家族にとってのお風呂という場所に、住宅風呂巡礼団というクインテットがにこやかに現れて、その一員の温泉ソムリエぐっちといわれる怪しいひとが、いきなり服を脱いで、素っ裸で、私たち家族のお風呂に入るのだった。その非日常性が「笑い」をうんだ。撮影された写真はどことなくシュールになった。お風呂の撮影中にそこの家族と交わす何気ない会話には「機微」が生まれた。住宅風呂巡礼にはアフォーダンスがあるのだろう、それが家族写真に独特の表情をもたらし、家族写真撮影がひとつの定番になった。時には、そこのお宅で小宴を催して、一緒に楽しんだ。

きっとこのクインテットからチンチンドンドンと音が鳴り響いているのだ。

そうそう、住宅風呂巡礼って、あれいったい何やってるんですか。と聞かれることがある。いや、それが、つまり、と口ごもりながら、例えば日曜日にゴルフに行くとするでしょ。メンバーを4人や8人集めて、前もってゴルフ場を予約して、それで、ゴルフして、楽しんで、お酒なんか飲んだりもして、健康のためだとか、社交のためだとか、何だかんだ理由を付けて遊ぶ。そのゴルフ場の代わりに、住宅風呂巡礼者は、住宅風呂巡礼のための家を日曜日に予約して、5人ほどのメンバーと一緒に、訪れて、時には、沢山のギャラリーもいたりして、例のごとく撮影を楽しむ。いつも飲んだり食べたりし、そこの家族とのコミュニケーションも楽しむ。そんな「遊び」なんです。 

                                                          住宅風呂巡礼団 木村貴一

そんなこんなで、「住宅風呂巡礼」と「まちのえんがわ」と「木村家本舗」との本質的な部分は共通していて、今年の木村家本舗は、8人の「ひと」と共に、この木村家本舗の企画全体をプロデュースしてくれているコトバノイエ加藤さんと「私」、8+2=10人の「ひと」が、それぞれが持つ少しばかりの愛あるエネルギーをチンチンドンドンと奏でながら、皆と一緒に分かち合おうという「企画」。

エエオトナが、少々企画がエスカレートし過ぎて、調子に乗ってるのとちゃう。という、外野から聞こえてくる意見もあって、それには、やはり、いわゆる「真摯」に耳を傾けながら、「木村家本舗3」の準備をすすめていこうとおもう・・・・。

10月6・7・8・13・14日のご来場をお待ちしております。

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2012年09月09日

「森」と「木」と「木材」吉野遠足

残暑。なんか蒸し暑い日曜日の大阪市内。クーラーのかかった部屋に入ったらホッとする。午後1時頃から3時頃まで、クーラーのかかった「まちのえんがわ」の縁側に座って本を読んで過ごす。「まちのえんがわ」には「縁側」と「地窓掘りごたつ側」があって、今日は縁側に腰掛けて本を読む気分だった。

そういえば、「まちのえんがわ」の本棚のセレクトをコトバノイエ加藤さんと相談し、大幅に変更した。加藤さんは木村工務店のお施主さんでもあって、「まちのえんがわ」本棚の全ては、コトバノイエ加藤さんの本でもあり、まぁ、それを委託販売しているような形。

加藤 博久

まちのえんがわの本棚 「日本の文化」のブックリスト。
http://kotobanoie.com/library/engawaculture_sept.pdf
リニューアルのテーマをいろいろ考えたんだけど、この「まちのえんがわ」という小さなコミュニティスペースで木村さんが伝えようとしていることって、大きくいうと「文化(culture)」、そしてそのあり方なんじゃないかと、まあいつものように勝手に解釈。
できればこの本たちをコアにして、サブカルチャーや芸術、あるいは月や星のことまで拡散させていけたら、最高なんだけど。

写真: まちのえんがわの本棚 「日本の文化」のブックリスト。
http://kotobanoie.com/library/engawaculture_sept.pdf

リニューアルのテーマをいろいろ考えたんだけど、この「まちのえんがわ」という小さなコミュニティスペースで木村さんが伝えようとしていることって、大きくいうと「文化(culture)」、そしてそのあり方なんじゃないかと、まあいつものように勝手に解釈。

できればこの本たちをコアにして、サブカルチャーや芸術、あるいは月や星のことまで拡散させていけたら、最高なんだけど。

その「まちのえんがわ」で「遠足」を企画して、それが「森」と「木」と「木材」吉野ツアーで、吉野の阪口製材の阪口さんの力を借りて、吉野へ遠足に行ったのが昨日の土曜日の事だった。木村工務店で催す企画なら家を建てる人たちのためのツアーなのだろうが、「まちのえんがわ」で企画すると、どんな参加者になるのか、少々不安でもあった。

「イエタニ」さんは造園家で廃材プランターワークショップの講師でもあって、「まちのえんがわ」ワークショップの常連さんでもある50代。「イワオ」さんは「まちのえんがわ」すぐ近くのあそび菜食堂オーナーで、もともと芸大出身なこともあって、ものづくりが大好きで、ワークショップ皆勤賞の50代。「スヤ」さんは、ご近所に住むデザイナーであり、専門学校の講師でもあって、「まちのえんがわ」にデザインの本十冊をセレクトして頂いた60代。「ウエノ」さんは、前回の1985巡礼団に登場したあのウエノさんで40代。「ヤマダ」さんは、ガーデンショップと造園を営むご夫妻で、イエタニさんの塾生でもあって、「グリーン」に関する事をあれこれと悩みながら一生懸命生きる、とっても感じのエエご夫妻。

「サトウ」さんは、北海道に本社をおくキムラという建材商社の大阪支店長で、大阪に北海道の断熱気密の技術を伝えようとやってきて、大阪で最初にとびこんだ会社がうちだとまことしやかに語るのだけれど、とにかくそんな縁で北海道に断熱気密の視察旅行に行ていろいろと案内してもらった。このたびの震災にも遭遇した40代フクシマ男児。「トクナガ」さんは、サトウさんの部下で、二人は上司と部下の関係で、上司に強要されて参加したのかどうかは定かでないのだけれど、それぞれが福島と北海道の人で、どちらも奈良初体験で、奈良を何よりも楽しみにしている様子だった。

「KB」さんは、ほとんどのワークショップに幼稚園児?の息子さんと二人で参加頂いて、息子さんも一生懸命ものづくりをするお子さんなのだけれど、気がついたらお母さんが、どっぷりと製作にのめり込んでいて、その集中している姿がとっても印象的なお母さんで、今回も親子お二人で仲良くご参加。

「S」さんは、木村工務店の設計施工の新築で暮らしているお施主さんで、ダンサーを目指す小学生の娘さんとご夫妻の三人で参加。久しぶりにお会いするのだけれど、奥さんとはフェースブック上のお友達でもあって、フェースブックにアップされる娘さんのダンスを見て大きくなったなぁと思っていた。そうそう無垢材で出来たキッチンとカウンターテーブルが一体になったオウチで、そういえば、3人のお子さんのための8畳の間に、2段ベットを3つネットで買ってもらって、その中にテーブルや収納棚をうちの大工で組み込んで、それをカーテンで間仕切る子供部屋としたお宅で、設計中のお客さんにもひとつの事例としてよく紹介している。

「M」さんは、東大阪で12年前に購入した鉄骨造2階建ての建て売り住宅をほぼ全面リフォームする工事中のお施主さんで、幼稚園前の娘さんと小学校に通うとっても足の長い娘さんと奥さんの3人でご参加。そういえば、前回の模型製作ワークショップにも参加して頂いた。そうそう、なによりも、「まちのえんがわ」の前に長屋門の付いた戦前の3軒長屋があって、そのうちの2件を新築とリフォームの仮住まいとして提供しているのだけれど、そこに仮住まいされていて、集合場所は「まちのえんがわ」だったので、引き違いの門扉をガラガラと開けて一歩踏み出せば、そこが集合場所。という吉本新喜劇のようなシチュエーションだった。

「K」さんは、東成区で、木村工務店の設計施工で、戦前の長屋を耐震と断熱の全面リフォーム工事して暮らす女性で、もともと工芸の学校出身だったそうで、ものづくりが大好きで、ワークショップにも何回か、お友達と一緒に参加して頂いている。今回はおひとりで参加。そういえば、真壁で土壁の長屋を外断熱してガルバニゥームを張った初めてのリフォーム施工例で数値的にも、Q値9.32が2.29になり、耐震も0.41が1.02になった。

こんな「「まちのえんがわ」の縁で結びついた、オジサンから小さな女の子さんまで17名の参加者と「まちのえんがわ」スタッフのアオキさんと「私」を交えて19名が今回のメンバー。これから木の家を建てる事に興味をお持ちの参加者がいなかったのは、少々残念なのだけれど、とにかく小型観光バス21人乗りサロンタイプに乗って小路から吉野への「遠足」を楽しむ。

↓ 「まちのえんがわ」に集合。バスの中は行きも帰りもワイワイガヤガヤ。
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↓小雨の大阪から曇り空の吉野に到着し阪口製材の吉野サロンでトイレ休憩。
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↓梅谷醤油工場で吉野杉の樽を見学し、醤油もお土産に買ったりした。
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ひといきネットワークという木づくりの家のひとたちと合流して30名ほどで行動する。
↓「山」に入って山守さんから杉と檜の葉や幹の違いを教わる。
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↓お昼には太陽も出てきて、皆でランチタイム。こばしのやき餅や柿の葉寿司も配る
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↓子供達のためにオトナがバッタを採ってあげたり、沢の水触ったり・・・
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↓山から製材所に戻って阪口さんのレクチャーがはじまる。
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↓割り箸の工場を見学し、阪口製材さんのモデルハウスも見学する。
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↓蔵王堂へハイキングして皆で一緒に記念写真。そして、やっこで柿の葉寿司を買う。
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吉野の「森」の歴史を山守さんからお聴きし、植林された森を体験する。その森の「木」についてレクチャーを受けて、その「木」が製材所で「木材」となる工程を見学する。製材所の端材を使った割り箸工場とか、製材された木材によって建築されたモダンな住宅を見学した後、吉野山にある蔵王堂に行って脈々と息づく「木の文化」を垣間見る。きっとこんな流れの中から「循環」なんていう感覚を肌で感じ取るのかもしれない。

まぁ、でも、「見学」だけではなくて、「遠足」の楽しみのひとつは、皆で一緒にお弁当を食べたり、お土産を買ったり、歩いたりすることであって、こばしのやき餅を90個予約し、宮滝醤油を買い、やっこの柿の葉寿司を買う、歩いて汗が吹き出て、喉が渇いて、皆でソフトクリーム買って食べ歩く。なんていう単純な事をまるでファミリーのような感覚になりながらシンプルに一緒に楽しめるのが「遠足」の醍醐味だな・・・・。

遠足を一緒になって楽しい催しにして頂いた参加者の皆さんに感謝。

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2012年09月02日

1985巡礼団

「Forward to 1985 energy life」2012年秋の大集会というイベントが、9月1日の土曜日に、埼玉県の埼玉会館大ホールというところであって、サブタイトルは「家庭の省エネから日本を変えよう」という、ちょっと大上段なタイトルで、「私」などは、家庭の省エネから暮らしを変えようという小さなアプローチでもエエのだとおもうが、まぁ、それはともかくとして、その主旨は・・・

  1. 最終的に目指すのは、豊かで、人間的な、究極の省エネルギー社会をつくること
  2. そのアプローチとして、まずは1985年当時のようなエネルギー消費のあり方を目指す
  3. その目標達成のために、家庭部門がその先頭に立ち、年間のエネルギー消費量と電力消費量が1/2になることを目指す
  4. その目標達成のために、すべての家庭において、年間のエネルギー消費量と電力消費量が1/2になるように取り組む

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この運動の言い出しっぺの野池さんは、仕事やプライベートでも関わりがあって、何よりも「まちのえんがわ」という名称を提案してくれた人でもある。そのノイケさんが言うのには、原子力発電による発電量と家庭の電力消費はほぼ同じで、家庭の電力消費を半分にすれば、原子力発電も半分でいけるのだという。それが上の表。

それで、原子力発電に頼らない電力消費の時代はいつなのだろうかと調べてみると、1985年当時の電力消費のスタイルになれば、原子力発電は不要になりそうだという。

そこで、1985年の電力消費と今の電力消費を詳しく比べると家庭部門の電力消費が約2倍、産業部門の電力消費は約1.5倍となっているらしい。ならば、今の家庭の電力消費を2分の1にすれば、産業部門は節電しなくても、そのままの活動で、1985年当時の電力消費となり、あとは業務部門と運輸部門の節電と自然エネルギーによる発電で賄えば、原子力発電に極力頼らない日本社会が実現出来るかもしれないと・・・・。

そうであるとして、家庭の電力消費を今の2分の1にするために、我慢の生活をするのかというと、それは、断熱や遮熱をしたパッシブデザインの家を新築やリフォームし、省エネ機器を導入したり、それに省エネなライフスタイルを楽しみながら暮らす事によって、電力消費を半分に実現できるという。それでは、そんな生活は具体的にはどんなライフスタイルなのだろうか?皆で知恵を集めて工夫してみよう!。というのが、おおよその1985運動の内容で、詳しいことは を参考にして欲しい。

とにかくその集会が埼玉であって、こんなスケジュールと内容だった。

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ウエノくんという47歳になる設計士がいて、彼は、関空を設計をしたレンゾピアノ事務所で働いた経歴の持ち主で、もちろん関空の設計担当者にもクレジットされているらしい。その彼が埼玉で催される1985集会に行くお金を節約するために車で行こうよ! と言い出したのは暮らし向上リフォーム研究会の懇親会での出来事だった。ウエノくんは東北の気仙沼大島でボランティアをしていて、昨年のお盆休暇の時は、家族でボランティアのウエノくんをボランティアするために、二日間、気仙沼大島でキャンプをし、家族ぐるみで気心を知る仲となった。

オオツカくんという明石で大塚工務店を若干35歳で経営する元気な青年がいて、彼は設計事務所での勤務経験を経て、実家の工務店を引き継いだという。そのオオツカくんとウエノくんは、ノイケさんが主催する暮らし向上リフォーム研究会の会員であり、その研究会は3ヶ月に1度、木村工務店の3階会議室で会合をしていて、まぁウエノくんとオオツカくんと「私」とノイケさんがそんな縁で結びついていた。

ウエノくんとオオツカくんは、どちらも、いわゆる建築オタク系で、建築を見て回る事が好きで、そういう方面の建築知識が豊富だった。その二人が、暮らし向上リフォーム研究会の懇親会で顔を合わせて、それで、それを意気投合とよんでよいのかどうか微妙だが、とにかく、絶妙な建築知識の掛け合いトークを巻き起こして、懇親会では、ノイケさんや女性の参加者も含めて、爆笑の渦に包まれた。

その時の抱腹絶倒の勢いに乗っかる形で、1985大阪埼玉弾丸日帰りツアーを「私」の車で行く事になり、参加者を募るも、当然のことながら、誰もエエオトナが、そんなしんどそうなツアーに参加するはずもなく、紆余曲折のすえ、結局、ウエノオオツカコンビ&キムラの3人で行く事になった。

8月31日金曜日の夜遅く、うちの家に二人が集合し、ビールでも飲みながらウダウダと建築談義をしているうちに気がついたら午前0時となり、慌てて寝るものの、午前4時には起床し、大阪生野区の小路を車で出発したのが、午前4時30分の事だった。

どちらかというと、高速道路の長距離運転が好きな「私」という気質があって、自宅から第二京阪、京滋バイパス、新名神、西名阪、伊勢湾岸、名神、東名、新東名の浜松SAまで快適に運転を担当する。その間、DSC06804ウエノオオツカコンビのトークは一瞬たりとも止まる事がなく、建築の話から身の上話、女性の話まで、延々と続き、残りの埼玉会館までは、二人のコンビが運転してくれたのだけれど、とにかく、車の中の会話が3秒以上途切れる事がなかったのが、とっても驚愕な出来事だった・・・。

その日の高速道路は渋滞もなく、おもいのほか快適で、10時30分頃には現地到着予定だとカーナビが伝えていた。それで、建築オタクコンビの提案もあって、近くの建築でも見てから、埼玉会館に行こうかと、海老名SAで、ケンケンガクガクと談義し、そうこうするうちに、ウエノくんが知り合いの東京の設計士に、どこに行くのがエエのかと、携帯メールを送ると、「川越の古い街並み」と、それはまるで、「ミッション」のような返信メールが送られてきた・・・・。

そんな訳で、渋滞する東京の街を、途切れる事がなく延々と続くウエノオオツカトークにニタニタしながら通過し、迷い込んだように、カワゴエの街に降り立つケンチク好きな30代40代50代の不思議なトリオ。

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川越から埼玉会館まで、予想外の渋滞に巻き込まれ、開演時間に間に合うかどうか心配し、食事をする時間もとれないまま、なんとか間に合って、埼玉会館に到着したものの、DSC06918プログラムの前半は、流石に、睡魔に襲われて、半分ほどコクリコクリとしていた事をカミングアウトしておこうとおもう。

第二部の「家のコトは生きるコト」というサブタイトルがついた「家事塾」を主宰する辰巳渚さんの講演は思いのほか面白くて・・・。パネルディスカッションは、あと1時間ほどあっても良かったぐらいで・・・。そんなこんなで、700人ほどの参加者があった講演が終わり、ついでにスタッフの懇親会にも出席し、関東の人たちと懇親を深めて、結局のところ埼玉会館を出発したのは、午後9時前で、大阪の生野区小路に着いたのが午前3時頃だった。

当然のコトながら、帰路の6時間ちかく、ウエノオオツカコンビから放たれる、建築から身の上話までに及ぶなんとも摩訶不思議な会話は、一瞬たりとも途切れる事がなく、「Forward to 1985 energy life」がエネルギー問題の奇跡的解決になるりえるのかどうかまだまだ定かでないものの、1985巡礼団車中ノンストップトーキングは、ほんとうに奇跡的な出来事だったのだ・・・・。

追伸
楽しい道中にしてくれたウエノオオツカコンビに感謝の意を捧げておこうとおもう。

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