2008年02月03日
便所
だいたいにおいて、趣味のエエ便所というものが、どういう便所の事をさすのか・・・・。と、そんな議論したいわけではないのだけれど、 ひょんな事から便所の話になった。
先日の金曜日の夜、石井良平さん設計による目神山の家で、大工さんを招待していただいた 食事会があった。大工さんが出来上がった家にお伺いをするのは、メンテナンスの時がほとんどで、
こういう機会はめったになく、まして、大工と左官で作られた現代風の茶室で、お茶を一服頂戴するという経験は、
大工さんにとっても左官屋さんにとっても、そして私にとっても貴重な経験となった。この場をお借りして、お礼を申し上げます。
そのお宅の便所の鏡と照明が格好良かったので、材料は何を使って、どうやって施工したのぉ。 と問いかけると、結構、時間掛かって、苦労をしたんです・・・・。と、大工さんと現場監督。あれやこれやと、 設計者やお施っさんを交えて、 談笑した。
そんな話のなかで、我が社の1階の加工場にある便所の鏡を思い出して、話題にした。それは、確かに、 趣味の悪い便所といえるのかもしれない。初めて入った人は、えぇ何でぇと、驚く。と言うよりは、少し嘆く。
先ほどの写真と同じように、扉を開けると鏡があるのだが・・・・
だいたい、男子が、小をいたすと、かような状態で、「自分自身」と対峙する羽目になり、何とも言えない気持ちに陥る。大の時は、 ドカンと目の前に、それなりに頑張っている自分の顔と出くわす。弊社のT桝氏に言わすと、「自分を見つめ直すための部屋」らしい・・・・。
もう10年近くなるのだが、何時、誰が、その鏡を設置したのか、いまだに名乗り出るものはいない・・・。誰もが、 その鏡を簡単に外す事ができるのだが、誰も外そうとしない。私もなぜが、その鏡に手を掛けないでいる・・・。 趣味が悪い悪いと言われ続けながら、なぜか、使用頻度の高い人気の便所だ。そういえば、社員や職人さん、ほんとうは、 どう思っているのだろう。今度、聞いてみよう。
こう書いてみると、趣味の悪い会社と思われ、今後の受注に響くかもしれない・・・。それで、
もうひとつ2階の事務所にある便所を紹介すると。それは「ゴッホの部屋」と呼ばれている。(今、急遽、そう呼ぶことにした)
小便器に立って、左を向くと大便器の向こうに、茶色のモザイクタイルを背景にした、ゴッホの「夜のカフェテラス」がある。 ゴッホとミッキーマウスのトイレットペーパーが絶妙に、アンバランスなのだ・・・。
大便器に座ると、小便器越しの正面に、白のモザイクタイルを背景にした、「種まく人」がある。「種まく人」 を見ながら大きな用をすませ、肉体的に、スッキリすると、なぜか元気になる。あらためてこうして、写真で見ると、 この便所が趣味がエエかどうか、確かに疑問だなぁ・・・。
そういえば、うちの家の便所には・・・・・・
年表や、四文字熟語、単位換算表、二桁九九、歳時記カレンダー、地図と、小学校5年生の息子の勉強のための便所と化している。
彼にとってはありがた迷惑な事だろうなぁ・・・。時として、私は「はまる」。意外と、勉強になる・・・・。私よりもおそらく、奥方のほうが、
この部屋で、いちばん勉強しているのかもしれない。まぁ、その割には、その成果があまり、感じられんけどね。いづれにしても、やっぱり、
あんまり趣味エエとは言えないなぁ。
そうそう、矢部達也さん設計による「コトバノイエ」 の便所も凄い。オープンなのだ。それも台所の横。勿論、仕切りがあるし、上下がオープンな扉もついている。趣味がエエのかといえば、 悪いのかも知れない・・・。が、しかしそれはそれで、それなりに格好エエのだ。そして、その家と家族にとっては、マッチしているのだなぁ。 確かに、外ものには、用を足す時、ちょっと勇気がいるけどね。それが、妙に、「意識の目覚め」を呼び起こし、いつも以上に慎重に用を足す・・ ・・・。
まぁ、そんな訳で、、趣味のエエ、悪いより、その家と家族にマッチした個性的な便所をいろいろ造って行くのも良いものだなぁ・・・・・ .。
投稿者 木村貴一 : 2008年02月03日 19:35 « 大阪に雪が積もって | メイン | お餅つきという文化 »