2011年05月29日
五月雨の日曜日
雨。それもけっこう降っている。いつもの五月雨とは違う感じ。もはや梅雨入りだそうだ。
会社の社員と協力業者の50人ほどが集まって、バス1台で、毎年旅行をする。それは、6月の第一週の日月で、丁度、来週だというわけ。数えて今年で56回目になり、聞くところによると、弊社の会長が、雨が一番降らない日曜日を調べると、梅雨入り前の5月の最終週か、6月の最初の日曜日だったらしい。そんな訳で、引き渡しなどが重なる事も少なく、この日程が決定されたと・・・・。確かに、私がこの会社に入ってからかれこれ25年以上になるけれど、一度も雨の旅行の経験がない。
運動会というのは、秋のイメージだったけれど、最近は雨の影響をさけての事か、この時期に開催される学校も多く、うちの大工さんの中にも、娘の運動会と重なって、旅行には行けないんです。なんていう人もいて、そうそう、秋は運動会の季節で、社員も重なる事があるかもしれないので、今の時期なら季節もエエし、旅行に行きやすい。と考えて、日程を選択したのだ。と聞いていた。
今日のこの大雨の早朝の8時に、お引き渡しがあって、それは、日曜日の9時から娘さんの運動会があるので、それまでにという事だった。生憎の雨で、運動会は中止となり、そう言えば、うちの息子の運動会も土日と連続して中止だった。あの震災が影響を及ぼして、梅雨入れが2週間も早まったのだ。とは考えにくいが、それにしても大型台風までやってきて、いやぁ、実におかしな世の中。様々な物事が延期や中止に追い込まれていく・・・・・。
無事お引き渡しを終えて、激しく降る雨の中を車で走る。こういう時は、大きなボリュームで音楽を聴くのが、何となくの気分。それで、IPHONEをFMで飛ばして、カーステレオに繋ぎ、ボリュームをかなり上げ気味にしながら、曲をシャッフルすると、いきなりかかった曲が、マイルスのビチェズブリューだった。この嵐のような雨には相応しい、うねるようなサウンド。
音楽の事は良く理解出来ていないが、それよりも、どんな、「ものづくりのプロセス」を踏むと、こんな、うねるようなサウンドを産み出すことが出来るのかが、「私」の興味の中心で、マイルスの一連の全てのレコードが、ものづくりの聖書のような存在。好き嫌いは別にして、そういう意味では、マイルス先生から学ぶ事は多い。ただ、このアルバムは、私にとっては愛重版とは言い難く、まぁ、たまには、これから家に帰って、じっくりと聞いてみるかなという、モードならぬムードだった。それにしても、このジャケットはいつ見てもインパクトがある。
そんな気分で家に帰り着く・・・。
うちのダイニングテーブルは2400の長さがあって、朝食や昼食は、大きなキッチンカウンターで済まし、夕食はこのテーブルで食べる事がほとんど。帰宅時間の都合で、家族一緒に食べるのは、日曜日ぐらいで、ただ、夜な夜な、食卓のテーブルに一緒に座りながら、三台のノートパソコンを机に並べて、別々にインターネットを眺めている時間が増えてきて、これが、これからの家族のコミュニケーションなのだ。と呼ぶのかどうかは微妙な問題。ま、それよりも問題なのが足下。パソコンの電源の配線が、足下に這いずり回って、かなり邪魔な上に、AC電源のアダプターのBOXが大きくて、ごつごつして見苦しく、何とも落ち着かない気分だった。
2週間前の日曜日の夕方に、急に思い立って、家族一緒にホームセンターに行き、白いネットと結束バンドとマルカンを買って来た。ネットを机の天板の下に取り付けて、コード類をそのネットの中にほりあげてみたらどうだろうか?と考えたわけ。ところが、材料は買ったものの、作業は出来ずにそのままで、それよりも、2週間ほど、食卓のテーブルの横に白いネットが鎮座していて、そこから、「早よ、しいや!」と言う奥方の声がかすかに漏れていた。
そんなこんなで、音楽を聴く気分で帰ってきたが、目に飛び込んできたのは、その白いネットと、かすかな奥方の声。まだ10時前でもあったので、重い腰を上げて、作業をやってみることにした。テーブルの下に仰向けになりながら、はさみやペンチや金槌を持って、まさしく日曜大工姿。たいした作業ではないのだが、家では、めったにないみれない姿・・・。
「結婚して、だまされた事は、建築の仕事をしているから、日曜大工みたいな事をしょっちゅうやってくれると思っていたのに、全くせえへんやん。そんな家の事やってくれる旦那さん、憧れやったやけど・・・・」と、机の下で這いつくばる私への奥方からの叱咤激励だった。「大工さんも含めて、建築に携わる人は、家では、似たようなもんと思うけどな・・・」と這いつくばりながら、精一杯の言い訳で応戦をした。
まぁ、そんな雰囲気で、何とか完成にこぎ着けるごとができて、いやぁ、これで、面目も含めて、ちょっとはスッキリした気分になり、さてさて、このコードラックが、本当に、うまく機能して、役立つのかどうか・・・・。
季節はずれの激しい五月雨。このうっとうしさが、配線のゴチャゴチャをすっきりさせたいという気持ちの負荷に置き換わって、「私」を突き動かしてくれたんだろうなぁ・・・。
投稿者 木村貴一 : 2011年05月29日 23:46 « 木の文化とは | メイン | 大阪の企業家 »