2004年02月15日
吉野の製材所
現在、木工事が進行中の茨木・N邸では上棟に先立って、吉野まで木材(構造材)を見に行った。
国道から吉野川にかかる橋を渡り、吉野神宮に向かう道のはずれ、吉野川沿いに、日本で一番最初に出来たと言われる木材団地がある。
その一角の阪口製材という吉野杉を扱う製材所にお邪魔した。もう数年も前から懇意にしていて、ビフォーアフターの1回目に出演した
「足に負担のかかる家」の撮影時にもお世話にもなった。私は、なぜか、製材所が好きだ。
当社では、構造材は米松や桧・杉をコストパフォーマンスを考慮してその状況に応じて使い分ける。梁として化粧として見せる杉は、九州の杉・
四国の杉・そして吉野杉と主に価格的な要因で使い分けることが多い。
九州の杉の色合いは少し黒っぽくて葉節といわれる斑点が多かったりするが、価格的にはリーズナブルで、素朴な良さがある。
四国の杉の色合いは九州の杉に比べれば赤みが強く、脂がのったしっかりとした節が美しかったりする。
それに比べると吉野杉の肌合いはピンクぽく、きめが細かい。節は小さいが、死に節と言って、穴の空いた節があったりする。価格的には、
やはり割高である。
気候風土と植林とその手入れの違いにから生じる杉の個体差は、どこか人間の個性にも通じるようなところがあり面白かったりする。
さて、1年半ぶりに吉野の阪口製材に訪れてみると、以前より多くの吉野杉が整然と並べられていた。どれもが、適度な節の量と、
うっすらとしたピンクの色合いが印象的であった。
吉野杉を見ると歴史と伝統の重みを感じる。70年以上も前に植林された杉が、山から切り出され、
製材所に丸太としてどっさりと積み上げられ置かれている。別の場所にはその丸太を角材に製材し、
野ざらしで3ヶ月ほど乾燥させてから出番を待つ杉が桟積みをして整然と積み上げてある。
吉野家の牛丼のように「安い・早い・美味い」という、そういうシステムをつくりあげた企業にも、ある種のあこがれを感じるのだが、
2世代以上にもまたがって製品として作り続け、その出番を待つ杉材をみると、もっと違う何か・・・・。
長~い時間をかけてつくられるものづくりと、その持続可能なものづくり集団・・・・。
製材所が好きだったりするのは、その木の香り以外にも、
そんなゆったりとした時間の流れを肌で感じられたりすることに一因があるのかもしれない。、
少し割高にはなるけれど、機会があれば、吉野杉で一緒に家を作りませんか!
投稿者 木村貴一 : 2004年02月15日 22:16 « 残された座敷 | メイン | 水草水槽 »