2010年02月07日

界隈

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コトバノイエの店主のお誘いがあって、そうそう、木村工務店にとっては、お施主さんでもあって、それに会社の応接室というのか、お施主さんとの打ち合わせ室の本棚のセレクトをしてもらった協力者。とよんで良いのかどうか。まぁ、そういう入り組んだ関係性でもあって、とにかく、中津のワンコインブックストアーのラストショーに出掛ける。

IMG_0236それで、数冊の古本を買った。いわゆる古本屋さんに行くのも久しぶりだし、えぇ、ブックオフを古本屋さんとよぶのかどうかは別にしての事で、そんな訳で、勢いも含めて、買ってしまう。ワンコインで買う予定が、合計で、ワンペーパーに。

いままで手に取るのも拒否していた作家の本を一冊。いつか「岬」を読もうとは思っていたが、まだ買っていなかった、その作家の本を一冊。確か学生時代に初版を立ち読みした記憶のある本を一冊。コトバノイエの30冊をセレクトした時にセレクトした本を一冊。何となくその日、唐突に興味を持った本を一冊。あっ、そうそう、この人、今どうしているのだろう。それに、この一冊、立ち読みしたよなぁ・・・という、同じ人の本を二冊。

その中の1冊を今週、パラパラと見る。「界隈」という、ちょっと、忘れてしまいそうだった言葉に、「再会」する。「それらどこの都市に行っても人があつまる場所があり、人と環境がにつまったクライマックスのような部分のあることだ。私はそのあたりを「界隈」と呼んできた。しかも私たちはその界隈の在り様によって、都市のイメージをとらえている。決してモニュメントやスカイスクレーパーではなく、そうしたごちゃごちゃの人間くさい部分にはっきりとそれぞれの都市固有のイメージが焼き付けられている。素通りではなく、その都市の中で生活したい、生息したいと思う都市にはきわめて人間くさい居心地のいい界隈がある。」浜野安宏著。

で、クライマックスのような、そんなたいそうな「界隈」でないにしろ、今週、「私」は、どんな「界隈」に「出没」したのだろうか・・・・・。
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火曜日。堺の美原町界隈の住宅地に出没する。7年ほど前にリフォームをさせて頂いたお宅の双子のお子さんが、もう中学生になるという。それで、その双子のための部屋を「改造」するご相談。

自分たちの食器やお箸は自分たちで作って、それで、食事をしているのだと。双子のひとりは、リフォームした時の印象が強くあって、「建築」を志しているのだと聞くと、ちょぴり、嬉しい。と、同時に、ちょっとした、社会的な責任感も感じる・・・・。───────────────────────────────────
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水曜日。吉野界隈に出没する。お施主さんと一緒に、久しぶりに吉野の阪口製材へ行く。そのついでに、蔵王堂近くの「やっこ」で、柿の葉ずしを食べる。吉野で食事する時は、だいたい、ここ。あと、こばしのあんこまんじゅう。蔵王堂界隈はいつもながら。とってもエエ感じ。
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阪口製材界隈を阪口の息子さんの案内で、うろうろする。「製材」を核とした、独特の界隈。それにしても、天然乾燥された吉野杉の色つやの美しさを再認識する。化粧となる構造材の梁と柱は吉野杉。隠れる構造材の梁は米松。柱は檜と杉。土台は檜。オール国産材とカッコ良くいきたいところだけえれど、コストパフォーマンスを考慮したうえの選択は、エエのかどうか、まぁ、大阪的でもあるわけ。 ───────────────────────────────────DSC04359
ついでに、同じ吉野の丸岡製材界隈にも立ち寄って、床材に使う、吉野杉の板材を見学する。国道と山と製材所。吉野川からの冷たい風が吹いてくる。界隈と呼べるかどうかは別にして、ぼくとつとした社長がエエ感じ。
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木曜日。天王寺区の細工谷界隈に出没する。安藤忠雄さん設計のコンクリートの町家住宅の横を通過して、住宅の密集する界隈をうろうろして、迷いながら、リフォーム工事の現地調査にお伺いする。坂と密集がエエ感じ。わりと好きな界隈。
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金曜日の朝。鶴橋上本町界隈に出没する。ビルとビルに挟まれた「隙間」で、鉄骨3階建ての上棟式があった。独特の景観。ある意味、カワイイ。M設計事務所の設計で、 さてさて、どんな建物になるのでしょうか・・・・・。そういえば、鶴橋界隈こそ界隈と呼ぶにふさわいいクライマックス的な界隈なのかも・・・・。
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おなじ金曜日の夕刻。鶴見区の花博界隈に出没する。H設計事務所設計の住宅の社内検査があって、いや、まだ、少々、工期に追われていて、まだ、残っている工事がちらほら・・・・。道路ではガスの引き込み工事をしていた。道路を隔てた目の前には、花博の公園と、子供達の歓声があって、またひと味違う界隈。 
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土曜日。天王寺区真法院町界隈に出没する。リフォーム工事のお引き渡しがあって、そのお引き渡しの最中に、完成を祝って、御神酒で乾杯をした。これは初体験。でも、なんだか、とってもエエ気分で、こちらこそ、感謝。
───────────────────────────────────DSC04094DSC04451DSC04457真法院界隈には有名建築もあって、エエ感じの界隈。リフォームした住宅には、神社の鳥居をくぐって、到着する。考えて見れば、おめでたい住宅なんだ。2階の窓越しに神社の屋根がど迫力で迫って見えるのが、とっても新鮮。───────────────────────────────────
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いつも、出没するのは、生野区の小路界隈。生野区の小路界隈は「私」の生息地であって、その長屋が建ち並ぶ中の一角に弊社があって、そこに戦前からの加工場があり、10年前までは、丸太も切れる製材所と同じ帯鋸まであった。ほんまもんの加工場だったけれど、音の問題等々、時代の流れに従って、大きな加工機を全部処分して、手加工だけができる、「スペース」とした。

その「スペース」が加工バーとなったり、餅つきバーとなったり、ほんとうの加工場となったり・・・・・。その吉野からの材木や海外からの米松や九州からの杉材や山陰の檜材や「ごちゃごちゃ」の産地の材料をこの加工場に集めて、大工の手加工で、木造の新築住宅を只今、加工中。
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A3TOPスタイル
この小路界隈には、長屋の中で、ものづくりをする家が沢山あったのだけれど、先週のブログのように、どんどん、減ってきた。子供世代は、「外」に出て働くことを選択する。それで、かなりの高齢化。まぁ、そんな中で、店舗を構える数十件が集まって、数年前から、1ヶ月半に1回だけ、新聞に折り込みチラシを入れている。「私」も、その世話人のひとりで、ゆるやかな連携をとりながら、細々と継続している。

きっと、共通のおもいは、派手でなくエエ感じの雰囲気として、持続可能なエエ「界隈」となれるように、皆で、模索しているのだと思う・・・。───────────────────────────────────
エエ感じの「界隈」か・・・・・・。
カイワイとカワイイがちょっと似ている・・・。

投稿者 木村貴一 : 2010年02月07日 14:44 « オリンピックのある日曜日 | メイン | 日本は何をつくるのか。日本で何をつくるのか。 »


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