2006年01月15日
無垢という質
無垢材の床の感触が心地よいなぁと感じる。それは無垢材という「見た目」から受け取る印象が心地よいなぁ・・・ という感覚とはまた違って、触れて、伝わる「感触」として心地よいなぁと思う。なぜか、よく判らないがそんなふうに感じるのだ。 そしてそれが、床材の種類によってその感触がまた違う。それぞれが個性を持っているのが面白いなぁと思うのだ。国産の「杉」「ヒバ」「檜」 「から松」「楢」「栗」・・・外材の「チーク」「パイン」・・・etc・・・ 目をつぶって当てろと云われても正確には当てられないだろうけれど、それなりの感触の違いがあり、それが魅力的だと思う。
ところが、無垢材の床といっても合板の上に無垢材をスライスした単板を貼ってあるのがある。例えば15mmの床材があるとすれば、 3mmほどの単板を貼り、残りの12mmが合板で出来ているという床材だ。じゃぁ、15mmがまるまる無垢で出来ているのと何が違うのぉ・・ ・ていう訳だ。無垢材は「縮む反る捻る」と、まぁ、なんというか生身の人間の心のようなものだなぁ・・・。合板で出来た「見た目」 無垢材はそんな現象は起こらない。というよりそんな現象が起こらないように矯正し整形してあるわけだ。見た目を残し、 内面に宿る個性を殺してある。そのまんま無垢材と合板で出来た見た目無垢材も確かに「見た目」はよく似たものだが、 触った時の体感温度が確かに違うのだ。機会があればふたつを同時に比べて欲しい・・・。無垢材独特の感触の暖かさがある。 無垢の床の厚み全てが呼吸をしているというような感触かな・・・・。 合板の床材には例えば3mmの厚みの呼吸しか感じ取れないと云っても良いのかも知れない。
ところが、ところが、この呼吸をしている無垢の床材の上に厚塗りのウレタン塗装を施した製品もある。そうすることによって、 手入れをしやすくしようというわけだ。それに光沢を持たそうともするわけだ。それはそれで、それなりに理解はできる。確かに手入れがし易い。 簡単に拭けば終わり。っというので、便利だ。ところがところがところがでぇ、 ウレタン塗装をしている床とそのままの無垢の床とを同時に触れてみると、ウレタン塗装をしている床は、はっきりと「冷たい」。 呼吸を止められて死んでしまったかのような感触さえする。良いとか悪いとかの問題ではなく、「感触」が違うのだ。そこで、 無垢の床材の呼吸を止めないようにと植物性で浸透性のある塗料が使われる場合も多い。オスモとかリボスとが云われる塗料が有名だなぁ。 それをお手本にした国産の塗料も沢山出回ってきた。
無垢の床材を塗装するかどうかも悩ましいところである。まぁ、一般的には自然塗料とか云われてる塗料で塗るのが普通だろうが、 無垢の床材は塗装しなくても別にかまわないのではないのかと思うことが多い。わたしたちは、昔ながらの美装業者を「洗い屋」 さんと呼んでいるのだが、その人達に塗装されていない無垢材を上手に洗ってもらうと新品のように美しくなる。 新品というより洗いざらしのジーパンのように風合いの良さを保ちながら綺麗な床材になる。それが何となく好きなんだなぁ・・・・。 リフォームの時、床や柱や梁という無垢材を「洗い屋」 さんによって洗いざらしのジーパンのような感覚でウオッシュしてもらうのもお勧めだなぁ・・・。(あれぇ、前にも書いたっけ?)
さて、自邸をリフォームした時、子供部屋の床をどうするか考えた。工務店らしくといえるかどうか・・・、兎に角、 今まで使って余った床材ばかり集めてコラージュして貼ることにした。無垢材もちょっとはあるが、 ほとんどが合板で出来たフローリング材だった。子供部屋やし、まぁ、そんな程度でええかぁ・・・っと。他の部屋は皆、無垢の床材だった。 「杉」「栂」「チーク」など。1年ほどすると息子がブツクサ文句を言い出した。差別やぁ・・・と。俺の部屋だけ床冷たい・・・と。 「他の部屋は無垢材やから直接座っても気持ちええけど、俺の部屋は直接座ったら冷たいでぇー。カーペットでも敷いてくれぇー」と。
ケチらんと子供部屋の床も、安もんでもええから無垢材にしておけば良かったかなぁ・・・と、それなりに反省している。子供達にこそ、 「無垢」という感触に親しみ、「無垢」という感覚を学び、「無垢」という質を育てていく必要があるのではないのかなぁ・・・・と。
投稿者 木村貴一 : 2006年01月15日 20:14 « 冬の日差しを楽しむ | メイン | 玉串奉奠 »