2006年11月05日

ゴルフ

ゴルフというのが、あまり、好きでもなく、そんなわけで、当然、得意というわけでもないのだが、かといって、嫌いでもなく、 ドライバーをガーンと振って、ボールが芯を捉えたその感覚が体に伝わり、青空に向かってギューンとボールが飛び出し、 フェアーウエーの真ん中にボールが転々と転がる様子を眺めている時は、確かに、独特の気持ち良さが体を覆う。

ボールと芝の間をクリーンにヒットしたアイアンが感じよく振り抜けて、打ったボールがグリーンにストンと乗って、ナイスオン、 なんていう言葉を聞き、グリーン上に出来たボールのくぼみを修復していたりすると、確かになんだか心地よい感覚が体を包む。

長い距離のパットをコロコロとボールが転がり、ほとんど、偶然かまぐれかで、コトンという金属音を響かせて穴に入った時は、 思わずガッツポーズも出てしまう。まぁ、どちらにしても、私の場合、それらの心地よさは、ごくたまにしか起こらないのだなぁ・・・。

協力業者の中で、電気屋さんのT野さんと鉄骨屋さんのY井さん、材木屋さんのO本さんはもう50年以上前から付き合いをしている、 祖父の代からの業者さんだ。私が社長を引き継いだのを機会にして、70回ほど続いていたゴルフの会を復活しろよ!と言う。 ゴルフ好きではない私を前にしてそう言うのだった。もともと、このゴルフの会は私の祖父のゴルフ好きから始まったのだが、 バブルが崩壊して以降、長い間、中止になっていた。

祖父のゴルフ好きは趣味を遙かに超えて、何というのかなぁ・・・人生の一部だったのかもしれないなぁ・・・。祖父は、 今から40年以上も前に突然ゴルフを始めた。ゴルフの練習をするために、借家として貸していた長屋の中を改造して、ゴルフ練習場にした。 間仕切りを全部取り、壁に古い畳を貼りめぐらし、ネットを張った。そして、床を掘って、砂を入れ、バンカーまで造った。 打席の前には等身大の鏡も貼ってあった。長屋の扉を開けるとゴルフ練習場が現れるのは、今からおもうと、ほんと、「おもろい」なぁと思う。 まぁ、いわゆる「劇的」ビフォーアフターだなぁ・・・・。今、その同じ長屋は、私たちの居間と子供部屋として、私なりの劇的ビフォーアフターが施された。

祖父は長屋の中だけのリフォームに飽きたらず、 会社の作業場の屋根の上に20メーターほどの打ち放し場を鉄骨で組み上げるという増築工事に及んだ。 よくあるゴルフ練習場のミニチュア版だなぁ・・・・。打ったボールが樋を伝って、手元に戻ってくる仕組みまであった。たまに、 屋根の上に器用に造られた洗濯物乾し場が乗っかている光景を見る。それはそれで、日本的な光景で、ある種の美しさも感じるのだが、 そんな洗濯物乾し場が屋根に乗っかっているような感覚で、鉄骨のゴルフ練習場を屋根の上に乗っけてしまった。もう、 何年も前に取り払われてしまった、その場所を見る度に、よう、こんな場所で、ゴルフ練習場、巧いこと造ったなぁ・・・、「おもろい」なぁ・・ ・と、ヘンに感心する。これも、やっぱり、それなりの「劇的」ビフォーアフターだったのだなぁ・・・・。そして、それら二つの場所は、 私の子供時代の格好の遊び場でもあった。

明治生まれの豪快で、ダンディーな気風は今の時代にはそぐわないかもしれないけれど、ともすれば、忘れがちな、 「ものづくりに対するエネルギッシュな姿勢」は、やっぱり、ものづくりの基本的スタンスなんだなぁ・・・と、自分のことを顧みて、反省して、 そう、おもう。ちなみに、祖父が日当たりの良い縁側で、パーシモンのゴルフ道具を並べて、オイルで丁寧に拭いている様子が、 何度もあった印象として残る。大工として育った祖父の、道具を大切にする姿勢が、そんな所にもあったのだなぁ・・・と、今頃、 わかるようになる・・・・。

で、そんな意味でも伝統的な?ゴルフの会を復活しろよ!、私がゴルフ、へたくそやったら、皆で一緒にゴルフ行かれへんやないかぁー! と、かつて、祖父に、無理矢理?ゴルフ練習場を造らされるはめに陥った3人の業者さんに、諭された。それで、半分渋々、いぁ、半分心から、 ゴルフの会をすることになった。1ヶ月ほど前に突然決まったにもかかわらず、27名もが、参加して、ゴルフの会を開催したのだった。 やっぱり、ゴルフって、根強い人気があるのだなぁ・・・と、あらためて、そう、思った。

今回のゴルフの会には、うちと、水道屋さん、塗装屋さん、解体屋さんが、親子として、参加した。お互い、 親子でゴルフに行くことなど滅多にない。まぁ、個人住宅をメインに仕事をする昨今の私たちにとっては、親子代々にわたって、仕事を続け、 お客様のメンテナンスが出来るというのも大変、重要なことかもしれない。そんな意味合いでも、ゴルフを通じて、 親子にわたって親睦を深めあえる機会というのも、それなりに、ええもんかなぁ・・・て、感じた。ちなみに、 私たち親子の合計スコアーは203。まぁ、これで、私たち親子が、どの程度の腕前か、想像つくでしょ!。仕事のほうが、一生懸命なんだぁ! と、ブツクサと言い訳したいのだなぁ・・・・!

 

 

投稿者 木村貴一 : 2006年11月05日 11:11 « will | メイン | モノ »


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