2013年03月24日
旅は道連れ建築行脚
そもそもの始まりは、Forwad to 1985 energy lifeという、省エネのイベントが埼玉であって、建築の設計をしている48歳のウエノくんと明石で工務店をしている35歳のオオツカくんの3人で大阪から車で埼玉まで出掛けて参加した。それが珍道中で、延々とあれやこれやと喋り続ける二人に、突っ込んだりしながら、往復の合計18時間、一度も会話が途切れるコトがなかった。あまりにも愉快な旅だったので、次は3人で日帰りの建築巡礼をしようよ!というコトになった。
暮らし省エネアドバイザー試験というのがあって、前々回のブログでぐたぐたとその様子を書いたのだけれど、とりあえず、ぎりぎりの成績で、なんとか合格してホッと胸をなでおろした次第で、「それはそれとして」、とにかくその時に、久しぶりに3人が一緒になって、じゃぁ、3月20日の祝日に建築巡礼をしよう!と、お互いのスケジュールを強引に調整して決定した。「何かを為すためには、まずスケジュール調整から」なんていうコトバがリアリティーを持って理解できるようになってきたのは、50歳を過ぎてからのコトだとおもう・・・・。
金沢の谷口吉生設計による鈴木大拙館と同じく谷口吉生設計による片山津温泉街湯が今回のメインテーマで、いわゆる「谷口吉生モード」な旅なのだ。それで、そうそう、建築家のヤベさんと、いつか谷口吉生を見に行きましょうよ。なんていう会話があって、それが脳のどこかに引っかかっていて、それでお誘いすると、ご夫妻で参加しますよ。という返事だった。
車は6人乗りのミニバンで、あと1席空いているので、お誘いする順序があるのかどうか、それは定かではないが、いままでの流れから判断すると、まずは、お施主さんでもあるコトバノイエのカトウさんを駄目もとでお誘いすると、参加しますよ! というちょっと意外な返事だった。この20日は水曜日の定休日と祭日が重なったカトウさんにとっては特別な祝日だったらしい。そんなこんなで、この一連の経過をウエノくんとオオツカくんにフェースブックのメッセージとして送ると、いいですよ!と快い返事と共に、「旅は道連れ」ですから、というウエノくんからのメッセージがあった。
「旅は道連れ」かぁ。このコトバは、久しぶりに聞くコトバで、なぜか、とっても新鮮な印象を「私」にもたらした。「旅は道連れ世は情け」。故事ことわざ辞典によると・・・・
【意味】
旅は道連れ世は情けとは、旅をするときに道連れがいると心強いように、世の中を渡っていくには人情をもって仲良くやっていくことが大切だということ。
【注釈】
昔は情報量も少なく旅先に知人などもおらず、今と違って旅は大変不安なものだったことから、旅に同行者がいるということはとても心強く感じられる。同様に、人生の旅も人の情けや思いやりがあってこそ心強く感じられるものだし、助け合う気持ちが大切だということ。
単に「旅は道連れ」ともいう。
『江戸いろはかるた』の一つ。
最終的には仕事の都合でヤベさん夫妻は参加出来なくなって、ウエノ、オオツカ、カトウ、キムラの男だけの4人旅になった。その旅の様子を、オオツカくんはフェースブック上で、「男四人の日帰り建築行脚の旅」と表現した。
あんぎゃ【行脚】とは、「中国で禅僧が行雲流水のごとく天下を遊行すること」をいうのだそうだ。確かに「行雲流水」のごとく建築を見て回る旅だった。大阪小路 → SANNA:金沢21世紀美術館 → 谷口吉生:鈴木大拙館 → 中村好文:モノヒト → 谷口吉生:片山津温泉街湯 → 堀部安嗣:イヴェール・ボスケ → 大阪小路 と、谷口吉生以外は、現地でのフェースブックを通じた情報などから、行く雲のごとく、流れる水のごとく、見学場所を決定し、昼食場所を決め、お茶をし、さまざまな会話繰り返し、男4人でお風呂に入り、男4人でケーキを食べ、男4人でぺちゃくちゃ建築談義をし、それは行雲流水のごとき建築行脚というより、女子会のごとき「旅は道連れ建築行脚:谷口吉生編」だったのかもしれない・・・・。
そうそう、鈴木大拙館で、4人が印象深く受け止めたコトバがあって、鈴木大拙の口癖だったそうな「それはそれとして」。おそらくこのコトバは、ひとに「リセット」ボタンを押すような役目を担うコトバなのだろう。そこで、鈴木大拙さんにあやかって、そのコトバを発してみようかとおもう。「それはそれとして」かねてより躊躇していた、ウィリエールというイタリアのカーボン製ロードバイク(自転車)を購入したのが、この金曜日のコトだった。
「まちのえんがわ」ワークショップに参加してくれているウィリエールの日本代理店、服部産業の営業マンで自転車乗りでもあるキタムラくんは、「旅は道連れ世は情け」的なひとなのか、「私」にロードバイクの魅力と面白さを体験させてくれて、それまで、全く何の興味もなかったロードバイクの遊び方と楽しみ方を垣間見る。そんな訳で、本日の「私」の初乗りサイクリングを企画してくれて、神崎川の「なにわ自転車道」をメインに61kmほど走る、まぁ、いわば「神崎川モード」なサイクリング。
当初、京都まで、という予定もあったが、神崎川で、京都の山へ向かうより、大阪の海に向かうことを選択し、つまるところ、大阪の川と海と街をサイクリングし、54年間大阪の下町に住んでいて、小路布施近辺をママチャリで走る以外、自転車で走った経験がなく、それで、今までまったく見たことのない大阪の光景に出くわして、意外と大阪もエエ街やなあ・・とおもったりした。ところで、大阪の街をサイクリングすると随所で、うちで施工した現場近くを通過することになって、ちょっと気になって立ち寄りながら何度か記念写真を試みた。撮影はしなかったが立ち止まった家も多数。この地図の近辺で、うちで施工したお施主さんが、このブログを読んでおられるのなら、さりげなく、家の前を通過してますから。そうそう、四天王寺さんでは、建築家のデザインエンジンの藤原さんに、偶然お会いした。
キタムラくん曰く、結局は、木村工務店の建物探訪になりましたね・・・・と。そういわれれば、今日のサイクリングは、「旅は道連れ建築行脚:サイクリング編」だだのね。
投稿者 木村貴一 : 2013年03月24日 23:59 « ちょっとしたアドベンチャー | メイン | 図と地 »