2013年02月24日

北の文化

北海道札幌はかなりの雪で、地元のひとに聞いてもいつもの1.5倍だべ。という。北海道の建材商社キムラが主催するドームでの建材展示会と共に、北海道の断熱住宅を見学するツアーがあって、「まちのえんがわ」の吉野遠足やワークショップにも参加してくれている、大阪営業所長のサトウさんの案内で、北海道の普通の住宅街をレンタカーで回りながら、町の工務店が造る、断熱住宅を見学する。

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昨年も同じように札幌の町の断熱住宅の建築現場を見学し、そこで見た袋に詰められていない断熱材を壁の中に入れて、その断熱材の表面に気密シートと呼ばれるシートを貼ることによって、室内の湿気が壁の中に入ったり、壁の中からすきま風が出てくるコトなど漏気を防ぐための気密工事というのがあって、キミツというコトバが閉塞感をイメージさせ、そのイメージを払拭するのはムツカシイので、このことはこれ以上言及しないことにして、とにかく、北海道の地元の工務店の人たちが、関西だったら、断熱材の厚みはそこそこあれば、キミツシートを貼る技術さえ覚えれば大丈夫だぁ。という宴席での軽いアドバイスをそれなりにしっかれと受け止めて、きっちりとした断熱工事を東住吉Y邸新築工事で、初めての試みとしてやってみると、この冬は、夜寝る前に暖房を切っても、朝方の家全体の温度は、14度前後だという報告を頂戴し、それは、大阪の冬をそこそこの金額と技術で、心地良い暖かさの家で暮らす試みの成果なのだろう・・・。

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そういえば、作業中の地元の大工さんと会話をする機会があって、その大工さんが、袋詰めの断熱材っていうのが「内地」にはあるって云うの聞いた事があるけど、見たことないわ。そんなのまったく気密の役にたたないね。なんていう、大阪の工務店や大工さんにとっては「カルチャーショック」のようなコトバを聞いて、その時の光景が残像として今も残る。

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そうそう、「ピーチ」に乗って北海道を往復したのだ。往復運賃は12,000円ほどで、東京までの片道運賃ほど。それに関西第二ターミナルの待合室はラウンジのような雰囲気でエエ感じ。確かに機内のシートの前後間隔は広くはないが、国内線なら充分我慢出来るレベル。機内サービスは有料だけれど、国内線ならなくたって・・・・。スチュワーデスも普通にエエ感じ。という、このブログは、本日、社員と協力会社有志で、岐阜へのスキーツアーへ行った帰りのバスの中で書いていて、そのバス代金が13人で、ひとり1万円の予定が、キャンセルがでて、最終は10人+子供一人になって、ひとり13,000円で、これって、北海道往復出来る値段じゃぁない。「サービスと価格と規模」の、ちょうどエエバランスという問題を考えさせられるなぁ・・・・。 ちなみに、岐阜は猛烈な雪が一日降り続いて、ゴンドラは止まってるし、寒いのなんの、でも、一日中の圧雪のないふかふか新雪スキースノボは、これまでのサイコー。
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そんな話より今回は「北の文化」の話。札幌の地元のひとに案内してもらって、昨年に引き続き深夜に「だるま」でジンギスカンを食べる。看板に漢字の成吉思汗とあり、いかにも老舗の感じがして、何よりも店の前の路地と店内の雰囲気は抜群にエエ感じ。相変わらず、深夜なのに雪の中で行列をしてまで、ひっきりなしにお客さんがやってくる様子には、やっぱり驚く。すすきののスナックで、焼き魚のニシンを食べる機会があって、卵をはらんでいるニシンがあっさりとした味で美味なのには驚いたが、地元のひとは、ほっけの方が人気があるのだという。それは、ニシンには小骨があってそれが取りにくくていやなのだそうだ。ほっけは骨がないから食べやすいのだとか。それは骨の問題だったのかぁ・・・。北の「食」文化を垣間見る。

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断熱住宅見学ツアーの建物の中に、構造用合板と間柱と梁が内部に化粧として見えて、一階の土間がコンクリートの上にタイルやカーペットを貼った木造2階建ての雑誌編集社の建物があって、外部は断熱材にガルバ貼りで、コンクリートの土間には床暖房が施こされてあり2階は蓄熱暖房。外気温が0度以下なのだが、1階も2階も均質に心地良い暖かさで仕事中だった。建築家タイプの家だって、冬に快適な暖かさになるのだな。

同行した北の国出身のサトウさんは、冬に、外はめちゃくちゃ寒いが、内は心地良い暖かさのリビングで、アイスクリームが美味しく食べられる家というのが、ちょっとしたステータスだという。そんなの大阪人の「私」は考えた事もなかった。北の文化から生まれた心地良さの感覚だな・・・。

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DSC05078札幌のモイレ沼公園すぐ近くに、地元の工務店が建てた木造2階建てモデルハウスがあって、それは、外壁の断熱材が400mm厚で、南に大きいトリプルガラスの窓を付けて、床はコンクリートの上に無垢のフローリングやタイルを貼って、太陽からの蓄熱と素材の体感温度による心地よさがあって、普通の空調機1台によって家全体が心地良い暖かさになる家を実現していた。外は当然マイナス0度以下。

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雑誌などにある空調機1台を床下に取り付けて土間コンクリートの蓄熱と床下の温風で家を暖かくするという特殊解ではなく、普通に壁に取り付けた空調機と、普通の南面窓からの太陽熱を取り込んで、家全体を暖かくするためのパッシブな家。そのための窓や断熱材や土間や素材を工夫していくという、いわゆる王道がエエ感じで、北の工務店的文化の反骨精神を垣間見たおもい。

数十年前に、北海道の北方民族資料館で、アザラシの腸を丹念に縫い合わせたアノラックを見たことがあって、寒い地域の人々の生きるための「衣」に関する様々な「工夫」を見て、寒い地域の方が民度が高いのかも?と感じた事があった。今回の旅では工務店の「住」に関する様々な工夫を垣間見て、この「北の文化」をそのまま真似をしようとおもわないが、その地域の風土に根ざした、寒さに対する様々な工夫を試してみようとするその「精神」は、素直に見習いたいと感じたの、だった・・・・。

投稿者 木村貴一 : 2013年02月24日 23:59 « 相談事 | メイン | 材料とのコミュニケーション。 »


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