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2017年06月25日
まちに参加する
19日を生野の日とする生野区の企画があり、それに乗っかる形で、毎月、何かのテーマで、「まちのえんがわ」ミーティングを開催するようになって、6ヶ月ほど経過した。そのほとんどが、「空き家カフェ」(生野区空き家活用プロジェクト)というテーマで催していて、この19日も、加工場に20名ほどのひとが集まって談義した。生野区に住みたいひと、空き家をお持ちの家主さん、不動産のプロ、建築のプロ、まちづくりに関わる方々、行政の方々、日本政策金融公庫の方など、多彩な顔ぶれでのコミュニケーションだった。
こういう場に参加して、空き家を探そうとするひとは、「まち」と関わりを持ちながら住みたいというひとたちで、「生活を営む家を探す」という不動産的な土地探しや中古住宅探しという感覚だけでなく、その「まち」に暮らすひとたちと繋がりを持ちながら、自らも「エエまち」にする住民として、まちに「参加」しようとするひとたちなのだろう。「私」も、「まちに隠れて住む」、というような感覚を持っていた時期もあったが、「まちのえんがわ」を始めてから、「まちに参加する」という感覚に気付くようになった。まちの「観客」から、まちの「参加者」になるような感じ。
おなじように、この場に参加される家主の方々も、空き家を借りたいひとと出会いに来る、という感じだけでなく、もちろん、ビジネス的には、それは大切なアプローチなのだけれど、それだけでなく、まちの活性化に関わりたいというひとに、家を貸したい、と願っている方々で、「まちづくり」に参加するというのは、ちょっと大げさで、「まちに参加する」という、軽やかな感覚を持っているひとに、家を借りて欲しいというニュアンスなんだとおもう。家主さんも、自分たちのまちを良くしたいという、「まちに参加」しようとする家主さんなのだろう。
日本政策金融公庫の方が、「企業活力強化資金」という融資をレクチャーをしてくださって、そのなかに、最近出来た、<空家等対策関連>という融資があり、「空家等対策計画を策定している市町村の区域内において不動産賃貸業を営む方で、老朽化した賃貸用不動産の改修を行う方が対象です。」という貸付だそう。
老朽化した空き家を持つ家主さんの多くは、その空き家の水回り等の設備を含め、仮に、300万円ほどのお金をかけようとする時、手持ちの現金がなくなると、将来発生するであろう相続の問題を考えると、将来の相続税を支払う現金が少なくなることに不安が大きく、銀行の融資は、担保等の面倒な問題があり、また、改修しても借り手がいるのかどうか、などなど、あれやこれやと、改修を躊躇することが多い。
そうそう、ある会合で、いま、若いひとが、車や家にお金を使わないのは、将来の年金が支給されないかもしれないという不安が大きく、現金を使いたくないし、ローンを組むことにも躊躇する状況で。65歳以降、生活できる最低限の年金は、必ず支給されます。と政府が約束をするのが一番大切やとおもう。と語ったひとがいた。いろいろなひとが、それぞれの立場で、なんとなく躊躇してしまう気分の時代なんだろう.....。
それにしても、空き家が、大きな社会問題になってきた昨今、いろいろな立ち位置のひとが、それぞれの立場で、まちの観客から参加者になってみる、そんなライフスタイルが、求められている時代なのかもしれない。
2017年06月18日
ポリリズム
唐突に、マイルスの「BITCHES BREW(ビッチェズ・ブリュー)」を聴きたくなる時があって、おそらく7年に1度ぐらいの割合なのだろうが、この歳になっても、聴く度に、新たな発見のようなものがあるのが、マイルスの面白さなのだろう。そんなコトより、そういう時の「私」の精神状態というものが、いったいどういう時なのか.....というコトで。いわゆる、ぶっ飛びたい気持ちになりたい時なのか.....。どうしても何かを革新したい時なのか.....。とにかく変化を求めている時なのだろうが、聴きながら、こんな、多彩で個性的なメンバーで、複合的なリズムを奏でる工務店として、マイルスが吹いているように、活動してみたい.....、建築を造ってみたい.....と、おもっていたのかもしれない。そうそう、時折、ミンガスグループのような工務店になりたいと、想うときもある。ついでに、2枚組のCDを、通しで、聴いている間、時折、同居する孫が、乱入してきて、腰を振って、そして、どこかに立ち去っていくのが、3度ほど続いた。
今日の日曜日は、左官ワークショップがあり、版築という手法で造る傘立てで、想定以上に時間がかかって、皆で、粘り強く、土を突く、トントンという、複合的なリズムが響くなかで、時間をかけて作り上げた甲斐があり、それなりに素敵な傘立てが出来たワークショップだった。参加してくださったお客さんが、多彩なメンバーで、最近の「ものづくりが好きな層」というのは、職業も年齢も性別も多彩で、個性的なのが、特徴だとおもう。そんな、ものづくり好きな方々と、家づくりが出来るコトが何よりのコトなのかもしれない。
この木曜日の夜、Ms建築設計事務所の「三澤康彦さんお別れの会」があり、おそらく、日本中の工務店が、「木の家」を、いま建築出来るのは、三澤さんご夫妻の、木造建築に対する、木取りと伏せ図を含めた丁寧な木の家の設計と、「木」を山から製材所を通じて町へ供給するシステムをトータルにオーガナイズした、そのパイオニア的な努力があってのコトで、「私」も、かつて、三澤さんと一緒に仕事をする機会を得て、「木の家」の造り方を学んだひとりであり、その恩恵を受けた、「工務店」といえるわけで、三澤康彦さんへの感謝とともに、ご冥福をお祈りしたい。
2017年06月11日
熊野詣
土曜日の夜、長男の友達ユートが、家に遊びに来て、なんでも、ベルリンからの一時帰国らしい。長男が高校生の時に、うちの家に、よく遊びに来ていた同級生で、一緒に四万十川をキャンプ旅行した想い出が、とっても懐かしく、脳内では、「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」なんていう芭蕉のコトバが、唐突に、思い浮かんだ。ベルリンとクロアチアが面白いらしい。カオスの縁なのだそうだ。「日本の将来が、今より良くなる」と、想像することが出来ない、そういう気持ちになっている、日本人の心が、問題なのではないのか、と彼は云う、「若い人が、何かやろうとすることを、おじさんたちが、潰さないで欲しい」なんてことも話題になったけ。庭で、焼き鳥を、炭火で焼いて食べて、焼いて食べての夜会だった。
長男が幼稚園の時に、その友達家族数組で、川遊びをしに和歌山に出かけた。その時、その子供さんのひとりケンちゃんが、溺れた。その一瞬、私の体から、アドレナリンがブワーっと出て、川に飛び込んで、助ける事が出来た。それで、一応、命の恩人ということになっているのだけれど、その彼が、この土曜日に、ユートに誘われて、うちの家に、夜な夜なやって来て、数十年ぶりに、再会した。今年、国家試験に合格したという。穏やかな話し方で、その時の川での話、スキーの時の話、あれからいままでの話を聴いた。偶然のタイミングで、ケンちゃんの母から、彼に電話があり、うちの奥方と共に、再会の会話で一気に盛り上がった。川で溺れたニュースがあると、その時のコトを想い出すというケンちゃんの母。あの時、確かに、アドレナリンが出て、救出した直後は、なんてことなかったが、帰宅する運転中に、その状況を想い出して、足に震えが、ぶるぶる来た。そんな記憶が蘇る夜噺だった。きっと、こんな想い出を、皆で語り合って、再体験し、消化し、お互い、新たなステージに向かい始めるのだろう....。
今週の日曜日、月曜日の「伊賀」と「熊野」の研修旅行の最初の見学地は、室生寺だった。こんなに近いのに、今まで行ったことがなかったが、写真でみる以上に良く、それぞれのお堂へのアプローチが多彩で感じがエエ。五重塔を含め建物の大きさが、心地良い大きさで、あ~、エエなぁ~、また、行こっ。とおもえる体験だった。
伊賀の金谷で、炬燵のような座卓に置かれた鍋を、4人で囲んで、すき焼きを食べる。そんなテーブルが13ほどあり、仲居さんが作ってくれるのが、とってもエエ雰囲気。何よりも、50人ちょっとの大人数で、食文化を共有体験するコトが、面白い体験だとおもう。その後、伊賀の町を自由散策したが、「昭和なデザイン」の店舗が、城下町の町屋と共に残存している、閑散とした町が、エエ感じにおもうのだ.....。モダニズムの坂倉準三設計の伊賀庁舎が、ほとんど観光客に気付かれることもなく、話題にされることもなく、残存している姿が、とってもエエ感じ。それに忍者と芭蕉が絡んでくるのが、妙に、謎。
伊賀焼の長谷園へ行く。テレビにも放映されて、人気らしい。スーベニアとして、「まちのえんがわ」での加工barでの宴会用に、大きな鍋と陶板グリルを買うと、2割引だったが、楽天の方が安いような.....。こんな里山に、立派な登り窯とエエ感じの工房と建物群がある、村的が、エエのだろう。
紀伊長島で、ホテル季の座に泊まる。露天風呂に入り、精親会の総会をし、宴会をする。伝統にのっとり、畳にお膳の宴会。宴会芸もなにもなく、たた、食べて、飲んで、語って、語って、2時間が過ぎ、2次会では、若いエネルギーが、若者らしくはじけて、宴が盛り上がり、そんなこんを通じて、なんだかんだが、リセットされるのが、エエのだろう。
熊野古道の発心門王子から熊野本宮大社まで7kmほどのハイキングをする。里山の古道を歩く心地良さ。蟻の熊野詣といわれるほど、室町時代、多くのひとが、連なって、熊野本宮を目指して歩いた、そんなブームを追体験できたかどうか、精親会の熊野詣。熊野本宮大社の建築が独特で、好きだなぁ.....。これで、2度目だが、車で訪れた時より、歩いて辿り着いたほうが、印象度が増すのだろうか。神仏習合が何より印象的。わたらせ温泉で汗を流して、バスの旅は終わった。
熊野詣を終え、木村工務店と精親会も、新たなステージに向かいたいものだなぁ.....。
2017年06月04日
特異日
毎年、今日の、6月の、第一日曜日と月曜日は、社員と大工さんと手伝さんいと協力会社による研修旅行の日に決まっていて、木村工務店に入社して、33年間ほど、ほぼルーティーンのようなバス旅行なんだけれど、どうやら、6月1日が、晴れの「特異日」らしく、このあたりの日曜日と月曜日を旅行の日と、先代社長が、決めたようで、それに、土曜日の宿泊は、金額的にも高く、混雑気味なので、日曜日と月曜日の一泊二日になったらしい。
ところが、最近、10月の運動会が、この6月第一日曜日に変更になった学校が増えてきて、旅行に参加出来ないひとが、ちらほらでてきた。どうやら、ここのところ、秋晴れといわれる10月の天気が不安定で、熱中症もあり、この晴天率の高そうな5月の終わりから6月の初めに、変更になってきているらしい。また。1学期に行うことで、新しいクラスの結束力を高める目的もあるという。
確かに、毎年毎年、バス旅行を続けてくると、結束力のようなものが、生まれてくるのも確かで、入社したての社員も、この旅行を通じて、一気に、協力業者の方々や職人さんとの距離感が縮まるわけで、「ものづくりの仲間」で、旅行という共有体験を通じて、「チーム」として、エエ建築を造ることが、「工務店」の最大の使命なのだろう。
今年の2月に、うちの社員の3人が、同時に子供さんが誕生した。15人ほどの会社で、この確率は、かなり珍しい出来事で、2017年2月は、喜ばしい記憶に残る「特異月」となったが、さて、その3名の子供さんが、学校に通うようになると、あたりまえながら、運動会があり、その日が、この会社の旅行と重なる可能性が、大いに出てきて、さてさて、いよいよ旅行の日程をどうしようか.....というのが、最近の迷い事のひとつになってきた。晴天率の高い日を探し求めて決めた日程が、いつしか、皆に知られるようになると、沢山のイベント事が、その日に開催されるようになり、そうなったらそうなったらで、いろいろなコトが重なるという、良い日取りを決めるというのは、ムツカシイですなぁ.....。
そんなこんなで、本日、4日日曜日と5日月曜日は、「伊賀」と「熊野」研修旅行のため、会社での営業と現場での作業はお休みさせて頂きます。「まちのえんがわ」は二日間とも営業しておりますので、ご理解のほど、よろしくお願い致します。
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