伝統建築と対話

こんばんは、タカノリです。

今日から6月、緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ浮かれてはいられないムード。
気を抜かずに節度を守った生活はまだまだ続きそうですね。

今、設計を担当している蔵と現場監督をしている稲荷社の2つの伝統建築が
引き渡しに向けてラストスパートです。

生野区の蔵改修工事は遂に足場が外れました。厚み30センチもある頑丈な土壁の上に漆喰と焼杉板が貼られ、
白と黒のコントラストと瓦が眩しく美しいです。
思えば、10センチ程も傾いていた蔵を、揚げ屋さんと呼ばれる建物を持ち上げるプロフェッショナルを呼び、持ち上げ、傾きを修正するところから始まったこの工事。
普通の建物に比べると一筋縄ではいかない部分が多く、元々の建物の力強さを如何に見せれるかというところで、悩み、時間もかかりましたが、もうすぐ着地できそうです。

玄関の壁は左官屋さんと相談し、少し特殊な掻き落とし壁にしました。

2階まで続く本棚。ロの字型に組まれた梁の上はガラスの床になる予定です。

 

清見原神社では、いよいよ美装工事。
まずはお湯を使って全体を洗浄し、一度数日乾かしたあと、再度洗いをかけます。お稲荷様に良い状態でお引越しして頂けるよう、最後まで気が抜けません。

伝統建築の改修に関わらせてもらうと、日本の職人さんの凄みがひしひしと伝わってきます。
大工、左官、板金、洗い、etc,,それぞれのエキスパートがその建築、そして材料と向き合いながら進めていく様は、文字通り「対話」しているようで、日々感動を覚えます。それは建築そのものとの対話でもあり、またかつてそれ建築に携わった職人さんとの会話でもあります。
伝統建築を前にすると、まだまだ知識不足でなかなか職人さんが動く先々を考え巡らせることは難しいですが、この経験を活かし、設計や監督として対話できる様になりたいと思う今日この頃です。

 

takanori

by タカノリ