山形県川西町吉島地区との交流会
山形県に川西町吉島地区という地域があるそうで、そこの「NPO法人きらりよしじまネットワーク」という団体のメンバー11人と「ものづくりセッション」メンバー10人ほどが、木村工務店の加工場に集結し、会合を催した金曜日の夜だった。「世界一受けたい授業」に出演していた中村先生が、ふらっと、ものづくりセッションに参加するようになって、その数回目のある日、山形県からある団体が大阪に視察にくるので、ここ木村工務店の加工場で、何か、会合を開いて欲しい…..という、軽る〜い話だった。
「ものづくりセッション」は、行政マンのタケダさんと建築マンのワタシの二人で開催する「遊び」で、タケダさんは、行政マンとしてでなく、プライベートの立ち位置で開催し、タケダフィルターを通過した参加者が招待され、ワタシは、その会合にマッチするような「環境」を創造する役目で、生野区のものづくり企業を中心とした、ものづくりに興味のある人達が、集まって、その日のプレゼンターが、自分のおかれている現状や考えや悩みを皆とシェアーし、それに対して、コメンテーターや参加者が、無責任ながらも愛あるコメントをやりとりして終わる。けっしてこの場でプロジェクトを扱わず、その後の結びつきや成果は、それぞれの責任において、勝手に行われる。時として、そのフィードバックが発表されることもあるが、ま、軽いトークイベントだともいえる。セッション後の懇親会は必須で、その日のプレゼンを酒のアテにして開催されるのだけれど、なんだかんだ云っても、結局は、それぞれの抱えている課題を、いったんリセットする場であるとおもう。
早朝に山形県を出発し、新幹線を乗り継ぐと、お昼過ぎに新大阪に到着するそうで、案外、遠いようで近い。とっても多くのインバウンドがやってくるようになって、YouTube上での、そのインバウンドの方々へのインタビューが面白く、視聴すると、日本人の親切と丁寧を褒めるとともに、鉄道交通網の素晴らしさを賞賛する方々が多い。新大阪駅に到着してからマイクロバスに乗って、生野区の代表企業のひとつ、「リゲッタ」さんを見学し、その後、この木村工務店の加工場にやってきて、タケダさんのプレゼンと「電研」の桐島くんのプレゼンのあと、きらりよしじまネットワーク事務局長高橋さんのプレゼンで終えた。
日本のなかの東北と近畿。山形と大阪。農業を産業とする山形の吉島地区。小さなものづくりを産業とする大阪の生野区。お互いの共通点は、住民人口の減少とその産業人口の大幅減少であると知るし、その危機感に対して、どちらも一部の若い世代が立ち上がり、良いまちづくりを模索することを通じて、人のエネルギーの活性化を通じて、ブレークスルーを目指そうとしているところに共通点があるのかもしれない…..なんて薄々気付くものの、限られた時間が、それ以上の深淵を模索することを許さず、それが、ある意味、時間の持つ容赦ない良さであるとおもえる年齢にもなってきたが、ま、それはそれとして、山形県から送られてきた、とっても美味しい地酒と漬けもんの試飲と試食をし、粉もん文化大阪、小路の、じゃんぼ総本店で、懇親会をすることで、そんな課題は一端リセットする夜になった。
懇親会には生野区長も参加し、流石に「長」たるものの使命は「成果」だと気付くのだけれど、2月頃には山形県吉島地区に訪問する約束をとりつけて、とっても楽しい交流の半日が過ぎ去っていった…..で、この日のコトは終わっておくところだけれど、とってもとっても蛇足ながら、こういう地方の方々が訪問される機会があると「大阪」という出来事を客観的に眺めようとする機会になって有り難い。その時に、もっとも参考になる本のひとつに、中沢新一の「大阪アースダイバー」があって、そのなかの生野区に関係する目次を列挙したスライドを作って、紹介した。
右からひとつ目の段落「女神の原像」は「大阪のおばちゃん」の成立に関してで、小さい頃から、たこ焼き屋さんやお好み焼き屋さんや駄菓子屋さんや友達の家に行って「おばちゃん!」と発するコトバは、とっても親しみを込めた大阪弁で発音し、そのことで愛とエネルギーを貰えるようなコトバだったようにおもう。右から二つ目の段落「コリア世界の古層と中層」は、ものづくり大阪の土台の成立の話で、五世紀の頃、伽耶から大陸の技術もった多くの移住者が生野区と平野区に住み着いて「融合」した話であり、それがものづくり大阪の土台としての古層を作ったという。
おそらく、木村工務店が、この生野区のこの場所を拠点として「ものづくりの工務店」として存続していきたい…..というその想いの一端は、この地にある、ものづくりのDNA、それを、ものづくりのミームと読んだほうが良いかもしれないが、とにかく、ここで、そういう「ものづくりのパワースポット」的エネルギーを享受しながら「ものづくりとしての工務店」を想起し続けたいからだとおもう。