「社員大工」

社員大工の平星くんの結婚式があった土曜日。結婚式って数年に一度の体験だけれど、あらためて新郎新婦の幸せそうな姿を眺めるって、エエなぁ…..とおもうし、人生で、人前で、喜びを素直に表現出来る機会ってそんなにないよね。とおもう。ワタシ、挨拶と乾杯を拝命され、最近、新郎側だけに挨拶があり、新婦側の挨拶がないのが通常のようで、なので、なんというか、披露宴のムードを左右するような挨拶として、流石にキンチョウした。

大工さんというのは、ほとんどが「ひとり親方」として、さまざまな工務店の専属大工的な立ち位置で大工仕事をする外注の大工さんがほとんどだが、木村工務店には社員大工が3名いる。創業者で私の祖父にあたる木村精一は大工の棟梁として木村工務店を創業し87年ほどになるが、それゆえ伝統的な大工の技術を継承していく社風が残っていて、年に1度は「手加工」で新築をするよう大工に推奨している。また徒弟制度的な仕組みも残っているので、中学校を卒業後、社員大工になって31年になるベッショ棟梁の弟子としてヒラボシ大工は入社した。

木村工務店では、今まで何人もが、社員大工として入社したが、2,3年ほど経つと「ひとり親方」として独立していく大工がほとんどで、社員大工としてのモチベーションってムツカシイコトだなとおもう。大工技能を高めながら、よりスピードを追求し、より稼ごうとするのがひとり親方としての大工のモチベーションだとおもうが、社員大工は稼ごうというより、技能とスピードを高めながら、それぞれのライフスタイルを楽しんで生きようとするのがモチベーションのようにおもう。

新郎新婦の姿を眺めていると、シャイで朴訥として無口だが淡々と誠実に大工仕事をする新郎と、天真爛漫で陽気な雰囲気と感謝の涙とで披露宴全体に暖かいムードを醸し出した新婦のオーラとの組み合わせが絶妙で、これからの現代的な大工のライフスタイルを垣間見たおもいだった。

このブログを書く横のテレビでは、阪神対オリックスの熱戦が中継されている。普段、野球中継を見ないし、ましてや日本シリーズを見た記憶が、何時だったか全く想い出せない。第6戦は結婚式の最中で視聴できなかったが、それ以外は緊張感が伝わる面白い試合の連続だったので視聴した。うちの奥方は、当初、オリックスファンだと豪語していたのに、第四戦の阪神のサヨナラシーンを見て、阪神ファンに変えたわ!というテキトウぶりで、それぐらい若いエネルギーのエエゲームが続いていたとおもう。

いま阪神日本一の瞬間を視聴した。創業者の祖父木村精一は超阪神ファンで、阪神が負け出すと家のなかをウロチョロしていたものだ。まだ健在だった38年前に日本一になった阪神に歓喜していた姿を想い出す。胴上のバンザイコールとオカダコールが会場に響き渡る光景は凄いね。ヒラボシくんの結婚式は阪神が38年ぶりに日本一になった年だな。と記憶に残るのだろうし、38年前の1985年の5月に私達は結婚したのだな。38年経つのだな。なんて振り返った。

社員大工の結婚式と阪神タイガース日本一と私達の結婚式に関係性が生まれた日曜日だった。

「伴走」

秋だな。ちょっと寒いと感じた日曜日。ようやく紅葉と落ち葉の季節感になってきたが、そうそう、レクリエーションデーのゴルフで、庭の手入れをしてくれている海平造園の職人さんのササダくんに会った。うちの桜が9月の終わりから落葉したコトを尋ねると、早々に桜が落葉する現象があちらこちらで起こっているらしく、毛虫も大量に発生していたらしい。狂い咲きをした桜もあるという。イスラエルの問題とか。物価高とか。株価とか。不安定な世の中の象徴のような現象におもえてきた。

ものづくりセッション」があった土曜日。コロナ禍が終わったことで、ここ3回ほどセッション終了後に懇親会を催している。プレゼンの後に、そのことを話題にしながら、あれやこれやウダウダ語り合えるのは楽しい。今回は、ほたる食堂からのプレートと専務奥方とワタシ奥方のおでんと餃子とビールという簡単なものだが、その段取りをするために2週間ほど前からちょっとした緊張感を抱えながら食事を提供してくれている、お3方のお陰に、この場を借りて感謝申し上げたい。

今回のプレゼンターお二人のうちのひとり、ソワップという会社のシオミさんは、女性で、クリエイティブディレクターで、企業の販促、おもに化粧品のお仕事を手かげているらしい。それで、さまざまな業種の社内でやっている販促会議に参加し、客観的な意見で貢献できるかどうか自分達の実力を試してみたいという。工務店の私には「販促」というコトバはピンとこないが、それでも自社の施工例を紹介し、お客様に木村工務店の建築と家づくりに興味をもってもらい、木村工務店に頼んでみたいという気持ちになってもられるようなホームページは、確かに販促なわけで、そんな会社の販促ミーティングに参加してもらって客観的意見を伺いたい…。そんなことを想っている、うちのような小さな会社の需要は沢山あるとおもう。

プレゼンに対する4人のコメンテーターのひとりとして参加の経営学が専門のハットリさんのコメントに、そういうのが、いわゆるコンサルの仕事だが、コンサル業界もいま、変化してきて、上から目線の「指導」という立ち位置から、企業の「伴走」としての立ち位置に変化しているらしい。コンサルタントが、クライアントの話を聞いて「見立て」をし、持っている知識と経験から「見解」を述べるという「指導的」な手法から、質問をし疑問形で終わり、クライアント自らが考え新たな答えを導きだせるような「伴走的」手法への変化。と、ワタシは解釈したが…。

木村工務店の立ち位置で考えてみると、今までの施工例を元にした、工務店が持つひとつの型のようなものから、その家の周辺環境と家族構成とライフスタイルを「見立て」たたき台のようなプランを提案し、それは疑問形のようなもので、それをお客さん自らの「好み」を反映できるように「伴走」して、自分のライフスタイルにあった家づくりを完成させていく、お客さんと一緒に「伴走」しながら「お客さん好み」の設計と施工をするのが、木村工務店の仕事。と、解釈してみた…..。

コミュニケーションとその手法というのは、「ものづくり」において、ますます重要になっているとおもうし、お客さんに喜んでもらえるというのは、ムツカシイコトだなと、つくづくおもう、今週だった。

レクリエーションデー

レクリエーションデーというのが、昔から木村工務店にあって、10月の土曜日に、社員のそれぞれが「好き」なスポーツを一緒に楽しもうという行事で、きっかけはゴルフ好きだった先代と先々代が、社員と一緒にゴルフを楽しもうというイベントだった。ゴルフをしない人は「釣組」として魚釣りを楽しむということで、当時は二組に分かれて、一緒に遊んだ。レクリエーションを辞書で調べると『仕事や勉強などの精神的・肉体的な疲れを、休養や娯楽によって癒やすこと。また、そのために行う休養や娯楽。』とあって、今流な言い方では、ワークバランスを取るために、レクリエーションというひとつの機会やきっかけを提供することで、社員がより良く働ける環境を願う、会社としてのひとつ行事であり仕組みのようなものだとおもう。

昨今はレクリエーションも多様化し、ゴルフ組、魚釣組、キャンプ組、観光組、サーフィン組とそれぞれの多様な「好き」に応じて楽しむことになった。ちなみにワタシはゴルフ組で、ゴルフが「好き」かと問われれば、口がもぐもぐして躊躇してしまうのだけれど、今回は協力業者も参加しての第100回記念ゴルフ大会だったこともあり、それに代々受け継いでいる精親会ゴルフコンペを絶やす訳にもいかず、年に2回のこのコンペだけ、ゴルフをすることにしている。

レクリエーションデーは土曜日なのだが、魚釣組は船の予約の都合で今日の日曜日の早朝に実施しているし、ゴルフ組も予約が上手く取れずこの木曜日の平日に実施した。それで土曜日は会社も現場も休みで予定が空いた。なので午前中は奥方とともにサウナレクリエーションデーとしたが、SNSを通じて、吉野で「よしのウッドフェス2023」が開催されていると知って、昼すぎ、唐突に吉野まで出掛けることにした。偶然にも会社の前で現場監督のオオウエくんに会った。彼はゴルフ組だったので、現場が誰もいないこの土曜日のチャンスを狙って、午前中は現場のシロアリ駆除を施工したらしい。そのオオウエくんを誘うと、行きます!というので、奥方と3人で吉野までドライブすることになった。

「吉野」には縁が多い。親戚に山師さんや銘木屋さんや饅頭屋さんがあって、吉野の空気感が肌に馴染んでいるし、坂本林業さんや阪口製材さんや丸岡材木店さんとはそれなりの取引がある。レクリエーションデーの延長のような気分で出掛けたが、多くの知り合いと出会うことになった。先ほどのサカモトさん、サカグチさん、ゲストハウス空を営んでいる建築家のサワキさん、手刻み同好会で手刻みの小屋の建て方をしていた羽根建築工房のハネさんとか、その広報のシノダさんとか、それに先日まちのえんがわGallery&Barを開催したカクさんとか…。

おもいのほかのんびりしたエエ雰囲気があって、駐車場の横にある芝生広場と点在したイベント会場の木材団地周辺を歩くと、それぞれの製材所が道に開いて仕事をしているので、今までにない程良い工場感覚のまちあるきが楽しい。そうそう、こういうフェスのような場所にいくと、座る場所が少ないような気がする。参加者と一緒に相席できるようなイスやテーブルやベンチや芝生でゴロリとできるような居場所が欲しいな…なんておもった。

今日は生野祭りが開催された日曜日。「まちのえんがわ」が生野区持続可能なまちづくり活動支援事業の第一回に選定されて以降、行政の方々とも顔見知りの方々が増え、多くの方々と挨拶を交わす。生野区業界団体の方々。生野区のものづくり企業の方々。地車関係の方々。今年は久しぶりに生野区の地車が一同に会する地車フェスのような雰囲気があって、鐘や太鼓のリズムと威勢の良い掛け声や舞いが心躍るし、若い女性が半被着て掛け声とともに踊る姿や地車に乗る女性の姿も新鮮でエエな…とおもう。大阪のおばちゃんの若い時はな…みたいな若い女性が、積極的に楽しんで踊っている、そんな女性に開かれた地車でエエようにおもう。今年は想像以上に多くの参加者がいて、飲食店は長い行列ができていた。

「吉野」も「生野」もフェスのようなものを通じて、まちに住む若い人が、まちに愛着を持ち、まちに住むまわりの人と、ゆるやかな関係性が大切に保たれる…とエエよね。そんな若いエネルギーを感じた、木村工務店レクリエーションデーの一週間だった。

「学生」

秋祭りの季節。地元の清見原神社には4台の「地車」があって、コロナの間、自粛していた「地車」が復活し、街を練り歩く。岸和田や泉州の「地車」のように槍まわしのような派手なパフォーマンスはないが、通りから「地車」の囃子が聞こえて近づいてくると、家から通りに出て、勇ましい掛け声で地車を引く引き手とワクワクするリズム感の囃子で街の邪気を払いながら通り過ぎる「地車」を見守る。ご祝儀を渡すと、家の前で「地車」が停止し、皆で一緒に大阪締めをする。

が、最近、家から通りに出てくる人がめっきり減った。街の人は、地域との愛着が薄れ、もはや街を練り歩く「地車」に価値を感じなくなっているのだろう。祝儀を渡す価値やありがたさが消滅したのだとおもう。神社におわします神様を「地車」に乗せて街の邪気を払い幸をもたらす。家から通りに出て「地車」を見守ることで、荒ぶる神のエネルギーを受けて地車を勢いよく引く若者達の元気をもらい、囃子の音色で神々しい気分になって、大阪締めで祝う。そんな地車として、ポジショニングし、イノベーションをして欲しいな…なんておもった。

今週は多くの「学生」と出会った週だった。

火曜日のお昼から関西大学の建築学科の木造設計製図の授業に参加し30人ちょっとの学生と接した。ここ10年ちょっと続いている3ヶ月間ほどの秋のルーティン。授業に参加する学生が3人しかいない年もあったが、最近は木造の人気が高まってきたのだろう。人数が徐々に増えてきた。意匠設計の米谷さんと構造設計の下山さんと工務店の私。私の担当は、木造建築という「ものづくり」を伝えるポジション。男女3、4人のグループ設計だが、女子だけのチーム、男子だけのチーム、男女混合のチーム、とばらばらで、それぞれのチーム内のコミュニケーションの質が、それぞれのプレゼンに反映されるのが、面白いし、「ものづくり」のスキルのひとつとして、コミュニケーション能力は、大切の要素のひとつだとおもう。

木曜日の夕方から近畿大学の総合社会学部の環境まちづくり系専攻の田中先生が指導する10人ちょっとの学生のインターシップに参加した。木村工務店と繋がりがある持ち主の方が所有する、俊徳道にある空き家の文化住宅を活用するプロジェクトがあって、建築家の北村さんと企画が進むなか、田中先生にお声がけすると、俊徳道空き家活用プロジェクトとして、「文化住宅をインキュベーションハウスとして活用する」そのためのインターシップとして学生を募集することになった。昨年から授業が始まり、今年はフェーズ2として昨年とは別の学生とそのプロジェクトを進めている。

関大で建築学科の学生と接すると建築物というハードの部分に焦点があり、近大の環境まちづくり系の学生とは、建築物のなかのソフトの部分に焦点があって、まちとの新たな関係性を構築しながら、空き家の文化住宅を使って、ビジネスとして機能する新しい組織の仕組みを考えるのは、なかなか面白い作業だとおもうが、フェーズ1で、それなりのアイデアが出てきても、それを実現するというフェーズ2は、かなりハードな作業だなとおもう。まちとのコミュニケーションとメンバー内のコミュニケーション。そんなこともあって、授業後は学生3人と先生3人でお好み焼きを食べた。時として学生と食を共にするのはエエね。


金曜日の午前中、地元の東小路小学校2年生の生徒が「町たんけん」という授業で、「児童が地域に愛着を持ち、回りの人とのかかわりを大切にしようとする心を育成するために、お力添えをいただけましたら幸いです。」と書かれた案内文とともに、5班に分かれた沢山の小学生が木村工務店を見学に来られた。生憎、加工場では大工の作業をやっていなかったので、事務所を見学してもらい、設計の作業や図面や模型を見てもらって、「まちのえんがわ」に腰掛けながら、学生からの質問に、同じ小学2年生の子供を持つ専務が答えることになった。

「回りの人とのかかわりを大切にする心を育成する」って、奇しくも今週の沢山の学生と接したなかの、共通のテーマだったような気がする…そんな一週間だった。

「土偶」

昼から、しとしと雨降る日曜日。ちょっと寒い。ようやく秋を感じる季節になったが、今年、うちの庭の桜は、暑い日が続いた9月に、紅葉もせず落葉した。よっぽど暑かったのだろう。来年に花が咲くのかちょっと心配だ。そうそう朝から家族それぞれに用事があって、なぜか mago2 と二人だけで、その庭のテラスに出て、モーニングを食べた。二人でパンを食べながら mago2 が、「食べられないパンはな〜んだ」となぞなぞを問いかけてくる。で、ワタシ「アンパンマン!」と答えると、パン食べながら「それ人やし!」「食べられるし!」という…..。そんな、なんてことない日曜日の朝。写真は、先週の「まちのえんがわGallery&Bar」の「カクカクしかじか」で展示された、カクさん製作の組み立て式の椅子。余ったチークのフローリングをセノウ大工にキッチリとした大きさに切ってもらったアウトドアーテーブル。そしてもう葉っぱが散ってしまった桜の枝。

この連休、久しぶりに本を読むことにした。買って、本棚で、読んでいなかった本たち。「土偶を読む」はサントリー学芸賞やみうらじゅん賞をダブル受賞したベストセラーで、ワタシ、ちょっとした縄文土偶ファンなんだけど、敢えて読まないでいた。そしたら「土偶を読むを読む」というアンチな本が出て、Amazonで「土偶を読む図鑑」を含めた3冊を同時に買って、パラパラ目を通し、本棚で横たわっていた。

「土偶を読む」は従来の「土偶は女性や妊婦をかたどっている」とする通説に対して、土偶とは「植物の精霊をかたどったフィギュアである」という説を唱えた人類学者の竹倉さんの本で、土偶が「植物の人体化」だというのは、ま、食物としてのアンパンが人体化した「アンパンマン」と似た話なのかと読み進んでみると、ハート型土偶は「オニグルミ」を見た目の類似として制作され、合掌土偶中空土偶は「クリ」をモチーフとし、椎塚土偶は「ハマグリ」をかたどった土偶で、みみずく土偶は「イタボガキ」をかたどったフィギアで、縄文ビーナスは「トチノミ」の精霊の妊婦像だとし、結髪土偶は「イネ」の精霊像で、刺突文土偶は「ヒエ」をかたどったフィギアで、遮光器土偶は「サトイモ」の精霊像だという。

日本という国家の「大嘗祭」は天皇の即位儀礼と収穫儀礼の新嘗祭が融合したもので、「植物を成長させる精霊」という観念と「それを祭祀する儀礼」という「植物霊祭祀」の慣習と心性が古くからあって、縄文時代の「土偶」は、そういう「植物霊祭祀」の痕跡なのだという。なるほどな。とおもう。2021年4月初版。

それに対して「土偶を読むを読む」は、考古学の専門家からほとんど評価されていない「土偶を読む」を、さまざまな角度からその理由を明らかにした、縄文時代をテーマにした雑誌『縄文ZINE』の編集長を務める望月さんと研究者・専門家9名の著書で、土偶は植物の精霊をかたどったフィギアーであると、単純に信じないで欲しい…竹倉氏の自由な「発想」は批判されるものではないが、「検証」があまりに杜撰で、本書を読んでなぜ学問として認められないかを考えてもらえたら嬉しい。というような内容。へぇーそうなのか…..。2023年4月初版。

今まで土偶に感じてきた、なんとなくの「祈り」みたいな感覚が「土偶を読む」を読んだ後は、それは「食物」に対する感謝や祈りなのか…..とターゲットが絞られた感覚になるし「土偶を読むを読む」は、そういう感覚に陥る「認知バイアス」に警鐘を鳴らしている。さて、これからどんな議論になっていくのか、楽しみだな…。

「録音芸術のリズム&グルーブ」の表紙の写真は、ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオの写真で、建築家フランク・ロイド・ライトの弟子の建築家が設計した、天井高11mもある木造の垂木で板張り天井が印象的なスタジオ。壁は5面あるらしい。いつかこのブログのどこかにエンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーのことを書いたのだけれど、2021年4月初版で、こんな本が出ていたことをSNSで知って、買ったばかり。「RVG」という刻印があるレコードや、「Rudy Van Gelder Edition」と書いてあるCDとかには、好きな名盤がいっぱい。独特の音の雰囲気があって、そういうスタジオは、居心地も良いのでは…なんていうのが建築的興味。関連するいろいろな音楽聴きながら、たまにこの本を開いて、あちらこちらランダムに読むのだとおもう。

ま、そんなこんなの10月の連休なのだ。

「まちのえんがわGallery&Bar」

「まちのえんがわGallery&Bar」として「カクカクしかじか」と「サヤカリー&koufukubook&bake」を開催した土曜日と日曜日。

「まちのえんがわ」をオープンして、10年間ほどワークショップを開催してきたが、そろそろネタも尽き、次の展開を模索したところ、ひょんなことからサッチー展というGalleryを開催することになった。それで、そのギャラリー用の設えを本格的に製作し、それを再利用できる仕組みに設計施工することにして、土曜日のお昼から日曜日の夕方にかけての二日間、クリエイターが主催するGalleryを中心にして、トークイベントやワークショップを開催し、そういう趣味嗜好が「好き」な人と一緒に食べたり飲んだりしながら、繋がり、弱いネットワークを作っていこうとするのが「まちのえんがわGallery&Bar」なんだとおもう。その第一回として、こんな感じで開催した。

【 木工家 賀來寿史「カクカクしかじか」】
木工家 賀來寿史はなぜ杉でなんてことない椅子をつくり続けるのか
森と木と木材そして都市 season1 都市と森をつなぐ工務店として

【木工家の椅子展情報】
大阪市生野区にある「まちのえんがわ」で近年プロトタイピングしている椅子を展示します…このイベントは「勝手に大阪デザインウィーク」と木村工務店が掲げる「森と木と木材そして都市」という「森と隔絶してしまったように感じる都市が、森を破壊する都市でなく、森を育む都市として機能していくために「国産材を使う」ということを、いっしょに考えてみる」というテーマで木村工務店とのコラボレーションにもなっています…久しぶりに KAKU BAR もやるので、ぜひぜひ遊びにきてください

2023年9月30日(土) 13:00-22:00~10月1日(日) 10:00-17:00
観覧料 500円(ドリンク付き)

<タイムスケジュール>
□9月30日(土)
13:00 OPEN
   サヤカリー+kofukubook&bake
15:30 賀來さんの「椅子レクチャー」
17:00 賀來さんBAR
22:00 CLOSE

□10月1日(日)
10:00 OPEN
賀來さんの「屋台製作デモンストレーション&トーク」
11:00 サヤカリー+kofukubook&bake
14:00 賀來さんの「椅子製作デモンストレーション&トーク」
17:00 CLOSE

賀來寿史 HISASHI KAKU
木工家。
1999年より、木の工房KAKUとして活動開始。
オーダー家具の制作を通じて身につけた木工の技術や知識をもって、人と木、モノとコト、山とまちをつなぐ、伝える活動をしている。

自己紹介
「木工というコトを伝える木工家」です…木工、家具に関する技術、知識、経験をもって、いろいろな人、もの、コトとの関わりの中で、木工家として生き残ることができるのか、ということ自体を試み活動しています。

開催日の9月30日の夕方より、木工家として、さまざまな椅子を作ってきたその変遷をカクカクしかじかと語る賀来さんと、その製作した椅子に座りながらレクチャーを聴く参加者の皆さん。という写真なんだけど、ま、2時間近く蕩々した語り口で、今までの想いを語り尽くし、そのレクチャーを聴いたあと、参加者の皆さんと一緒に飲んだり食べたりと「Gallery&Bar」が始まった。

クリエーターのカクさんが「好き」だ。とおもう方々と一緒に飲み食いするのは楽しい。そのなかのあるワンシーンでは、ワタシの左隣に、大阪の専門学校の先生をする男性が座っていて、その方は、うちで今、現場監督をしている社員を、木村工務店に面接に行けばどうかと奨めてくれた方で、全く今日まで、面識がなかったのに、ホームページやフェースブックなど、「まちのえんがわ」の活動や木村工務店の施工実績を通じて、弊社を推奨してくれたという。その方がカクさんと繋がっていて、この日、初めてお会いし、お礼とともに一緒に歓談する機会を得た。

ワタシの右隣には。大学の建築学科の教授をされておられる方で、カクさんを通じて本日お会いし、リートフェルトの研究をしているという話をあれやこれやと楽しく拝聴した。ワタシの真向かいの左には、建築家のヤベさんが座っていて、いつものように飲んだくれながらも、オモロイ話をしていた。ワタシの真向かい右側には、近所に在住するアメリカ人の男性で奥さんは日本人のご夫妻が座っていて、何度かサヤカリーを食べに来られていた。そんなメンバーで、テーブルを挟んでコミュニケーションしているうちに、ワタシの両隣のお二人とアメリカ人の男性の3人が、それぞれが翻訳の仕事をしているということが判明した。

その翻訳という共通性を通じて、何気に、ワタシは、村上春樹の翻訳が、とってもエエ感じだとおう…..というそんな話をすると、日本語と英語の違い、日本文化と日本という表現方法、アメリカ文化や西欧の文化とその表現方法など、話題が延々と尽きなかった。それぞれの「好き」なコトを語り、聴くという時間はとっても面白い。

本日10月1日の日曜日は、朝から屋台を製作するデモンストレーションを開催しながらワークショップとして、カクさんが参加者と一緒に即興で屋台を製作した。以前よりカクさんが製作していた屋台があって、それは国産のヒノキ材で出来ていて、地産地消も含めて林業に貢献し、ひいては日本の山や森に貢献することになるのだという。多くのマルシェでは、あのキャンプのテントのようなものが沢山たち並んでいるが、杉や桧やで出来た木製の屋台が並んでいる方が良さそうにおもうし、ただそれを普及しようとすると、1本の材料の長さが車で積載できる180cm以下で、誰でも簡単に製作出来ることが大切で、国産材に拘らなければ、ホームセンターのどこでもある木を使って製作できたら良さそうにおもう…..その試行錯誤とモデルを試作するためのワークショップでもあった。ま、それなりの成果を得て、来年の春には、木村工務店で施工している地元の清見原神社のマルシェで、国産の杉材で、皆で一緒に製作した屋台が、境内に並べば楽しそうだな…..と模索することになった。

午後3時すぎからは、スケジュールを急遽変更して、月一回のサヤカリーを食べに来られる常連さんや、賀来さんの製作した椅子のGalleryを見学に来たお客など一緒に交じってレクチャーを開催することになり、二日間の日程を無事終えることになった。参加頂いた皆さま、ありがとうございました。

そんなこんなで、一年間に何度開催できるかわかりませんが、「まちのえんがわGallery&Bar」を通じて、ゆるやかな繋がりが継続できる、加工場としてのスペースを、皆さんと共有できればとおもう。

自転車な連休。

「VIVANT」が終わって、ちょっとVIVANTロスで寂しい日曜日。それにしても面白い日曜ドラマだったなぁ…..。途中から見て、見逃し配信で後を追っ掛け、久しぶりに楽しみな日曜ドラマだった。そういえば、淀川長治の日曜洋画劇場は、中学生、高校生ぐらいから、ほとんど視聴していた。ワタシの祖父は、木村工務店の創業者なんだけど、こよなく阪神タイガースと時代劇を愛していた。その祖父に愛されて育ったワタシは、その影響で時代劇をよく視聴したが、ある日、淀川長治の日曜洋画劇場を視聴して、こんな面白い「映画」があるのだと驚いて、それからほとんど視聴するようになった。基本的な洋画は淀川長治さんから学んだ。そうそうテレビの野球放映は、全く視聴しないので、「アレ」を知ったのは優勝前日の朝のNHKラジオだった。NHKのアナウンサーが「アレ、アレ」って言っていたが最初は意味が理解できなかった。阪神が優勝して、ようやくその意味を理解したが、それよりも真っ先に思い浮かんだのは、今は亡き祖父が阪神優勝に歓喜している姿だった。

今日の日曜日。早朝に起きて、自転車に乗って、葡萄坂をヒルクライムし、朝護孫子寺を参拝する。好きなお寺のひとつ。それから三郷に向けてダウンヒルし、王子をかすめて、飛鳥川沿いを走り、今井町を経由して明日香に行く。お決まりの石舞台を眺める丘で休憩し、それから棚田を眺めながら男綱の横を通過して案山子がいっぱいの丘を登る。シニアの見学者とシニアのカメラマンが多いことに驚いた。それから高松塚古墳を経由するつもりだったのが、道を間違えた。ほんとうは鬼の雪隠とか亀石とか明日香の石は何度見ても面白いので立ち寄るつもりだったけど、今回の一番の目的地は御所だった。

それで明日香をショートカットし御所に向かう。11時30分には「御所宝湯」に到着して、目的の銭湯に入った。人も少なく、サウナと水風呂と熱湯で心地良い時間を過ごす。午後1時過ぎ、以前にも訪れた近くのモリソンカフェで、カレーを食べて、JR御所で輪行の支度をする。サウナの後は、自転車に乗る気など全くなれないなぁ。御所発14時の電車に乗って、王子駅で乗り替え、大和路線の久宝寺で、おおさか東線に乗り換える。ガラガラだが、最後尾に自転車を立て掛け補助席に座ったワタシの隣の補助席に座ったおっちゃんが、缶ビールの大をプッシューと音をたて美味しそうに飲みだした。エエな。JR俊徳駅に到着したのが15時過ぎ。そこで自転車を組み立て、家に帰り着いたのは15時30分頃だった。自転車&サウナ&輪行の日曜日。またやるとおもう。


そういえば今週は自転車週間だった。17日18日と、しまなみ海道で自転車に乗る。東京の友人のハタさんが東京から新幹線で輪行して新大阪に着いて、そこから自転車に乗ってうちの家まで来て宿泊する。うちの家で食事をした後、夜はBarソケットで飲んで、翌日の早朝に自転車を積み込んで、二人で、しまなみ海道の宿、輪空に向かった。朝から輪空のオーナーイチムラさんと米子から駆けつけたシミズさんと4人で、ゆめしま海道を走り、因島の大出でお好み焼きを食べ、生口島のドルチェでジエラートを食べ、伊豆里峠を越えて輪空に戻って輪空泊。夜は輪空前で、海辺のBarを皆で楽しんだ。


18日は、生口島の輪空から自転車とフェリーで岩城島に渡り、そこから別のフェリーで今治へ。この航路がとってもエエのです。それにしても連休なのに今治の商店街は、お店も閉まって閑散としていた。そうそう今日の日曜日の御所のまちの商店街も閑散としていたが、銭湯とチャリンコの宿泊施設とレストランで活気を取り戻そうと努力している姿に共感したりする。それで、今治で焼き豚卵飯を食べて、今治から生口島の輪空までノンストップ40km弱のライド。久しぶりにエネルギーを使い果たしたが、それよりも大阪までの帰りの自動車が、事故渋滞も含めてとっても渋滞し、3時間ちょっとの距離が5時間かかって、へとへとで帰宅した。コロナ以来皆が外に出たがっているのだろうね。

ま、そんなこんなで、久しぶりに自転車三昧の9月の連休にだった。

花と昆虫

うち家の庭も夏から秋へ。とおもっていたが、また夏に戻ったんじゃない。とおもうぐらいの暑い日が続く。数日前、突然、2輪のピンクの花が咲いた。植えた覚えがない。秋を告げる使者だな。毎朝その娘の姿を楽しんでいたら、3日ほどで、姿が消えた。ちょっと寂しい。

庭のヤマボウシの実がなって、大量に落ちた。いつもなら実を食べにムクドリとかやってくるのに、今年は訪問者が少ない。暑いからなのか。ネットで調べるとヤマボウシの実は食べられるらしい。早速食べてみたら、意外に甘い。ジャムとか果実酒を作れるという、この連休にやってみようとおもう。

そういえば、この時期に庭で「アオスジアゲハ」がゆらゆら舞っていた。季節外れの訪問者だが、蝶々の舞いは好きだな…..。この夏、西表島の由布島に行くと「オオコマダラ」を繁殖させていた。羽根を広げると大きくて綺麗な姿と舞いだった。上がその写真。うちの庭の訪問者のひとり、小さくてカワイイ、シジミ蝶も好きだな。小さい頃はこの小路近辺にも空き地とか道端に雑草があって、シジミ蝶が舞って、よく眺めた。そうそう30年以上前にキャンピングカーで訪れた屋久島で、「ツバベニ」という蝶々の舞いを見た瞬間、同乗していた友人のセツが声を発し、車を駐めて降り、「志賀昆虫の折りたためる網」をさっと取り出して、それを受け取った長男タカノリが、まるで剣さばきのような見事な所作で蝶を捕獲した。蝶々を見ると、たまにその残像を想い出す。

今年の夏はうるさいぐらいの大合唱だったクマゼミも静かになった。庭の掃除をしているとたまにその抜け殻に出会う。もの悲しさも感じるが、それとは違うなぜか不思議な気分になる。

最近、NHKのオンデマンドで、「超進化論 生物多様性の驚異」を視聴した。太古、水から上陸した植物が、花を咲かせ、花粉とさまざまな花の色で、昆虫を誘う、らしい。昆虫は食料としてのムシを得るためや、花の密に立ち寄るために、羽根を進化させたという。トンボは直線的に飛ぶための羽根の形状らしい、きっと肉食だからだな。ハチは小さな羽根に進化し、密集した花の周りをホバークラフトするように飛べることを可能にしたという。カブトムシは甲で羽根を覆う。生息場所が森なので、固い甲で覆わないと哺乳類に食べられるからなのか。蝶の羽根の話はなかったが、トンボのように肉食でもないし、ハチのように近場の密を探すのでなく、広範囲を飛んで、食物を探す、そんな羽根なのかとおもう。

それで、昆虫は、完全変態をし、オトナとコドモが全く違う場所で生きることを可能にしたという。たまごから幼虫になり、さなぎになって、成虫となる。チョウとかハチとかカブトムシとか。そうそうセミは不完全変態らしい。この写真の抜け殻は幼虫が脱皮した殻で、チョウの「さなぎ」とは別ものという。そういうところに不思議さを感じていたのかもしれない。そんなことより、企業経営の立場で考えると、日経新聞にこんな記事があった。

変態は、究極の成功戦略だ。幼虫と成虫は異なるものを食べる。たとえばチョウは、幼虫の時にすべての発育変化を成し遂げるため、栄養豊富な葉を大量に食べるのに対し、成虫は花の蜜(本質的には砂糖水)を少し飲むだけでいい。

このように成長にしたがって異なる形態を持つ種は、「競合のない場を作り出したのです」と米アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学の昆虫学者ケイティー・プルディック氏は話す。親と子が資源を奪い合うことなく、双方のライフステージを独立して送ることができる。

羽根の進化や完全変態や不完全変態をしながら、生息場所に適応する。サナギとして籠もったり、脱皮したりして。たしかに企業も環境に応じて生息場所に適応したり、脱皮して生息場所を変えたりしながら成長し進化していく必要があるよな…..とおもう。「超進化論 生物多様性の驚異」の話は、地下の根に菌糸が関与し、その地下の菌糸ネットワークによって森が育まれている…..私達の祖先は微生物と手を組み進化してきた…..。という話が面白いし、ものづくりセッションに参加してくれている高見さんは、そういう地下のネットワークは、社会関係資本=ソーシャル・キャピタルのようだ。とネットで言っていた。ま、そんな花と昆虫の関係性が森と社会関係資本に繋がる話。

秋刀魚

9月になっても暑い日が続いた今週。晴天の日曜日が、昼過ぎて雨がパラパラ、そして夕立。夏の終わりと秋の気配が漂う。

なぜか音楽聴いているだけで楽しいとおもう日曜日の昼下がり。1960年代の噂に聞くウッドストックとか。その昔、丸山野外音楽堂で聴いたジミークリフとか。ライブアンダーザスカイで聴いたマイルスとか。フジロックには行ったことないが、野外フェスに行きたいな…..とそんなふうに想った。昨晩NHK+で、フジロックのドキュメンタリーを視聴したからだな。

朝風呂にいったら、サウナにあるテレビが、サッカー日本代表がドイツに勝った!という。それで家に帰ってすぐにNHK+で視聴すると、久しぶりに日本チームのとってもエエ試合を観て気分が良かった。それでお昼から音楽聴くだけで気分が良かったのだろう。そうそう前日の夜に、バスケット日本代表の特番を視聴して、ちょっと泣けるぐらい雰囲気が良かった。きっとそんなのが日曜日にまで影響を及ぼしていたのかも。ひとの心理なんてそんなもんだな…..。

夕方になって、magosも一緒に庭で焼肉を食べようということになった。そしたら夕立。なぜか急に秋の気配を感じ、秋刀魚の姿が過る…..。きっと数日前に七輪でサンマを焼くYouTube動画を視聴したからだな。七輪で焼肉とか焼き鳥とかよくやるけど、そういえば今まで七輪でサンマを焼いたことがない。なんだか昭和な感じで楽しそうにおもえた。そんなこんなで、直ぐに秋刀魚を買ってきてもらい、初サンマを焼いて、そのあと網を変えて焼肉。魚料理のあとの肉料理というちょっとしたフルコースみたいで、これはこれで美味しい。



金曜日の夜。何度かお願いしているフレンチの出張シェフに来てもらい、生野区の若きものづくりのメンバーと食事会をする。30代のそのシェフは店を持たず出張料理と食事のコンサルを仕事としているという。今回も創作的で美味しいフルコースだった。若きものづくりのメンバーは、それぞれが、その分野では老舗で、そのアトツギでもあって、自分のポジションを模索しているという。食事後はシェフも交えて、どんな「ポジショニング」でどんな「ものづくり」をするのか、あーだこーだと談議が続き、シェフが帰ったあとも深夜まで及んだ。その余韻が土曜日と日曜日まで続いて、秋刀魚と牛肉のフルコース風BBQに繋がったのだとおもう。

「相席食堂」

9月なのに、とっても暑い日曜日。

「まちのえんがわ」では、コロナ前は、月一回のワークショップを開催していたが、10年が経過すると、流石にネタ切れになって、どうしようかと考えていた。それが、うちの長男であり木村工務店の専務でもあるタカノリの奥さんが料理好きで、あーだこーだと話し合って、月一回の「サヤカリー」というカレー屋さんをオープンすることになった。カレーのレシピと味は、それなりのプロとしての味であるとおもうが、毎回少しずつレシピを変えるのがひとつの特徴で。それにもまして何よりもお客さんとコミュニケーションをし、カレーコミュニティとしてそれぞれの関係性を楽しむカレー屋さん。ま、「相席食堂」いや「相席カリー」みたいな感じ。家づくりをさせて頂いたお客さん、というかお施主さんが、何人かふらっと立ち寄って頂き、コミュニケーションをできるのがとっても有り難いし、毎月、欠かさず食べに来て頂くお客さんもいて、あれやこれやと四方山話を楽しむ休日。

木村工務店にとっては、サヤカリーの開催日は、住宅相談会の開催日でもある。木村工務店の代表を務める「ワタシ」にとっては、「いま」の工務店に求められる家づくりをエンドユーザーから直接聞く機会で、毎回新鮮な気分になる。

本日の幼い子連れでお越しになったAさんご家族は、土地や中古住宅探しから始めたいというご要望だったが、いまという時代に、都市で、土地を購入し新築住宅を建てるのには、価格的に、とってもハードルが高い時代になってきた。土地価格の高止まり。建築費の高騰。そこで中古住宅を購入してリフォームをするのが一般化してきたようにおもうが、いまだに中途半端にキレイなリフォームを施し販売する中古住宅が多く、それならマンションの方が良いわ!というひとが多い。多様性が求められるいまという時代に都市の一戸建て住宅を求める多くの方々は、自分のライフスタイルに応じてカスタマイズが出来る中古住宅を求めているのだとおもう。

SUMOなどインターネットで土地建物を検索できるようになってくると、誰もが楽しみながら物件探しが出来る時代になってきたが、その方法をレクチャーするのが、木村工務店の住宅相談会で、どんな地域地区に、どんな間取りの中古住宅があるのかを、ネット上で楽しみながら検索し見つけ出すのだけれど、何よりも大切なのは、その家族が、これからどんなライフスタイルで生きていこうとするのか。ま、「君たちはどう生きるのか」みたいなことを考えるための、その手助けをする時間が、住宅相談会であるとおもう。例えば、都市に住むか。郊外に住むか。なんていうのも、それぞれの仕事と子育てと予算に大きく関係してくるわけで、即興的なリノベーションの間取り提案も含めて、それぞれの多様なライフスタイルをお互いに再認識するのが大切な作業だとおもう。

夕方、「コトバノイエ」の加藤さんご一行が、サヤカリーを食べにお越しになった。その後、うちの家に移って、皆であーだこーだと話題が尽きなかったが、かつて加藤さんと一緒に催した木村家本舗というイベントを懐かしんだりしながら、その時には学生だった加藤さんの息子さんも、うちの息子も、それぞれがオトナになった。さて「彼らはどう生きるのか」そして「ワタシはどう生きるのか」なんてコトをあらためて考える日曜日でもあった。

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