日本的夜の光輝く世界

9月の連休なのに、とっても残暑。朝夕もまだまだ暑い。というかとっても蒸し暑い日々。

ひょんなことで、夜中、自転車で、道頓堀商店街の金竜ラーメンの前を通過することになって、そうそう、これ、TVのニュースでやってた、尻尾を切られた金竜だな。と自転車停めて、iphoneでパチリ。間口の狭い新築工事をやってるのか…..?、確か、細い通路だったはずで、この狭い通路抜けて、神座のラーメン食べたことあったけ。と家に帰って、ストリートビューを眺めたら、こんな通路に、尻尾がニョキッと出てたのだな。

建築やってると、隣の敷地に越境するっていうのが、妙に気になる話で、店舗を造った時は許されていたけれど…..隣地の持ち主が変わったのか…..いや、インバウンド増えて、商機を狙って、通路から店舗に変えるのか…..なんて、あれやこれやと想像してみた。それにしても、こんなことで、ニュースになって、宣伝効果凄いな。それに、あらためて、ストリートビューという機能も、過去が残って、コワイね。とおもうし、こうやって、眺めると、看板をデザインした、ひとが、通路に尻尾が、ニョキッと出るっていう、デザインとして、面白がる気分は、とってもよく理解できるけどね。尻尾が切られたことで、それとか時々あるモダニズムの建築が壊されたりすることで、そのデザインがクローズアップされるという、そういう宿命をもっているデザインって、あるある。だな。

インバウンドの方々が来日して、日本の印象を語るYouTubeが面白いので、たまに視聴する。そのなかで、日本の都市の夜の光り輝く世界の面白さを口々にする人が案外多い。確かに、ヨーロッパの、石造りのほの暗い夜のまちと、控え目な看板のカッコ良さに触れると、日本のこと、チャラいとおもう時もあったが、それでもやっぱり、日本の夜のネオン街っていうのは、独特にわくわくするのも確かで、好きだな。ニューヨークのタイムズスクエアの夜の光にもワクワクしたが、道頓堀も負けてへんな…..なんておもったものだ。

それで、夏休み休暇に、山陰を旅した最終日に、山口県長門市まで足伸ばして、湯本温泉のライトアップを見学することにした。ちょっとだけ知り合いの長町さんが、照明デザイン優秀賞をもらったらしい。温泉街をライトアップすることで、観光客を呼び込めるのか…..みたいなことが、テーマのひとつなのだろうけれど、夜の温泉街の素敵なライトアップを楽しんでいるのは、私たち以外に、ほとんどいなかった。温泉宿で食事するスタイルの温泉街で、そぞろ歩きするのには、立ち寄って、楽しめる何かが必要な気がするし、唯一の立ち寄り温泉と、古民家を改修したバーが一軒あるだけ。素泊まりで、温泉だけ入って、あちこちのレストランや居酒屋やバーに予約する温泉街って、ほとんどないが、そういう時代になってきたようにもおもう。

なので、歩いて温泉宿に戻るだけなのも、面白くなく、なんとなく、二人でそのバーにちょこっと立ち寄ると、バーのマスターは、芦屋からここに移住したらしく、お世話になった建築家の江川さんも関大の生徒さんらと一緒に見学に来てましたよっと、話が、はずんで、長居することになった。奥方は、先に宿に帰って、温泉とサウナに入るわ!と、結果的にはライトアップが旅の想い出にちょっとだけ繋がったのも、確か。

日本的夜の光輝く世界も、インバウンドの到来によって、徐々に変化していくのだとおもう。