台風一過
土曜日深夜。妙な進路の台風が、日本列島に、迷い込むように、大阪を通過し、朝起きると、庭の芝生の上は、楠木の落ち葉が超大量に散乱していて、寝ている間に、けっこうな嵐だったのだと気づき、いそいそと早朝からテレビを付けて、被害状況を心配しながら見た。
そうそう、きょうの日曜日は、木村工務店のホームページに掲載されている建築写真の撮影者、写真家の多田ユウコさんによる、日光写真のワークショップがあり、太陽光のない日光写真ほど虚しいものはなく、前日から、大荒れの天気予報に、ドキドキ心配したものの、昼前からは、台風一過のエエ天気になって、これ最高っ!とおもっていたら、突然大雨が降ったりし、気まぐれ台風の余韻が残る気まぐれな天気に翻弄されたが、それでもなんとか、日光写真が青焼きされた素敵なトートバックが数々出来て、それゆえに、もう少し多くのひとに、この楽しさを知って欲しいワークショップだった。
台風接近の土曜日は、建築家集団の、ぼっこでっこ建築隊が、減築リフォームをした木村家にやってきて、ほたる食堂のほたるちゃんによる手料理を食べながら、建築談義で盛り上がり、13時から23時という超ロングな宴会となった。
とっても「ヘン」なところは、建築家なのに、皆が、ギターなど楽器を持参しやってくるわけで、10人ほどで、ダイニングテーブルを囲って、3時間ほど、語り合っていると、誰かひとりが、唐突にリビングにいって、ギターを鳴らし、歌を歌い出すわけで、そうするとそれに応えるように、また、だれかがテーブルから離脱し、リビングにむかい、ギターに合わせて、歌をうたいだし、その盛り上がり状況を判断し、またひとりがテーブルから離脱し、ソファーに座って、弦の張っていないギターをパーカッションとして叩きだし、ついには、何人かが参加し、ぼっこでっこ音楽隊となって、音楽が、空間に満ち足りるわけで、もはや、うまいとか、へたとか、好きとか、嫌いとか、そんなことではなく、生音が響く生活空間とその時間が心地良いのだと判断するのが相応しいのだろう…。
ある種のコミューンな状況となって、そんな「食べる、飲む、語らう、笑う、奏でる」のセッションが何セットか繰り返され、そのうち夜も更けてきて、ひとり帰り、ふたり帰り、三人帰り…と、参加者が徐々に減ってきて、残りの客人たちとは、アウトドアーのデッキで座りながら、語りあっていると、いよいよ台風の勢いが増してきて、庇のあるデッキに雨が吹き込んでくると、流石に宴会はお開きになった。最後の客人を送り出すと、建築家台風一過。音楽を伴う余韻のエネルギーが、木村家の空間を満たしてくれていることに感謝しながら、寝入ってしまった。
その前日の金曜日の午前中は、ツキデ工務店のツキデくんが、主催している秋山設計道場の建築家、秋山東一さんを伴って、数人の工務店仲間とともに、木村家を訪問してくれて、うちの長男の奥さんが作るカレーを一緒に食べながら、長男タカノリも一緒に参加して、工務店がつくる建築のコトをあれやこれやと語り合った。その工務店台風一過。木村家の空間に、秋山東一さんの語りと身のこなしが、素敵な余韻として残存することに感謝しながら、会社のシゴトに戻った。
「建築人」というコトバが、アキヤマさんから放たれて、「建築家」でもない「建築人」というコトバが、彷徨える台風のように「私」に接近し、その意味を考えてみた金曜日の夜だった…。