ギャラリー&コミュニティスペース
加工場で「(さちよの絵日記(サッチー展)」を開催した日曜日。
木村工務店のすぐご近所に在住し、大手N工芸でデザイナーとして活躍しながら、「まちのえんがわ」ワークショップをお手伝いしてくいれていたサッチーが、若くして亡くなって数年経過した。故郷の金沢ではイラスト展を開催したらしいが、大阪では開催する機会がなく、大阪に遊びに来られたサッチーのお母さんと会話をしているうちに、大阪のかつての同僚の方々や医療関係の方々のために木村工務店の加工場で開催しようということになった。
過去にはこの加工場で、木村家本舗というイベントとして写真展など幾度か開催した経験があったのだけれど、展示のための「壁」を作るのが大変だった。簡単に組み立て解体ができるギャラリースペースとしての「壁」を作れないものかと、日頃から模索していた。それで、このサッチー展の際、かつて健康だった頃のサッチーのものづくりに対するピュワーなエネルギーを浴びながら考えてみることにした。105角の柱と梁をホゾで組んで、展示用の壁をラワン合板で貼れば、壁は、なんとか成立しそうだったが、土台が105角だと転倒するので頬杖のような控え柱が随所に必要になり、そのためのスペースも必要になってくる。何かエエ方法がないものかと躊躇した状態が続いた。
兵庫県立美術館での石井修生誕100周年展覧会の会場に行くと、展示用の壁が、同じように柱材を使った考え方だったが、足元の土台として梁成240mmぐらいの梁材を横置きに使っていた。あっこれなら確かに安定するよね。とおもいそのアイデアを拝借することにした。材料は全てを国産の杉材を使うのがSDGs的にもコンセプチャルで、杉材の金額と在庫を調べる。杉柱材は金額的にも納期的にもまだフツウだったが、杉の梁材の金額は高く、入手も即納という在庫状況ではなかった。梁材の金額を調べると、杉、集成材、米松の順にコストが安い。それなら、杉より米松の方が比重も高く同じ大きさなら重たい方が安定するし、今回の土台に使用するには米松の方が圧倒的にコストパフォーマンスが高くしかも即納だった。適材適所が工務店的なのだ。
開催日の二日前からセノウ大工とヒラボシ大工に手加工をしてもらうことになった。ホゾなど木組みの技術を使う方が、組み立てや解体が容易で何度も繰り返すコトが出来る。シャチョウの無理な要求に、渋々ながらも、楽しんで加工をしてくれた大工と、組み立てを手伝ってくれた現場監督。夜遅く、ちょっとした上棟の祝宴を催すことになった。翌日その手加工で作った「壁」に、展示された作品が並び、お客さんが喜んでいる様子をみて、大工や現場監督の顔に笑みがこぼれ、ワタシはようやくほっとするのだった。
これをきっかけにして、土曜日日曜日の加工場でのワークショップ開催を、ギャラリー&コミュニケーションスペース&カレー&カフェ&バーに、少しシフトしていけたらとおもう。