ゲーゲンプレス
毎朝NHKラジオが目覚まし代わりで定時にスイッチオンになる。金曜日の早朝、枕元で、日本勝ちました!と興奮気味の声がアナウンスされる。えっっ!と思い喜びの感情より先に驚きの感情が渦巻いて事態を知ろうとテレビをつけるとワールドカップ日本代表がスペイン戦に勝利した瞬間だった。どんなふうに点数を入れられ、どんなふうに点数を取ったのか理解しないまま森保監督のインタビューに聞きいった。
午前中の仕事の合間にamebaTVの日本VSスペインのダイジェストを視聴して、お昼休みにamebaTV「見逃した試合をフルで楽しもう」で観戦する。本田圭介の解説がオモロイしサッカーが理解しやすくなってエエよね。それよりスタジオ出演した日向坂46の影山優佳というアイドルが「あなたのハートにゲーゲンプレス」と挨拶した。その後の本田圭佑とのやり取りも面白いのだが、「ゲーゲンプレス」って何っ!ておもう。
確かドイツの…..とおもいながらググると、「ハイプレスをする日本は、相手にボールを持たれた時に組織的に構えて高い位置で取りに行こうという全体の戦術があります。一方のドイツはゲーゲンプレス、これは「プレスに対抗するプレス」という意味で、取られた瞬間にボールを奪いに行く戦術です。奪われた瞬間にボールを奪い返すプレスです」なるほどそういう戦術なのか。「ハートにゲーゲンプレス」するとは「あなたのハートを奪いに行く積極的な動きを見せますよ」という表現らしい。ま、それはそれとして、ハイプレスもゲーゲンプレスも「組織的にプレスをかける」という部分に共感できるし、ビジネスの世界でも「お客さまのハートを奪う積極的で組織的なプレス(動き)」っていう表現が脳裏をかすめていった…..。
先週の土曜日。兵庫県立美術館で開催されていた石井修生誕100周年記念展に行く。石井修さん最後の建築になった「目神山22」の施工を担当させて頂いたご縁もあって、会場に入ると建築家の竹原さんがいらっしゃたので二言三言会話をし、石井修さんのビデオから流れるお声とぼくとつとした温和な語り口を懐かしみながら見入っていると、突然竹原さんのちょっとしたレクチャーが始まった。所員時代の想い出話などとっても興味深かったが「答えを云わず考えさせる」「粘り強い」「緑」「斜面地」「混構造」などのコトバが脳の片隅でまとわりついた。
とっても良く出来た回帰草庵の模型の向こうに回帰草庵のダイニングテーブルが置いてあって、あのテーブルに座って目神山22の家の請負契約を結んだ日のコトやその時の石井修さんの声と雰囲気を想いだした。あっそれと、緑の草が乗っていない竣工当時の草屋根の模型を見ていたら、石井修さんが亡くなられた後のある日、息子さんの石井良平さんのお誘いで何人かで回帰草庵の草屋根の上で、石井良平さん自ら串を刺し自らが焼いてくれるヤネメシという食事会があって、とっても気分良くヨパラッタ写真家のタダユウコさんが草屋根と屋根のない部分の間にはまり込んで大きな笑いが巻き起こったその日のコトを思い出した。どこに落ちたのだっけ。こんな屋根の構造だったのだな。と眺めた。
竹原さんのレクチャーで、石井修さんが書かれた「花と緑があれば 目神山の四季」という良い文章があるので是非写メを撮って読んでください。というサジェスチョンがあった。歳を重ねてようやく「花と緑」に親近感が湧くようになったワタシ。5月始まりで4月の桜で終わる構成がカッコエエ。随所に心地良い「プレス」がかかった心地良い展覧会だった。