今年の初花見と現地調査
一気に桜の季節になってしまった今年の春。庭の遅咲きの枝垂れ桜は、ちらほら開花する花びらがあるものの、まだまだ蕾。4月2日は会社創立記念日で、花見をするのが、会社行事だが、今年は一週間ずらすことになった。

今週。建築の若手設計者の方々3名と木村工務店メンバー3名とで、あるプロジェクトの構造的可能性を、法善寺の居酒屋で食事を共にしながら、あーだこーだ。2時間ちょっとの間、建築以外の話にほとんどならなかったのが、楽しいのかといえば、それがとっても楽しかった。で、終了後、4人で、すぐ近くの法善寺の路地奥にあるBarに立ち寄ると、カウンターのテーブルに、桜の生け花が鮮やかに飾ってあった。ワタシ的に、これが今年最初の花見だったなぁ…..。

地下鉄小路駅近く、内環状線に面して戦前に造られた2軒長屋があって、その長らく住んでおられた一軒が空き家となり、今後どうしようかと相談があったので、現地まで、てくてく歩いて向かう。大きな道路に面した家が、2軒だけの長屋で、それに道路側に面して、なんでこんな「ヘタ地」が残っているのかが不思議そうに、一緒に同行した社員のササオさんが眺めていた。
1980年頃は、この写真の左の大きな道路はなく、4mほどの狭い道路が新深江から小路駅まであって、この写真の道路の先の方、小路駅から北に向かっては、長屋が立ち並び道路が全くなかった。それで、内環状線の開通にともなって、この辺りの道路が大幅に拡張されることになって、この写真の2軒長屋は、かつては4軒か6軒長屋で、それが道路拡張の幅まで切り取られることになって、2軒だけが完全に残り、この右から3軒目にあたる真ん中あたりで道路となって、仕方なく、3軒目は切り取られヘタ地として残った。暫くして、この幅で2階建ての鉄骨造が建って、飲食店がオープンしていたが、数年前、それも取り壊され、こんなヘタ地として残っている。コロナ禍の影響があったのかもしれない。
この辺りの内環状線の建築が、殺風景なのは、道路拡張と新設のために、いきなり長屋が切り取られることによって、広い道路に面して,、ファサードがない家の側面が建ち並んでいた。当時まだ、建築学科に通う学生のワタシは、ファサードというのは意識的に創られるものだなっと、印象として残る体験をしたのだけれど、唐突に切り取られて、それが大きな道路に面する偶然のファサードになってしまった、アバンギャルド的建築としての面白さも体験した。
そうそう、もうひとつ付け加えると、このあたりの長屋は、土地は大地主さんが所有し、上物の建築は別のオーナーが所有し、それを賃貸する形式が多い。もしくは、土地は賃貸だけど、上物の建築だけけは自己所有したひともいる。そういう複雑な要件が絡み合うので、都市開発的なシュッとして、大きく建て替えられる新築が建ち並ぶことが少ない。そしていま、そういう建物たちが、過渡期を迎えている。
この周辺は、ビジネス的採算性も含めて、どんな建築的活用方法と新たなまち並を造るコトに貢献できるのか、そんなふうに問われているように感じた現地調査だった。