侘助・雪山・古材

庭の侘助(ワビスケ)のピンクの花が沢山咲いて、ようやく春の訪れの「気配」を感じる今年。例年より遅い気がする。それにしてもその蕾が苔の上に落ちる姿がなんとも侘しい。侘しいというコトバを使ったものの、こんな表現でエエのかどうか。ワビとはもともと「お詫びして引き下がり気味になること」からきていると書いてあった。毎朝この蕾は、チリトリで集められ、ゴミ箱に捨てられる。そのゴミと混じる蕾の姿には、もの悲しさ漂うが、苔の上に落ちる蕾の姿は、なんとなく侘しいね…..っというと、なんとなく気分が伝わるような気がするのは、共有されてきた日本的な感性が、日本人のそれぞれに宿っているからなのか…..どうか。

こんな雪の多い年は、近年では珍しいとおもう。今日の日曜日の天気予報が「晴れ」マークだらけだったので、土曜日の夕方から唐突にゴソゴソ準備して、岐阜までひとりスキーに行った。早朝、名神高速道路の関ヶ原を過ぎたところで、朝焼けが始まり、長良川と木曽川を渡る長く続く一直線の高速道路の先端から太陽が昇った。サンバイザーより低い位置からの日の出なのでメチャクチャ眩しい!慌ててサングラスをかけた時、追い越し車線に車がまったくいない数秒間があって、その一直線の道路の先端には、日の丸が燃えていた。写真に撮っておきたかたなぁ…..。

高速道路で目に飛び込んでくる雪景色の伊吹山もカッコ良かったが、スキー場周辺の山々の雪景色がとっても美しい。大阪周辺の生駒山や金剛山の山々に雪の姿をみる機会がほとんどない大阪人だから、余計にそうおもうのだろう。シャーベット気味になりつつある雪だったがそれでもエエ雪で、滑りながら、その雪の大地と雪景色の山々とドピーカンの青空との一体感を味わえて、それは侘しいとは対極をなす感覚だが、こんな気分の良い春スキーは学生の時以来だな。今回もシニア券で昼過ぎに滑り終えて、夕方には家でお風呂とビール。

そうそう「もう今年はこれで、スキー終わりやねぇ!スキー板倉庫に仕舞っておいて」っと奥方に云われたが、いや、ひょっとして天気が良い土日があれば、もう一回行くかも…..とおもえるぐらい良いコンディションの雪で、スキー板と靴とヘルメットをお蔵入りするのはやめた。

加工場では、古材を仮組みして、手加工をしている。こういう期間は、工務店のなかに、ものづくり的感覚がなんとなく漂い、社員もどことなく微笑みがある。今回は古材という古い材料を再利用し現代的に活かすという設計意図もあって、ワビやサビもそうなんだろうが、ちょっとネガティブ的なものを愛でて活かしていくというようなハートを持たないと、造れないような、ものづくりがあるとおもう。そういうものづくりの感覚やコツのようなものを伝承していければとおもう。