地球温暖化と高気密
12月なのだ。とあらためて想う。うちの庭の木々は、例年になく、落葉が遅く、いまだに紅葉のまま残った葉っぱが多い。地球温暖化という現象を肌で感じる今年。クリスマス感も年ごとにどんどん薄くなっているようにおもうのだけれど、毎年、神奈川県の丹沢にある堀山の家という山小屋の女性主人のなっちゃんが、リースを郵送してくれる。それでようやくXmasな季節感を感じる私。その小屋番のセツが存命中の頃は、そのリースを届けに毎年大阪までやって来てくれて、JAZZ漬けな一週間を楽しく過ごしたものだ。うちの家族にとっては、サンタさんみたいな存在だったなぁと、そのリースを見て懐かしく思い返した。
そういえば、昨年から、地元の清見原神社で、しめ縄づくりのワークショップが開催されて、その時参加した様子をこのブログに掲載したのだけれど、今年も開催予定で、先日は、そのしめ縄に清見原神社のお札を取り付けようと、講師のCHIZUさんが、うちの加工場で木札を製作していた。クリスマスリースのトッピングみたいなものなのかもしれない。「リースからしめ縄へ」インバウンドの来襲も含めて「日本的なるもの」が見直されているようにも感じる今年。
トップの写真の庭は、先代先々代が30年近く前に改修した時の、そのままだが、木々の成長が変化を生み、経年変化を楽しめるのが面白いコトだなとおもう。その点、家の新築やリフォームは完成した時がピークのように感じる部分もあって、特に内装材にクロスを多用するとその傾向が強いが、内装材に「自然素材」を使うコトで、経年変化を楽しむコトもできるわけで、木村工務店の家づくりでは、伝統的にそういう自然素材を使おうとする傾向が強い。
で、内装の木製建具は、東大阪の川端建具さんで製作した木製建具を使うコトがほとんどで、外部にはアルミサッシュを使うコトがほとんどなのだけれど、時として、木村工務店で設計し川端建具で製作した木製建具を使うコトもあって、うちの家にも外部の木製建具があり、それなりの快適性とともに、設計と製作と取り付けの難易度も高く「面倒くさい」作業でもあって、メンテナンスも必要で、特に気密に関してはまだまだ実験的な部分が多く、少しづつバージョンアップしている状況。
製作木製建具の「スキマ風」をどう止めるかは、わりとムツカシイ問題で「ピンチブロック」というものを使用することが多い。アルミサッシュだって、結局はアルミ部材とアルミ部材との間にピンチブロックのようなゴム素材で気密処理をしているわけで、木製建具の場合は、この気密処理のためのピンチブロックをどのように取り付けるかのディテールが面倒くさくてムツカシイ。あとアルミサッシュに比べて木製建具は木材としての経年変化的な歪みもあって、建具の引き寄せ金物のチョイスと取り付けがムツカシイ。
その昔、若い頃、木製建具のディテール集などを眺めていると「ピンチブロック」と書かれてあって、スキマ風? へぇー! そんなのに気を使う必要があるのぉっ!て、考えていた時期もあった。いま、地球が温暖化の傾向になり、猛暑の日々が続き、心地良い秋の季節が減り、一気に冬の寒さが到来する環境になってくると、ますます高気密高断熱の住宅が、省エネのためにも快適性のためにもその必要性が一般化されてきたようにおもう。断熱性能が高いのは感覚的にも理解されやすいが、気密性能は、北海道や東北地方のような寒い地域とは違う、大阪のような温暖な地域では、スキマ風は感覚的にもないがしろにされてきた部分が多い。冬の1、2ヶ月ちょっと我慢したら終わりやし…..みたいな感覚も多かった。
それと似たような感覚を持っていた大阪人の私なんだけれど、高断熱高気密化を目指した家のリフォームが完成して6年近く経過して、外部の木製建具の下框の気密性能の設計に、まだまだ稚拙な部分が多い事にあらためて気付く。ある日、下框のピンチブロックが一部外れて、そのまま2年間過ごしてみると、とっても寒くて風の強い夜になると、スキマ風による足元の温度低下が不快に感じるようになった。それで、窓下に床置きヒーターを置いて対応したが、それはそれなりの効果を発揮するのだけれど、それよりやっぱり、建具の気密性のほうが大切だなと思い直して、先日、デザイン性を無視して、もう一度ピンチブロックを実験的に設置してみた。やっぱり効果抜群。これからまだまだ改良の余地は多いが、木村工務店の木製建具の気密性能をバージョンアップできれば…..とおもう。
そうそう、先月、加工場での「まちのえんがわ」Gallery&Barで催した、ハイカーが集まる「HIKER HANGOUT」のイベントで、そこのスタッフの方々が、加工場の土間で寝た映像が残っていて、それぞれが、タイベックを床に敷いて寝袋で一夜を過ごしたのだけれど、次の日に、大丈夫でしたかっ?て聞くと、笑顔の返事が返ってきた。寝袋というのもある種の高気密性と断熱性能が一体となった高気密高断熱な寝具ともいえるわけで、テントは、断熱性が全くない高気密だけの住宅だといえる。そのテントによって生存と快適性が確保されたりするのだから、気密性能って、大切な要素だな…..なんてあらためて気付かされたイベントだった。