ハスキーボイス

懇親会が一週間に4連チャンと3連チャンと連続して、疲れが溜まって喉にきたのか、木曜日から声がかすれてハスキーボイスで会話をする週末だった。

毎年、忘年会シーズン突入前の11月の週末に「ものづくりの仲間たち」と情報共有をする会議をし、その後に懇親会をするのが慣わしで、私にとってはいちばん早い忘年会でもある。協力会社の精親会には、建築に携わるほとんどの業種が加盟してくれて、このメンバーがいてないと、建築を造ることができないわけで、工務店は協力会社あっての工務店だとおもう。

とはいいながらも、先々代から70年近く続くこの精親会の協力会社に「依存」しすぎると、現場監督の職能が発揮されないことや、職人よりになりすぎて、建築の可能性を制限されることが多い。協力会社の会とは縁を切って「独立」したカタチで、広く遍く業者を募り、ものづくりをするやり方もあるだろうが、木村工務店と心情的に繋がり木村工務店のためをおもう協力会社のハートがあってこそ良い建築を作れる部分も大きい。木村工務店と協力会社が「相互依存」の関係性を良好に保ちながら良い建築を作っていくために、礼儀作法も含めて「キッチリとするキッチリとしたことをする」ことでお互いの信用と信頼が成立していくのだろう…..なんてことが話題にでた懇親会だった。

生野区のものづくり企業の8人が、うちの家に集まって「オープンファクトリー」の話題で食事会を催した木曜日だった。電研のキリシマくんが主催者なのだけれど、どこで食事をするのぉっていう時に、木村さんの家で。と言ってくれるのは嬉しい限りであるものの、食事をどう提供するのかが、とっても難題。奥方に「依存」しすぎると、表面上は低価格で食事ができるのだけれど、その後に、これ買いたいんやけどぉ…..なんて言われると、どうぞどうぞ…..なんて、もはや弱みを握られた日々も辛い。少人数ならなんの対価もなく快く引き受けてくれる…..と奥方の名誉のためには書き残しておくのだけれど、店舗を持たず出張シェフとして生きる植地くんと知り合いになって、何度か食事会を催しているうちに、うちのデッキの薪ストーブと炭火を使ってBBQをしてくれることになった。同じ道具を使っても、食材と調理方法によって、こんなにクオリティーが違うのかっと、感心する料理ばかりで、美味しいもんを食べると、会話の内容がどうでもよくなるのが、エエようなワルイような。

この時、既に私の声はかすれかすれで酷かったのだけれど、それでも印象的な会話のなかのひとつに、人材派遣会社でトップ営業マンになった後、家業の刺繍屋さんを継いだハマダくんが、広告宣伝費にかなりのお金を使わなくても、人情があり、人と人の繋がりがあれば、紹介や口コミで、仕事に繋がっていくものですよね…..って、家業に入ってからの体験を通して云う。確かに信用信頼に繋がっていく人情を大切にすることが、小規模のビジネスにとって、あらためて大事なコトだと、気付かせてくれる食事会になった。

今年最後の、ものづくりセッションがあった土曜日。忘年会的な要素もあったのか、かなりの参加者の熱気に包まれたセッションだった。一人目のプレゼンターのカネダさんは家具屋の家業を継ぐにあたっての家族間の葛藤を含めたプレゼンで、そういえば最近、日経ビジネスで星野リゾートの星野さんが「ファミリービジネス」の問題を取り扱っていて「ファミリービジネス」っていうのをどのように捉え、どのように革新していくのかは、多くの経営者の悩みなのだなっと、つくづくおもう。

二人目のプレゼンターは鉄道会社に勤務する建築設計士のタケベさんで、地方にある、ひなびた駅舎を活用し、そのまちをどのように活性化するのかを、仲間たちとボランティアの立ち位置で活動している話で、地方のひなびた駅舎前での「ひなびた駅舎マルシェ」みたいなものが、全国各地であれば、電車で旅して、その町を歩いて、飲んで、食べて、買って、楽しいかも…..なんておもう。

その後の懇親会は会社加工場で準備ができず、小路のジャンボたこ焼き酒場で催したが、声がかすれた状態のままで、コトバがスムーズに出ず、その後の2次会は流石に辞退した。ものづくりの企業が、どうやってお客さんを生むのかっていう問題は、今に始まったことではないが、この混沌とした経済情勢と多様化した消費者ニーズと格安な企業の出現のなかで、ものづくりの好きな職人気質な小企業が、ファミリービジネスとしての経営というものをどのように捉えて、どのようにして活かそうかと、一緒に模索したような週末3連チャンの懇親会だった。

そうそう、生野納税協会で知り合ったものづくり企業の3家族で地元の淡路屋さんで食事会をした日は、3連チャン前の連休からの4連チャン続いた食事会の最終日で、この日の盛り上がりで、ハスキーボイスになったのだと、今気付いた。それにしても、以前から商売繁盛の有名店だと聞いていたが、こんな不便な場所で予約一杯の繁盛店を眺めていると、居酒屋にある良い食材の魚料理だけでなく、ハンバーグやトンカツなど洋食のデミグラスソースも美味しく、それを高級な飲食店として提供するのはでなく、庶民的な居酒屋の雰囲気のまま提供できる料理人としての技術と、良い食材の美味しい料理を食べて、高級店では騒げないほどの大きな声のトーンで笑い合えるという、居酒屋としての経営方針のようなものがあってのことなんだだろう。なんて、今日のこのブログの流れでは、こんなふうに締め括っておこうとおもう。