ツールな夜。

雨模様の海の日の連休。毎年アウトドアーに出掛ける海の日の連休だったが、スマホで、天気予報を、それなりの正確さで把握出来るようになり、連休期間が雨だと知ると、一気にアウトドアー気分が下がる。いや、若い頃は、雨なんて全く気にせず、雨を楽しむ気分で、遊びに出掛けたが、天気予報を気にしすぎるのも、良くないね。なんておもいながら、家で、ツール・ド・フランスの見逃し配信を見る、雨パラパラの日曜日。

ツール・ド・フランスのロードレースの面白さが理解できるようになって3年ほど。この夏の夜の3週間が楽しい。そうそう、お昼の休憩時間のBSで放映されている、大リーグのオオタニさんの試合を見るのも楽しみだな。前にも書いたが、ロードレース界にもオオタニのようなスーパースターの、ポガチャル、ヴインゲゴーという二人がいて、同じ人間なのに、その肉体的可能性、そのメンタル的可能性を眺め、そのスーパーな姿に感嘆しながら、エネルギーをもらっているのだろう。

空撮で、フランスやイタリアの国土が眺められるのも楽しい。建築人としては、ジロ・デ・イタリアでのイタリア国土の空撮に、より建築的魅力を感じるが、レースは圧倒的にツール・ド・フランスが、エキサイティングだ。キャンピングカーを借りて、キャンプしながらフランスの田舎町を巡り、田舎のフレンチを食べ、山岳ステージで応援する一員になり、最終日はパリ、シャンゼリゼを走る勇士を眺め、パリの夜を楽しむ。なんて、憧れだなぁ…..。そうそう今年はオリンピックがパリで開催されるため、最終日はニースになるそうだ。

そんなツール・ド・フランスが6月29日土曜日に開催されて、5日ほど経過した夜。夕食をすませ、Jsportsで夜9時から放映される日本語LIVE配信を眺めていると、生野区のバーソケットの大熊さんからSNSのメッセージが来て、ハリモトさんが、新らたに製作した「モノ」を持ってこられたので、時間あればどうですか…..というお誘いがあった。今日のツールはスプリンターステージで、ひょっとして、カヴェンディッシュがステージ優勝するかも…..なんて、ちょっと後ろ髪を引かれながら、ソケットへ。

数ヶ月前にも同じようなお誘いがあって、ソケットへいくと、そこには、15年以上前にリフォーム工事をした施主のハリモトさんがいて、なんでも、メーカーの革ジャンパーを縫製する仕事をしているが、自分の「モノ」を製作したいとおもって、ワインを革ジャンパースタイルで包み、保温性もある、革ケースを造ったので、見てもらえませんか…..というコトだった。意見するほどの立ち位置ではないが、とりあえず、胸ポケットも手ポケットもない、シンプルな次の試作を造ったらどうですか…..みたいなことを酔いながらワタシが語ったようだ。

で、オレンジの革ジャンスタイルのボトルケースの試作が出来たのが、その日で、ハリモトさんオオクマさんワタシの3人で、あーだこーだ、「モノ」をアテにして、夜な夜な楽しく飲んでいたが、夜11時を過ぎてくると、急にツールの様子が気になって、iphoneでJsportsを表示させる。カヴェンディッシュというのは、ベテラン選手で、新たにこのスプリンターステージで勝利すると、ツール通算35勝の最高記録を達成することになり、多くのファンが、3年越しに待ち望んでいた。それに、いまアスタナというチームに所属し、そのバイクが、ウィリエールで、ワタシもそのメーカーのバイクを乗っているのだけれど、もとはといえば、東成にあるウィリエール代理店の服部産業のウィリエール営業のキタムラくんが、「まちのえんがわ」に遊びに来たことから付き合いが始まり、その縁で、ロードバイクに乗るようになった。

午前0時前に、慌てて、ソケットをおいとまし、ゴール前の熾烈なせめぎ合いに、なんとか間に合い、家のテレビの前で、その勝利の瞬間を目撃した。とっても多くの選手や観客やスタッフや家族に祝福される感動的なシーンを眺める夜になった。ちなみにキタムラくんはSNS上で、その感動的シーンをリンクしまくっていたし、ハリモトさんは、ツールとは、全く関係性がないが、ワタシにとっては、この黒革スタイルのアードベックとオレンジ革スタイルのグレンモーレンジの姿が、カヴェンディッシュの姿と結びつく、印象的な夜になった。

で、先日開催した「まちのえんがわ」Gallery&Barに、ハリモトさんが、家族連れでおこしになって、例の「接続世界」を見学し、サヤカリーを食べながら生野区のものづくりの仲間達とつながり、「ものづくりの拡張」的な会話が弾んだ。こうやって、かつて家づくりに携わった方と、一緒に飲みながら、あれやこれやと話をする機会に感謝した一日だった。