「薪焼き料理」と「キュビズム」

京都に行くことになった日曜日。

フレンチのシェフ上地くんとは、自宅に何人かの友人を招いた食事会で、フレンチの出張シェフとしてのお付き合い。6人以上のフレンチを手に届く価格で、それぞれの自宅にて提供してくれる。お店を持たず、出張料理をメインにしながらシェフとして生計が立てられるのは、SNSを中心とした現代的コミュニケーションツールが発達したお陰なのだろう。

で、京都二条上がるにある「CAMPOsuOVEST カンポスゥオーベスト」という薪焼き料理専門店で、14人ほどのお客さんによるコラボ企画をするので、予定が合えば如何ですか…..と、奥方にLINEを通じたお誘いがあった。料理人どうしが「コラボする」なんていうのが現代的在り様なのだろうし、ホームページには「キャンプ料理をプロの料理人が再構築。薪焼き特有の燻された香りや火入れをソムリエ厳選ワインや、フルーツカクテル、クラフトビールとのマリアージュで」とあるように、薪焼き料理とフレンチとカクテルのトリオで、料理を提供する企画だという。

厨房のなかを覗かせてもらうと、自分で造ったという薪焼き台で、火加減を調整しながら調理をしていた。最近は、ウィスキーでも、スモーキーだな。とか、ピート香(しゅう)がエエな。とか、そんなのを楽しめるようになってきた。そんな調理された素材のスモーキーな香ばしさを楽しみ、マリアージュされたカクテルでリフレッシュし、フレンチの上品なソースを楽しみ、新たなカクテルでリフレッシュし、またスモーキーを味わう。ピアノとベースとドラムのピアノトリオのようなコミュニケーションを、若い3人の料理人が格闘しながら楽しんでいる様子が伝わってきて、とってもエエ時間を過ごせた。そうそう、薪にはどんな種類の木を使ってますか?と聞くと、何より乾燥が大事なんですぅ!という。確かに。

   
       

午後3時頃に終了し、ポツポツ雨降るなか、京セラ美術館で開催されている「パリポンピドーセンター キュビズム展 美の革命」に向かう。どうしても会期中に行きたいと思っていたので、この食事会は願ってもない機会だった。この美術館は2度目だが、とってもエエリノベーションだな。とおもう。行列が出来ている様子もなく、当日券でスムーズに入館し、音声案内のヘッドホンを購入して、解説を聴きながら絵画を眺め、写真撮影が許可されていたので、時折iphoneでパシャリ。ピカソ、ブラックから始まって、コルビジェのキュビズム以降で終わった。

学生時代の建築学科の授業に、「キュビズム 美の革命」のような授業があれば、若い頃からもう一歩、ピカソやコルビジエに近づくことが出来ていたようにおもう。先日、生野区のものづくり企業の若い友人たちと食事をともにしたが、興味は、デザインというコトバより、民芸というコトバより、現代美術のゲイジュツというコトバのほうに、より魅力を感じ、そこから吸収し、ものづくりに活かしたいという。「美の革命」とか、「美の拡張」とか、そういう芸術理論を理解し、「ものづくりの拡張」を目指したいのだとおもう。

夕方になって、脳もお腹もいっぱいいっぱいだったので、四条の新京極スタンドで、軽く一杯飲んで、京阪電車のプレミアムカーに乗車し、大阪の生野区の小路に帰り着いた。たまに京都にいくと、やっぱりエエよね。