「社員大工」

社員大工の平星くんの結婚式があった土曜日。結婚式って数年に一度の体験だけれど、あらためて新郎新婦の幸せそうな姿を眺めるって、エエなぁ…..とおもうし、人生で、人前で、喜びを素直に表現出来る機会ってそんなにないよね。とおもう。ワタシ、挨拶と乾杯を拝命され、最近、新郎側だけに挨拶があり、新婦側の挨拶がないのが通常のようで、なので、なんというか、披露宴のムードを左右するような挨拶として、流石にキンチョウした。

大工さんというのは、ほとんどが「ひとり親方」として、さまざまな工務店の専属大工的な立ち位置で大工仕事をする外注の大工さんがほとんどだが、木村工務店には社員大工が3名いる。創業者で私の祖父にあたる木村精一は大工の棟梁として木村工務店を創業し87年ほどになるが、それゆえ伝統的な大工の技術を継承していく社風が残っていて、年に1度は「手加工」で新築をするよう大工に推奨している。また徒弟制度的な仕組みも残っているので、中学校を卒業後、社員大工になって31年になるベッショ棟梁の弟子としてヒラボシ大工は入社した。

木村工務店では、今まで何人もが、社員大工として入社したが、2,3年ほど経つと「ひとり親方」として独立していく大工がほとんどで、社員大工としてのモチベーションってムツカシイコトだなとおもう。大工技能を高めながら、よりスピードを追求し、より稼ごうとするのがひとり親方としての大工のモチベーションだとおもうが、社員大工は稼ごうというより、技能とスピードを高めながら、それぞれのライフスタイルを楽しんで生きようとするのがモチベーションのようにおもう。

新郎新婦の姿を眺めていると、シャイで朴訥として無口だが淡々と誠実に大工仕事をする新郎と、天真爛漫で陽気な雰囲気と感謝の涙とで披露宴全体に暖かいムードを醸し出した新婦のオーラとの組み合わせが絶妙で、これからの現代的な大工のライフスタイルを垣間見たおもいだった。

このブログを書く横のテレビでは、阪神対オリックスの熱戦が中継されている。普段、野球中継を見ないし、ましてや日本シリーズを見た記憶が、何時だったか全く想い出せない。第6戦は結婚式の最中で視聴できなかったが、それ以外は緊張感が伝わる面白い試合の連続だったので視聴した。うちの奥方は、当初、オリックスファンだと豪語していたのに、第四戦の阪神のサヨナラシーンを見て、阪神ファンに変えたわ!というテキトウぶりで、それぐらい若いエネルギーのエエゲームが続いていたとおもう。

いま阪神日本一の瞬間を視聴した。創業者の祖父木村精一は超阪神ファンで、阪神が負け出すと家のなかをウロチョロしていたものだ。まだ健在だった38年前に日本一になった阪神に歓喜していた姿を想い出す。胴上のバンザイコールとオカダコールが会場に響き渡る光景は凄いね。ヒラボシくんの結婚式は阪神が38年ぶりに日本一になった年だな。と記憶に残るのだろうし、38年前の1985年の5月に私達は結婚したのだな。38年経つのだな。なんて振り返った。

社員大工の結婚式と阪神タイガース日本一と私達の結婚式に関係性が生まれた日曜日だった。