「相席食堂」

9月なのに、とっても暑い日曜日。

「まちのえんがわ」では、コロナ前は、月一回のワークショップを開催していたが、10年が経過すると、流石にネタ切れになって、どうしようかと考えていた。それが、うちの長男であり木村工務店の専務でもあるタカノリの奥さんが料理好きで、あーだこーだと話し合って、月一回の「サヤカリー」というカレー屋さんをオープンすることになった。カレーのレシピと味は、それなりのプロとしての味であるとおもうが、毎回少しずつレシピを変えるのがひとつの特徴で。それにもまして何よりもお客さんとコミュニケーションをし、カレーコミュニティとしてそれぞれの関係性を楽しむカレー屋さん。ま、「相席食堂」いや「相席カリー」みたいな感じ。家づくりをさせて頂いたお客さん、というかお施主さんが、何人かふらっと立ち寄って頂き、コミュニケーションをできるのがとっても有り難いし、毎月、欠かさず食べに来て頂くお客さんもいて、あれやこれやと四方山話を楽しむ休日。

木村工務店にとっては、サヤカリーの開催日は、住宅相談会の開催日でもある。木村工務店の代表を務める「ワタシ」にとっては、「いま」の工務店に求められる家づくりをエンドユーザーから直接聞く機会で、毎回新鮮な気分になる。

本日の幼い子連れでお越しになったAさんご家族は、土地や中古住宅探しから始めたいというご要望だったが、いまという時代に、都市で、土地を購入し新築住宅を建てるのには、価格的に、とってもハードルが高い時代になってきた。土地価格の高止まり。建築費の高騰。そこで中古住宅を購入してリフォームをするのが一般化してきたようにおもうが、いまだに中途半端にキレイなリフォームを施し販売する中古住宅が多く、それならマンションの方が良いわ!というひとが多い。多様性が求められるいまという時代に都市の一戸建て住宅を求める多くの方々は、自分のライフスタイルに応じてカスタマイズが出来る中古住宅を求めているのだとおもう。

SUMOなどインターネットで土地建物を検索できるようになってくると、誰もが楽しみながら物件探しが出来る時代になってきたが、その方法をレクチャーするのが、木村工務店の住宅相談会で、どんな地域地区に、どんな間取りの中古住宅があるのかを、ネット上で楽しみながら検索し見つけ出すのだけれど、何よりも大切なのは、その家族が、これからどんなライフスタイルで生きていこうとするのか。ま、「君たちはどう生きるのか」みたいなことを考えるための、その手助けをする時間が、住宅相談会であるとおもう。例えば、都市に住むか。郊外に住むか。なんていうのも、それぞれの仕事と子育てと予算に大きく関係してくるわけで、即興的なリノベーションの間取り提案も含めて、それぞれの多様なライフスタイルをお互いに再認識するのが大切な作業だとおもう。

夕方、「コトバノイエ」の加藤さんご一行が、サヤカリーを食べにお越しになった。その後、うちの家に移って、皆であーだこーだと話題が尽きなかったが、かつて加藤さんと一緒に催した木村家本舗というイベントを懐かしんだりしながら、その時には学生だった加藤さんの息子さんも、うちの息子も、それぞれがオトナになった。さて「彼らはどう生きるのか」そして「ワタシはどう生きるのか」なんてコトをあらためて考える日曜日でもあった。