大潮
因島で、お好み焼きを食べる。「いんおこ」ってよぶらしい。そば肉玉。お好み焼きを焼く所作を眺める。鉄板の上に薄らメリケン粉を引くだけでキャベツがたっぷり。ひっくり返すのがムツカシそう。大阪のお好み焼きと全然違う。大阪はメリケン粉でお腹いっぱいになったわ!って感じになるけど、因島はキャベツの食感がシャキシャキしてメリケン粉感が少ないから、体に良さそうな気がしてくるし、上品。大阪も因島もそれぞれ流派が違う感じで、どちらも個性があって美味しくて好きだなぁ…..。
因島大橋を眺める。「トラス桁吊り橋」とよぶそうだ。車道がトラスの上に走って、トラスの間に歩行者と自転車と原付の通路が通っている。それがユニーク。トラスの間の通路は、もともとは工事用の通路で完成後撤去する予定だったらしいが、歩行者も歩けるようにしてほしいという嘆願があって、トラスの間の通路を残すことになったという。それ以降しまなみ海道の橋には歩道がつくことになったそうだ。自転車で島々を渡り、サイクリングの聖地感が漂うのは、橋の技術と橋の上にある歩道のお陰なんだな。サイクリングする沢山の外人の方々とすれ違う。なんとなく嬉しい気分が湧いてくる。Eバイク(電動自転車)が沢山増えて、坂道で白人の子供さんが乗るEバイクに微笑みとともに追い抜かれた。
生口島から岩城島の積善山を眺める。大潮の日だった。干満の差が最も大きくなる時の潮汐(ちょうせき)で、新月と満月の時には太陽,月,地球がほぼ一直線上に並び,太陽と月の引力が合わさるため干満の差が大きくなる。と辞典に書いてあった。潮が引いて湖のような鏡のような雰囲気で、風もなくとっても穏やかな空気感が充満していた。テレビからは、ゼレンスキー大統領が広島に到着しました!と、ものものしいトーンのアナウンスが聞こえてきた。こんな穏やかな景色と静けさが漂うなかで、そのテレビ映像を眺めると、それはドラマでの出来事のような錯覚に囚われ、大潮の潮が引いている眺めのように、現実感が遠のいていた。
自転車に乗って、しまなみ海道のいくつかの海峡を眺める。潮の満ち引きや潮流など、複雑。むかしむかしの北前船とか、大陸からの船による移住者とか、神武東征とか…..いろいろなモノやヒト。水先案内人がいないと通過できなかったとおもうし、この周辺海峡を無事に通過できたことで、奈良や京都の文化が誕生したんじゃない…..。とさえおもえた。広島で大潮をみて、平和の水先案内人になれるかどうかのサミットなんだな。なんていうコトバが、ふと浮かんだ。そんな広島での週末だった。