場所性と創造性。
ゴールデンウィークが始まった29日と30日の連休。夜に大雨が降り、スカッとしない天気だったが、朝方から雨が止んで雲空。お昼から淀川の河川敷で凧揚げをする。凧名人の狹川さんと凧を製作し、絵本作家の谷口智則さんと、その凧に絵を描いたコラボ企画で製作した、その凧を揚げる日だった。
淀川超しに梅田スカイビルを眺めながら凧を上げれるのがちょっと嬉しい。エエ建築だなといつもおもう。それに、その凧と同じ高さだと錯覚するほどの低空で、伊丹空港に着陸体制に入った飛行機が通過し、その情景に、凧が飛行機にぶつかるぅ!と叫び声を上げながら楽しむ子供。そのはしゃぐ姿に微笑む大人。近くのバーベキュー広場で楽しむ若い人達のエネルギーも伝わってきて、凧と凧糸を通じて「風」を感じ、風の強さに驚く右手。わりと好きな場所だなぁ…..。
そうそう、うちの社員のお父さんのご配慮で、「国立京都国際会館」の見学の機会に恵まれた。こんなエエ建築だとは知らなかったし、心地良い建築空間体験にワクワクする時間だった。見学前にレストランで食事をし、事前の知識を得るためにググると、「設計上の特徴は、日本古来の合掌造り様式と現代的建築様式の融合」と書かれてあった。見学前にレクチャーがあって、その合掌造りというコトバに少々の違和感を持ったので、質問をしてみた。設計者の大谷幸夫研究室の元所員の方から「台形」をモチーフとして設計が進められた…..。というエピソードが語られ、台形の結果として合掌造りだということに、なるほどっ!と感じるのだった。
見学前にオーソドックスなカレーを味わいながら、レストランの天井を眺めると、台形の形状が珍しく、一緒に食事をしながらそのことを話題にしていた直後だったこともあって、「台形」というコトバに新鮮さを感じたし、それより、合掌造りの屋根は、三角形ではなく、台形なのだと、あらためて写真で確認し、再認識するのだった。
ホールの居心地が良く、会議場で会議をしたあと、こういうホールがあると、あちらこちらで、コミュニケーションが継続されるのだろうなぁとおもえたし、そういう居場所を大切にした設計意図の解説もあって、またこのホールを再訪したい気分になった。
メインホールの舞台に立ってみた。この舞台から、こんなふうに客席がみえるのかぁ。こんな大舞台から聴衆に向かって語りかける自分自身の姿を想像することなど、まったくできなかったが、舞台上からそんな気分を経験できたのは貴重だった。あれやこれや。建物だけでなく、なによりも、ランドスケープが素晴らしく、「森呼吸する、国際会議場。」というコピーライトに、なるほど。と頷ける建築だった。こんな良い機会を作って頂いた関係者の方々に感謝申し上げたい。
国立京都国際会館からの帰り道。ギャラリー「四条半」へ。うちの会社のローカル出身のフォトグラファー、徳山さんの作品を見るため立ち寄る。ギャラリーオープン時に案内を頂戴していたが、スケジュールの調整がうまくいかなかった。今日はこの京都という場所性の丁度良い巡り合わせを逃したくない。『「運慶800年大遠忌特別企画展」「四条半一周年記念」浄楽寺 x Munetaka Tokuyama x Kaz Oomori』という企画らしい。
長屋をリノベーションした素敵なギャラリーのなかに、運慶と対峙したフォトグラファーのトクヤマさんとイラストレーターのオオモリさんがいらっしゃって、この作品の「ものづくりの過程」をお聞きする。こういう話が好きだなぁ。それぞれが、どんなメンタリティーで運慶と向き合い。どんなスタイルでこの作品を製作したのか。そういう物語を聴くと、作品への理解度が深まる。
そんなこんな。
ゴールデンウィーク前の京都で、クリエイティブなエネルギーを浴び、連休の日曜日の今日は、風のエネルギーと遊んだ。場所性と創造性。なんとなく創造的に生きたいものだなぁ…..と感じるこの一週間だった。木村工務店では、5月3日より5月7日まで、ゴールデンウィーク休暇です。皆さん、素敵な休暇を!