イノベーション

しとしと雨降る土曜日の朝。庭を掃除していると、サンシュウの黄色い花に滴がついて、とってもエエ感じ。かなり手ぶれでピンボケしてますけど、気軽にiphoneの中に、その時の気分を収めておけるのが凄いな。イノベーションだな。とおもう。日曜日になって、青空が広がって、気が付けば草木から一斉に新緑が芽吹いて、桜にも蕾がついてきた。今年は皆で花見をするぞっ!っていう気分なのだ。

その庭に、サンダルが何個か置いてあって、それがなぜか、片方のサンダルがなくなるのだ。マゴ達が遊んで、どこかに放り出しているのでは…..と疑ってみたりもしたが、片方だけっていうのが、どうにも不思議だった。この地域にはイタチが沢山いて、ひょっとしてイタチが…..と疑ってみたが、そんな大きな食べられないものを口にくわえて運ぶはずもなく。サンダルを箱のなかに入れて保管するようになって以降、片方のサンダルが無くなる怪奇現象はなくなって、暫く忘れていた。で、このブログを書きながらなんとなくNHKのダーウィンが来たを視聴していると、全国で同じ現象が発生して、それを隠しカメラとGPSで突き止めると、なんとその犯人がイタチだったという。へぇー、凄い。調査のやり方が現代的で判りやすかったなぁ。

今週、WBCの日本対イタリア戦を2回の表頃から観戦する。案外ドキドキするよね。オオタニが、セーフティーバントをした瞬間は、おもわず、凄い!と叫んだ。まさか。だった。超特大のホームランバッターなのに、この緊張感のある場面でセーフティーバントを決める、大きな雄叫びで164キロを投げる投手でもあるわ、3塁に盗塁をする試合があったし、チャーミングな仕草と笑顔でベンチで鼓舞している姿にも出会う。スポーツ界の「イノベーション=新しい満足を提供する」だな。とおもう。スポーツ界だけでなく現代社会の「プロフェッショナル」としての新しい在り様にさえおもえてくる。

そうそう、イノベーションなんていうコトバのついでに。「ものづくりセッション」という、生野区を中心に、ものづくり企業が集まって、あーだこーだとプレゼンしながら、それぞれの組織の在り様を内省し、マーケティングとイノベーションを考えていこうとする、そんな集まりが継続的に開催されていて、そこでワタシもプレゼンする機会があった。その発表の最後に、次回は「ものづくりとしてのマイルス」っていうのをやります!と軽口をたたいてしまった。それで、ここ数ヶ月、音楽を聴きながら自分がどのように感じてきたか、時間がある時に、少しづつパワポに書き足してみた。

マイルス・ディビスはジャズ界のレジェンドといわれているらしいが、マイルスバンドのリズム・セクションと常に対峙しながら、職人どおしが、しのぎを削り合うような演奏スタイルで、それはまるで大工の棟梁のような存在にも感じていたが、常に変化を求め、ある時から「マーケティング」と「イノベーション」をより意識し、リズム・セクションをより組織化し、電子楽器を受け入れ、カリスマ社長のようになっていくマイルス(しらんけど)と、そんなふうに感じていた。そういう新しい音楽としての面白さと同時に伝統的なジャズから遠ざかっていく面白なさもジャズファンにはあって…..。オオタニって、そういうのを両方とも満足させようとする感覚なんだろうかね….。

それはそれとして、赤い囲みの部分のアルバムに、つい先日亡くなったウェイン・ショーターがサックスで参加していた。マーケティングとイノベーションを目指すマイルス(しらんけど)の、ものづくりの過程が楽しめる期間として、その時期の音楽を愛聴していたが、ワタシ、20代の若い頃は、全くウェイン・ショーターのコトが理解出来なかった。マイルス自叙伝という本で、「ウェイン・ショーターはアイデアの源泉だ」「バンドの知的な音楽的触媒だった」なんていうマイルス自身のコトバに出合い、それも働くようになってかなりの時間が経過し、組織なんていう存在を意識し経験するようになって、徐々に理解するようになった。

なによりも、二十歳頃からスティーリー・ダンのajaを愛聴していたにも関わらず、そのサックス奏者が、あのウェイン・ショーターだと知ったのは、ずーと後で、それが、あのマイルスの、あの時期に、マイルスとユニゾンとして吹けるウェインで、アイデアの源泉で知的な音楽的触媒としてのウェインだと、理解出来るようになるのに、かなりの時間がかかった。

イノベーションが起こるための組織には、アイデアの源泉になる存在とか、触媒的な役目を果たす存在とか、大事なコトだなぁ。なんて、ウェインの訃報を聞いて、あらためてそうおもった。