チャーミング

「梅は咲いたか桜はまだかいな」なんていう小唄の歌詞が、おもわず口のなかでもぐもぐし、頭の中を駆け巡ぐった。会社前のレトロな長屋と梅の雰囲気がエエ感じで、道行く人がおもわず足を止める姿に出くわすと、なんだか嬉しい。今年最後のひとりスキーに行くと、道中の里山のほとんどの雪が溶けて、ほんの一部に残っている雪と、芽吹き出す大地と木々、さらさら流れる小川の雰囲気が、とっても心地良い雰囲気だった。積雪のある時は小川の水が流れる姿をみることがなかったが、雪解けとともに「春の小川はさらさらゆくよ」って小学生の頃に歌った歌詞が、いま、この歳になって、ようやく理解出来るようになった。ここ数年、最後の春スキーが冬から春への切り替えになって、いつものように昼頃に終わり、大阪でスーパー銭湯に入って、スキーの板と靴は来年まで物置にしまうことになった。

そうそう、先々週の2月最後の日曜日に、しまなみ海道の生口島の輪空というペンションのオーナーが、自転車で、今治から南港までフェリーで来て、うちの家まで自走でやって来た。なので、二人で大阪と奈良をサイクリングをする。家を出て、司馬遼太郎記念館から十三峠を越える。暗峠奈良街道の榁木峠を越え、薬師寺、唐招提寺へ。奈良町を通過し猿沢の池周辺で昼食。東大寺、転害門、奈良少年刑務所跡、平城京、大和郡山の城下町で珈琲飲んで、金魚を見て、法隆寺へ。大和川沿いから八尾空港を通って、長吉長原の真田幸村休息所跡を経て、生野区小路東のうちの家まで、94kmほど。ワタシ、今年はじめてロードバイクに乗って、それも3ヶ月ぶりぐらいなので、後半の法隆寺を通過してからはヘロヘロしてスピードが全く出ず、後から応援してもらいながらなんとか走りきった。

先々週の日曜日はとっても寒い奈良と大阪だったのに、今週になって一気に暖かくなった。毎年自転車で司馬遼太郎記念館前の鉢植の黄色い菜の花をみて、春がやってくる気分が盛りあがってくるが、今年の春に気分が盛りあがってくるのが、WBCの野球だな。オオタニとヌートバーの仕草がとってもチャーミングだ。マゴ達もオオタニオオタニと叫んでいる。幅広い年代の女性たちの会話に聞き耳をたてると、普段は野球をみないけど、今回は見ているらしい。面白いのは、オオタニの彼女になるのはプレッシャーがかかるけど、オオタニの母親にはなりたい!と何人かの女性から聞いた。老若男女に幅広い魅力を感じさせるのが凄い。近くの居酒屋に行くと、家で野球をみる人が増えて夜の飲食店の人出が減ってるわ!と笑顔だった。

「チャーミング」を辞書で引くと「魅力があるさま。人の心を引きつけるさま。魅惑的。」と書いてあった。オオタニも、ヌートバーも、春の梅も、春の里山の景色も、菜の花も、チャーミングなのだ。