レッカーのオペレーター

久しぶりに木造の建て方の日に現場を見たワタシ。若い頃は、必ず建て方の現場には参加していた。木造の建て方ほどワクワクするものはない。なによりも大工さんをはじめ鳶として活躍する手伝いの職人さんなど、その働く姿がカッコエエ。そんな時のワタシの立ち位置は、ただただ安全無事を祈るだけなのだが、それとともに、加工された木が組み上がていく途中途中に、梁の上に登らせてもらい、体で、木が組みあがっていく感覚の体験を積み重ねるコトだった。木が組まれていくある段階で、ぐらぐらしていた木組みが固まり、しっかりする瞬間があって、それを自分の足元を通じて体で体験すると、木組みというシステムの魅力にはまるのだった。

写真の木組みの向こうに見えるのは心斎橋筋商店街のアーケードの鉄骨。その向こうにゼネコンの大きな現場の大きなクレーンが稼働している。こちらは、カニクレーンというとっても小さなクレーンで、おっちらこっちら手作業で建て方をしている。心斎橋商店街の狭小間口に木造建築を新築するということの現代性を象徴するかのような場面だった。

現代的な木造の建て方で、大工さんの技術が問われているのはそのとおりだが、それだけでなく、レッカーのオペレーターの腕がとっても大切なのだ。今回はレッカーのオペレーターとして、最も信頼のおけるナカムラさんを指名し、彼のスケジュールに合わせて建て方の日が決定された。当初はこの場所にはレッカーを入れるコトはできないという、レッカー屋さんの営業担当の判断だったので、カニクレーンを導入することになったが、作業効率がとっても悪かった。1日使ってみた午後3時過ぎ、ナカムラさんは、コンベックスで実際に立ち上がった柱の間隔を計測し、ぎりぎりだけどレッカーが入るかもしれない。と言いだした。急遽そのためのさまざまな手配をする現場監督。次の日、現場にレッカーを搬入するチャレンジをしてみると、見事ぎりぎりレッカーが納まることになった。それによって格段と作業効率と安全度がアップすることになった。↓(専務の写真を拝借)

レッカー搬入の安全性を担保しようとする営業判断に対して、それは現代的で社会情勢を鑑みても、安心安全は、しごく真っ当な判断だと思うが、現場で、その安全に対する判断を尊重しながらも、チャレンジしようとする職人さんが、いる。そういうレッカーのオペレーターの姿に直面し、そのことで現場の皆が、よりエネギッシュになる瞬間に出会えたことに、ワタシは密かな喜びを感じた。そんな今週の出来事だった。