「カスタマイズ」

雨降る日曜日。たまの雨もエエ感じ。雨降りだから本でも読もう。なんて気分になるのかと想っていたら、そうそう今日は生野祭りがあって、今回から運営者が変更になったようで、いままで何十年も裏方としてステージを作っていたその作業がなくなったが、知り合いの出店や運営のスタッフの方々にお声がけに行こうとおもっていた。そしたら水圧転写ワークショップの「ビッグワンズ」のマツイくんからメッセージが来て「自転車のチェーンカバーの塗装が完成したのでお昼から持って行きます!」ということだった。

自転車の話題が続いてしまうが、「ブロンプトン」を購入すると、乗るという楽しみだけでなく自転車を「カスタマイズ」するというコトに面白さがありそうだった。2段変速、3段変速、6段変速の選択肢があるなかで、ワタシは2段変速をチョイスし自分の脚力にあったギアー比に多段化する楽しみを段階的に楽しんでみようと考えた。純正のフロントのチェーンリングが「54」リアのギアー比が「12」「16」で、何週間か乗ってみると、「54と12」の組み合わせはワタシの今の年齢と脚力では重すぎて踏みきれなかった。それでリアーのギア比を多段化する前にフロントのチェーンリングを「50」に交換することにした。

そのチェーンリングにチェーンカバーというのが付いていて、その色が「黒」だった。販売店の方にうかがうと、これはアルミではなくプラスチック製品で「シルバー」色はないのですという返事で、確かにネットで調べてもなさそうだった。別に大した問題でもないのだが、遊びとして、それならチェーンカバーを外しタイヤのアルミの泥よけカバーも外して、ロードバイクのようなタイヤむき出しの精悍なスタイルにしようかとおもいながら、実物の自転車を夜な夜なしげしげと眺めていたら、ブロンプトンのフレームや純正部品ってブサカワイイ(ちょっとブサイクだけどなんだかカワイイ)デザインでデザイナーだなとおもえてきた。

よくみるとアルミの泥よけカバーのデザインもそれなりのデザインに考慮されているのだ。チェーンカバーのデザインもチェーンリングとの組み合わせでそれなりのデザインになっていてロードバイクなら必要とまったくおもわないチェーンカバーと泥よけカバーだが、ブサカワイイのだ。なら今回はそれを残すというチョイスにすると、やっぱりカバー類はシルバー色に統一した方がエエ感じにおもえた。何度も言い訳がましいのですが、黒のママでも無しのママでもどっちでもエエし、ほんとに個人的な趣味と感覚のお遊びなんですが、そんなカスタマイズ的なことをすると道具に「愛着」が湧いて「友達」のようになるのが楽しいのだとおもうのです。じゃぁチェーンカバーをどこかでシルバー塗装に出来ないものか…..と考えていた時に、偶然、水圧転写のワークショップの日がやってきた。

ワークショップが始まる前の昼食としてB級グルメ布施のサニヤンの焼きそばをテークアウトして一緒に食べながら雑談をしていた時、あっそうそう…..と、マツイくんに話題として持ちかけるため家から折りたたみ自転車を運んできて「このチェーンカバーが黒で、シルバー塗装ってできないものかなぁ。もちろんお金ちゃんと払うので」と尋ねると「一度会社に持ち帰ってどんなタイプのプラスチックか調べて下地処理がうまくいくのならチェーンリングと同じアルミ色にできるかもしれません」という快い返事が返ってきて、おもわず笑みがこぼれまくっていたワタシ。マツイくんとほぼ同じ歳の専務(長男)もワークショップサポートのために同席していたので、手伝ってもらいながらその場でチェーンカバーを外した。

お昼3時過ぎて雨が止んで、マツイくんが巽から自転車に乗ってうちの家まで完成品を持ってきてくれた。その場でチェーンカバーを取り付けて出来具合とか塗装によるひずみがないかお互いに確認する。もとの黒色のチェーンカバーにあったブロンプトンのデザインされたマークも消えずにそのまま残っていて、おもわずニヤニヤしているワタシ。奥方が奥から出てきて、えっ!どこが違うん!どこぉ!ふぅぅん!。もはやこの時のワタシにとっては褒め言葉でした。奥方も交えて珈琲を一緒に飲みながらあれやこれやと雑談をして「こんなのが『仕事』に発展したら良いのにねぇ」「住宅建築もカスタマイズの時代かもね」と語りあいながらこれまでの経歴を聞いたりしているうちに午後4時を回った。

あっそうそう生野祭りに行かねば…..。早くいかないと撤収しているかも…..と言われながら、玄関でマツイくんと別れて、シルバーのチェーンカバーを取り付けたばかりのブロンプトンで生野祭りの会場に向かう。会場の手前から閑散としたムードにあれぇとおもいながらロート製薬本社裏の会場に到着すると、もうすでに業者が来て舞台やテントの撤収作業をしているシチュエーションだった。

そんなこんなの雨の日曜日になった。