台風接近前。

台風が接近し「経験したことのないような暴風、高波、高潮、記録的な大雨のおそれ」とアナウンスされると、工務店の現場監督は、現場の足場やバリケードは大丈夫かどうか、なんともいえない緊張感がはしり、社内にもそのムードが漂う。近畿地方で19日「線状降水帯」発生の恐れとアナウンスされると、2018年台風21号の被害とその翌日から会社に掛かってきたもの凄い数の電話の事がよぎり、あんな事態になって欲しくないと願う。工務店という立場は「激しい雨や風」というコトバに呪縛されるのだ。無事な台風通過を祈りたい。

先週は台風接近前に地鎮祭と上棟式があった週で、どちらも晴天に恵まれたが真夏のような暑さだった。土地探しからお手伝いし、それなりの住宅地なのに前面道路に給水の本管が完備されておらず、それなりの高額な私費を投じて家の前まで本管を引く必要があって、行政に交渉にいくなどし、ようやく地鎮祭を迎えることができた。給排水がきっちり整備されているのが街づくりと快適な都市生活の基本のようにおもうが、そういうところに「こそ」税金をきっちりと投入して欲しいなとおもう。そんなことを呟きたくなる昨今なのだ。

矢部さん設計のコンクリートに木造の外壁が取り付くハイブリットな住宅の上棟式があった。「中心のある家」のようなコンクリートで囲まれた部分があって、そこに型枠大工の親方と造作大工の親方の両方が参加する珍しい組み合わせの上棟式となったが、夏のような暑い日だったので、ブルーシートで養生をしていたため、ちょっとしたサウナ状態だった。コロナ禍なので現場での祝宴は止めて頂戴した折り詰めを持ち帰り、うちの家で矢部さんと二人、あっ途中から専務が参加してワインの空く本数が3倍速になったが、上棟を祝う宴が深夜まで続いた。

そういえば、その夜。建築関係あるあるなんだけど、この夏旅で「こんな建築を見た」というiphoneの写真をテレビにキャストし、それをアテに飲んだ。

↓ 八戸美術館。「ジャイアントルーム」と「個室群」というのが特徴らしく、『「ひと」が活動する空間を大きく確保することで、「もの」や「こと」を生み出す新しいかたちの美術館として、新たな文化創造と八戸市全体の活性化を図ることを目指します』と書かれてあって『美術館活動に主体的に関わる市民を、アートでコミュニティを耕して育む「アートファーマー」と呼び・・・』とあった。

美術館のなかにアートファーマーのための居場所を造るってムツカシイテーマだなとおもう。行政の人だけでは使いこなしきれない空間なのかも。空間を使いこなすプロの手助けが必要なのかも。なんて感じながらぐるぐる回って居心地の良い居場所を見つけられず外に出た。八戸の飲み屋街に辿り着いて、居心地の良いスケール感にほっとして、まちのひとと楽しく夕食を共にした八戸は、また立ち寄りたいまちだった。

夏から秋にシフトチェンジしたつもりだったのに、ここ数日の暑い天気が夏の記憶を呼び戻させる感じ。9月の連休はここ数年、台風と遭遇する連休のような気がするが、秋の到来を告知するだけの、おとなしい台風であってほしいとおもう。