人柄

6月なのに夏日が続く今週。クーラーなしではツラい日々。電力需給がひっ迫しているらしい。なので省エネが求められ、原子力発電を再稼働させる必要があるのではと報道で知る。密集市街地のなかで、気温が30度を簡単に何度も超えてくると、パッシブで風通しの良い家でクーラーなしで我慢して暮らすと、熱中症になる確率の方が高くなってきたこの温暖化。やっぱりクーラーを付けざるを得ないのが現状。工務店的には、1台のクーラーで家全体が適温になる断熱気密性能の高い家を造って、快適性も担保しながら1軒あたりの電力消費量を極力少なくする省エネな家づくりが、フツウに目指す方向ではないのかとあらためておもう。そういう省エネな家は、春秋の冷暖房機を付けない時には窓の配置の工夫で風通しの良い快適な家にもなる。

絵本作家の谷口智則さんのワークショップを開催した日曜日。2012年から10年間、年に1回欠かさずワークショップを続けて、コロナ禍のこの3年間も奇跡的に日程調整がうまくいって開催できた。この間、絵本作家として、アーティストとして、イベント開催者として、ワークショップ講師として、カフェ経営者として、セレクトショップ経営者として、ビジネス的にも成功しているのが凄いコトだなとおもう。ひとつの敷地のなかに両親の家を新築しアトリエをリノベーションし家族のために古民家をリフォームして暮らすそのライフスタイルもカッコエエし、こういうバランス感覚を保ち続ける秘訣ってなんなのだろうかとおもう。

毎回夕方6時を過ぎてもお客さんと対峙しながらワークショップを続けて頂いたが、今回はコロナ禍の影響もあっていつもよりは時短で終了した。なので近くのあそび菜さんで飲食を共にする。この予測不能な経済情勢下で、どうやってうまくバランスをとって生きていくか。あそび菜さんのマスターも会話に入りながら、staffのアオキさんや奥方も交じって、あれやこれやと会話が続いた。

土曜日。ミシンを設置できる空き家を探している娘さんとそのお母さんが来社されて近所の空き家を案内する。学生さんが授業が終わってから数人で一緒に夜遅くまでミシンを使用できる場所を借りて作業をしたいという。娘さんが卒業しても、そういう場所を求めている方々のための居場所として運営できたら良いのにねというお話しだった。これってスタバがいうサードスペースとしてのカフェでパソコンでワークするように、ミシンが置かれているサードスペースとしての居場所にコアーな需要があるかもしれず、空き家をミシンの音が伝わらない防音が施された部屋としてリノベーションできるのかどうかという問題も大きいが、それはそれとしてマイホームではまかないきれないそれぞれの趣味嗜好に応じたシエアーできるサードスペースがある「まち」が求められているように感じた。

そうそう今日の谷口さんのワークショップに川田珈琲店が参加してくれた。そのカワタくんは、会社員として勤めながら、日曜日のワークショップに趣味的感覚とボランティア的感覚を交えて皆さんに美味しいドリップ珈琲を提供してくれて10年近くなる。車を持たず中古住宅を購入し一部分は自分で作業もしてリノベーションした家で暮らす、とっても現代的なライフスタイルで、将来的には、子供が好きなので寮母さん的な立ち位置で子供たちを育てる居場所を提供したいという。やっぱりさまざまなスタイルの居場所をいろいろな人が模索しているような気がした。

大谷的二刀流は使い古されたコトバ感になってきたが、それでも二頭も三頭も追いながら多方面の知識を身に付けてバランス良く生きていこうとすることが予測できない経済を乗り越えていくひとつの方法かもしれず。バランス良く生きるにはやっぱり「人柄」のようなものが大切だよね。なんて、あそび菜さんで飛び交ったコトバだった。