「昭和」
ぐずついた天候だったゴールデンウィーク前半。4月29日の祭日は朝から雨だったが、何という名の祭日になったのか、すっかり忘れてしまい、かつての天皇誕生日だったことは想い出せるのだが…..あっそうそう、そういえば、「昭和の日」とよばれているのだと、このブログを書きながら再認識した。
「昭和レトロブーム」とか「昭和歌謡ブーム」というのが若い人の間であるらしい。あらためて「昭和」というコトバに接すると、昭和って何だったのかとおもう。今の若者にレトロな魅力を感じさせている昭和のデザインって何なのだろうか。再認識してみたいとおもった。
昭和歌謡の人気ランキングをググると、1位まちぶせ/石川ひとみ、2位木綿のハンカチーフ/太田裕美、3位喝采/ちあきなおみ、4位岬めぐり/山本コウタロー、5位また逢う日まで/尾崎紀世彦、6位勝手にしやがれ/沢田研二、となっていて。確かにどれもこれもなにげに口ずさめたりして。クレジットにある作詞作曲者の氏名をみると、あっあの人とあの人ねぇ。と名前を覚えているし、ザ・ベストテンなんていうテレビ番組を楽しみで視聴していたなぁと想い出す。
「工務店」に関連するコトになると、「昭和住宅資料館」「昭和スポット巡り」というサイトに遭遇して、あらためて建築デザインとかインテリアデザイン、家具デザイン、家電のデザイン、看板のデザインとかの「昭和」って何なのか意識させられる。「昭和中期の生活をリアルに体感できるような空間づくりを心がけている」とそのサイトに書かれてあって、中古物件を手に入れて、自分で昭和の空間を作って生活しているらしい。
「この時代特有の野暮ったさが際立っています。私にとってこの野暮ったさこそが昭和中期の最大の魅力です。」「建築はもとよりファッションや自動車など様々な方面で海外のデザインが急速に取り込まれていったわけですが、それと同時に日本人の未だあか抜け切れていないセンスが浮き彫りになった時代でもあったのではないでしょうか。そして、そのあか抜け切れていない部分こそが当時を生きた人たちの気持ちそのものだと思うのです。」
なるほど。木村工務店では、そんな昭和レトロな建物を沢山、「モダン」にリフォームしてきたが、確かに昔のままでも良かったのかも。何がモダンなのか、と考えさせられる。そのサイトには「どこかあか抜け切れていない部分に愛おしさ」を感じる。と書いてあって、デザインがちょっと破綻しているところに愛おしさが宿っているのかもしれない。
そういう気持ちはそれなりに理解出来て、モダンデザインとして整ったデザインの模倣や提案が、施主の嗜好や大工をはじめとする職人さんのセンスと思い入れとコストと技術力の問題で、デザイン的破綻になってしまう時があって、その破綻を良しとして施工してしまうところに工務店的な魅力もちょっと存在し、そういう「昭和的工務店」が作った住宅が「昭和住宅」だったのかもしれない….とおもった。
唐突ですが、この写真は、東京、銀座の無印に展示されていたチャールズ&レイ・イームズのテーブルと椅子で、この手前のカフェで珈琲を飲みながら眺めていたら、何人かの若いひとたちが、写真を撮って憧れの風情で眺めていた。こういう1930年代のモダニズムの思想やモダンデザインが日本にも入ってきて、工務店にも模倣されたのが昭和だったのだろうが、その模倣がさまざまな要因でデザイン的破綻をして、でも職人さんが丁寧に一生懸命作ろうとしていたので、どこかに愛おしさが残っていたのかもしれない…..。
そういう愛おしく感じるデザインを受け継げいでいく「昭和的工務店」もエエなぁ…..と「昭和の日」の「昭和」を考えてみた。