「摘み菜」
とっても気候の良い4月の休日。「まちのえんがわ」ワークショップを開催した日曜日。昨年は5回ワークショップを開いたが最後は昨年11月。コロナの影響で久しぶりの開催となった。
「摘み菜」というコトバは馴染みのありそうで、初めて聞くコトバだった。平谷(ヒラヤ)けいこさんは摘み菜料理研究家で今回のワークショップを開催した妙齢の女性で、近くにある居酒屋あそび菜さんのご紹介で縁を持つ事になった。ちなみにあそび菜さんは何度か「まちのえんがわ」ワークショップを開催してくれている。雑草とか野草と呼ばれている「草」を摘み取り食す。そんな雑草が食べられるとは思っていなかったので、ワタシにとっては新たな気づきになるワークショップだった。ちなみに「摘み菜」というコトバはヒラヤさんが考えたという。
うちの家の近くに通称「長細公園」というのがあって、かつては運河だったらしいが、そこが埋め立てられ、長細い公園として遊具が置かれていた。そこはこの周辺の子供にとっては刺激的な遊び場だった。「ブランコ」や「うんてい」や「鉄棒」の技術を習得したのも家から歩いて1分のところに長細公園があったからだ。数年前のこと「もしその長細公園の遊具で事故が起こればその責任は町会長が取らなければならないらしい」という責任問題が浮上し、すべての遊具が撤去されることになった。致し方ないが、いかにも現代的な理由だ。ただ遊具がなくなると、ただの土道になって、この道を通る人がほとんどいなくなり雑草が育つ通路と化した。
普段は邪魔者扱いする雑草が「摘み菜」の宝庫だとヒラヤさんが語る。その長細公園を散策しながら、雑草を観察し、食べる雑草をヒラヤさんから教授してもらう。参加者の女性が土道に座り込んで、雑草を観察し採取する姿は、異様な姿でもあるが、あるいみ美しい光景でもあった。長男嫁とその子供達が参加し、楽しそうに雑草を引き抜いては、ヒラヤさんに名前を尋ねる姿が微笑ましかった。採取した雑草を持ち帰り、加工場でそれぞれがスクラップブックにする作業のあとに、木村家の庭で、摘み菜によるお茶会を催した。
ヒラヤさんは洒落た女性で「ななな」三発講座というキャッチーなフレーズのもと、【「な」の発見 ~摘み菜の観察~」】・【「なかま」とナイスな発創 ~摘み菜ノート作り~」】・【 ティータイム ~加菜っ平(カナッペ)&摘み菜茶~「なごみ」の発信 ~各自のお気に入りを話し合う~】というワークショップ構成で、最後にうちの庭で摘み菜によるお茶とゼリーを頂き、ビスケットに摘み菜と自家製ソースのトッピングで食したが、おもわず「香りが良い!」「美味しい!」というコトバが出てしまうほど、オーガニックで身体に良さそうなお茶と食物だった。
ここ数ヶ月、月一回「まちの工務店ネット」で、建築家の秋山さんとランドスケープデザイナーの田瀬さんによるレクチャーがあって、建築家の方々と接する機会は幾度もあったが、ランドスケープの方との接触はほとんどなく、ゆえに田瀬さんから発せられるランドスケープに対するコトバ使いと考え方に刺激を受けている。その刺激と同じような刺激を平谷さんからも感じる。「土」と「植物」というのは身近にありながら、深く考える機会がなかった。人の名前と植物の名称を記憶するのが苦手だと再認識するのだが、それにしても街角にある「摘んだ草がたちまちごちそうになる」という発想と探求に敬意を表したいとおもった。