木の給水塔

寒い日々が続く。各地の雪かきがタイヘンなのが伝わってくるぐらい雪が多い年だ。スキーにはちょっと嬉しいけど。寒くて自転車は乗る気にならないし。朝からお風呂屋さんで体を温めた日曜日。

コロナ禍になって夜の外出がほとんどなくなり、家で食事とともに飲むことが多くなって、そんなに酒飲みでないワタシも、オーガニックワインを買って楽しむようになった。ラベルもちょっとモダン。で、今まで、寝落ちなんてほとんどしたことがなかったのに、コロナ禍でワインなど飲むようになってから時々居間のソファーで寝落ちする。それが問題なのは中途半端に目覚めた時なのだ。

先週の夜。ワイン飲んでNHK BSを見ながら寝落ちして、夜中にテレビ画面からの観客の歓声と音楽で目が覚めた。サイモン&ガーファンクルのNYセントラルパークのコンサートだった。1981年9月らしい。その時と丁度同じ時期のワタシのことを想いだしながらグッとくる。決して、ファンでもないが、嫌いでもないし、レコードを持っていないのに、ほとんどの曲を知っているのが不思議なくらいだった。このコンサートの存在は知っていたし、大阪でもコンサートがあったはずだ。

で、音楽以上に気になったコトがあった。「ステージのセット」がカッコ良いのだ!その魅力に引き込まれて最後まで見た。そういえば、昨年末の紅白歌合戦を最後まで見たのは、開演と同時にバックで見えた綺麗な花のステージセットが目を引いたからだ。その花のセットがどんなふうに様々に展開されるのかに興味がそそられた。サイモン&ガーファンクルのNYセントラルパークのセットは「木の円筒状の給水塔」だった。

いやいや、先ほどまで、それはセットでなく、実際にセントラルパークのステージのバックに、そんな木の給水塔があるのだとおもっていて、ストリートビューで調べたが、存在しなかった。それでググってみると、NYはいまだに木の給水塔が存在しているのだと知る。ちょっとした驚きでもあった。えっ!とおもいストリートビューで探検すると、確かに、あの摩天楼のビルの上には、未だに木の円筒状のカワイらしい給水塔があるのではないか。とっても残念だなぁNYに行った時に意識して見ておけば良かった!

なぜ木で造るのか不思議におもう。日本の木の樽とは違う感じだ。NYは、夏暑く冬寒いので、木だと夏は水を冷たく冬は水を凍らさずに保てるらしい。プラスチックは経年変化で壊れやすく、コンクリートはひび割れ、鉄は錆びる、木は熱を通しにくく水が傷まず美味しいし50年ほど持つらしい。なんとNYの屋上で「木」の文化を再発見した。

ググっていくうちに、このステージを担当したアートディレクターのサイトに辿り着いた。こんなNYの屋上をイメージしたステージだったのか。かっこいいなぁ…..右のシルバーの煙突の横の三角形の屋上に上がる階段の扉からサイモン&ガーファンクルが出てくる演出がとっても格好良かった。黒い壇上のステージの上にはstuffのドラマーのスティーブガットが鎮座していた。そのstuffのコンサートに行ったのは確か1981年頃のような気がする….。

50万人が無料で集まるコンサートの雰囲気に温かみがあって壮観だった。当時のワタシを想いださせてセンチメンタルにさせる雰囲気すらあった。いや、それ以上に、「木の給水塔」に心奪われたのだ。ま、とにかく、寝落ちして良かったとおもう時がある…..