「クレーン」

久しぶりに、鉄骨ALC造の小規模な工場の引き渡しがあった。木村工務店では、40年以上前は沢山の鉄骨ALCの工場を施工していた。生野区や東成区で長屋の中で創業していたものづくりの工場が、商売繁盛と共に手狭になり、大きな工場を建てるために東大阪市や八尾市の田んぼを買い求めて、工場を建てるパターンが多かったという。当時はALCの販売施工部門が木村工務店の内部にあったので、ALCの工場や事務所や住宅を数多く手掛けてきた。もちろん木造の大工も社内に在籍していたので、ALC部門が社内に残っていれば、木造と鉄骨のハイブリットで二刀流の職人集団になっていたのかもしれない。

その引き渡し時に岡本電気の岡本くんが、住宅もエエですけど工場の配線好きなんですよ!配管を工夫する楽しさがあるのですっ!という。確かに住宅の住みやすさを追求するように、作業のしやすさを追求する工場を考えるのも楽しい。ま、それはそれとして、そこにオレンジ色に着色されたガータークレーンが設置してあって、ちょっとだけ操作させてもらう。それだけでもちょっとワクワクする。気恥ずかしさもあって、嬉しそうなそぶりを周囲にみせなかったが、心の中では、端から端まで運転して、なんでもエエので何かを吊り上げたいとおもっていた。

「クレーン」というのに、なぜか興味がそそられる。なんでなんだろう。それは「男の子」だけのことなのか。そういえばゲーム機のクレーンゲームというかUFOキャッチャーがいまだに存在しているではないか。心の奥に潜むこの隠された魅力とはなんなのだろうか。クレーン部が上下して吊り上げたり下げたりする所作の魅力なのか。それだけではなく単純なメカニカルな姿がなんだかカワイイのだとおもう。そうおもってググってみると新宿歌舞伎町のセガがリニューアルし1階2階全てが、クレーンゲームコーナーとして生まれ変わったという。いま、なぜなんだ?

旅をした時、特に自転車旅をした時の写真を振り返ってみると、「タワークレーン」を撮影しているワタシに気付く。タワークレーンが林立する姿に不思議な魅力を感じるのだ。鉄骨ラチス梁のメカニカルな姿がなんだかカワイイのだとおもう。しまなみ海道の生口島にあるLINK輪空に宿泊し、大島の亀老山にヒルクライムして、今治までライドしたその帰り道。自転車で往復するのも良いが、芸予汽船に乗って島伝いに岩城島までフェリーで渡って生口島まで戻るコースが船旅気分とともに海から集落を眺められるその光景が楽しい。何よりも造船工場を海から眺めてタワークレーンが林立する姿に不思議な魅力を感じるのだった。

↓ 伯方島の造船所はセガのクレーンゲームコーナーのようにもおもえる…

↓ 岩城島で橋を施行している丁度良いタイミングに出会った。タワークレーンをこんな感じで建てて吊橋を施工するのだと知って、ちょっと施工者の気分になった。

↓ 岩城島のフェリーからみた林立する造船所のタワークレーン。

↓ そういえば、建築家秋山東一さんとメルクリン&メカノというイベントを催した時、あらためて、メカノのクレーンが、モノとして面白いことを認識したイベントでもあった。秋山さんのメカノのホームページ。


 
↑ そのメルクリン&メカノのイベント時のメカノを使った陸橋

 

そうそう、うちの加工場にもオレンジ色のクレーンがあって、大工が手加工をする時に、木材を移動するために使用する。とってもプリミティブなクレーンだけれど、これはこれで楽しい。

とにかく「クレーン」の姿がなんとなく「カワイイ」のだ。