水田と橋と街
緊急事態宣言が延長された大阪。なので友人や家族で一緒に出掛けるという予定が消滅し、ワークショップも中止しているので、日曜日の過ごし方のバリエーションが限定されてきた。梅雨に入って、平日に雨が降り、日曜に天気が良くなる、を繰り返すここ2週間。先週日曜日に自転車で走って、気になることが2つあって、確かめるために2週連続自転車に乗ることにした。水田と橋。そうそう、今日はランナーやローディーが少なかったような気がする。奥方はコストコに買い物に行くと、人がいっぱいで入場制限が出ていたとか。緊急事態宣言下の給料日明けの休日で、美味しいものでも買って家で食事する日曜日と違ぅっと奥方が呟いた。
自転車で農道を走ると水田の季節だと気づく。この光景を眺めると、日本的を感じる。何でなのだろう。先週は水が張られていたが、今週は苗が植っていた。ワタシ、農業に関しては、全く無知なので、家に帰ってからネットで調べると、「田んぼに水をはる」「前もって稲の苗を作る」というのが、かつての技術革新だったと、改めて知る。そういうのに近い技術って、建築では何になるのだろうか。前もって苗を作るは、木造で、家を建てる時に、構造材を作業場で前もって手加工しておいて、現場に運んで、家を建てる、いわゆる上棟式がこの水田に苗が植った状態に近いのか。
田んぼに水を張ることで、土の品質が良くなるらしい。建築での似通ったコトは何なのか?「下地」をきっちり丁寧に作るということが、美しい仕上げに繋がる。そんな、ものづくりの心のようなものに受け継がれているのだろうか。木村工務店では、伝統的に、プラスターボードの下地に、「胴縁」というのを使って、下地にひと手間かけてPBを貼る。無駄を省くために、最近は、間柱に直打ちになっている現場がほとんどだが、それによって、クロスの波うちや珪藻土の割れを防ぐことができる。
信貴山のリベット打ちでカンチレバーの赤い橋が、開運橋と呼ばれていて、それが重要文化財になっている素晴らしい橋であるということを、自転車に乗り出して、何十回もその橋を渡っているのに知らなかった。先週、下から写真を撮って家で検索して知った。そこにバンジー台が持ち出しで設置されていて、どうやっているのか、前から気になっていたので、もう一度下から視てみることにした。
説明は省くとして、橋の幅の端から端まで部材が渡っているので、橋の上のそこに部材の段差があって、それを跨ぐように緩やかな斜路が取り付いている。文化財的オールドな橋の作り方だからこそ、上手く取り付けることが出来たのだろう。それにしても、設計者も施工者も勇気あるチャレンジだな。行政もOK出したのは凄いよね。それより、当時の現場で、このリベットを打っている光景を想像するだけでワクワクする。東京タワーも同じ格好良さだし、細い部材が組み合わさって強度を保っている繊細なプロポーションがエエのだろう。数寄屋の大工だった昨年亡くなった沖棟梁が、ある日ワタシに、木を太い部材でしっかり組み合わせるのは、誰でもできる、細い部材を使って繊細にしっかり木組みするのがカッコエエのや。とワタシに呟いたことを思い出した。
そうそう、今週の夜は、ジロ・デ・イタリアのライブ中継の街並みが面白いので、ついつい視てしまった。その第20ステージが山岳ステージで、イタリアから国境を超えてスイスの山岳に入りイタリアに戻るのだが、イタリアの国境を超えてスイスに入った途端に街並みが劇的に変化するのが面白い。応援する住民の服装も違うしね。これを「文化」の違いっていうのだろうか。国によって趣味嗜好や建築技術や工法や材料が違うからだろう。日本の街並はどうなっていくのだろうか。
↓ イタリアの街並
↓ スイスの街並み
自転車に乗りながら何となく「日本的」光景を探しているのだと気づく。