「大地から切り離された植物は旅をする」
3度目の緊急事態宣言が発動された大阪。感染者数が急増しているのに、去年ほどの緊張感が薄れているので、感染力が強いとか重症化率が高いとかいう報道で、意識的に自分自身に注意を喚起しようとしているのが、今の大阪府民のメンタリティーなんだろう。
その初日の日曜日の朝。「屋外での運動や散歩など、生活や健康の維持のために必要なものについては対象外です。」なんていう指標を頼りに、朝3時間ほど運動がてら、ひとりで自転車に乗ると、朝からランニングや自転車に乗る人が意外に多い。いつも休憩がてら眺める柏原の立田古道里山公園近くの丘の階段に座っていると、軽自動車に乗った若いカップルが車を止め、外に出て、景色に向かって、大声で、ヤッホーとかお〜ぃとか叫んで大声で笑っていた。目に見えないストレスから解放されるために、ソトに出向いて、密集を避けながら、体を動かし声を張り上げたいのだろう。なんとなくその気持ちわかるわかる。
「まちのえんがわ」が「まちのえんげい店」という植木のある場にリニューアルすると、うちの孫たちが、毎日遊びに寄るようになった。「緑の力」の不思議を感じる。確かに古本にはある種の気取りもあるので、近寄り難さもあるのだろうが、このコロナ禍ゆえに、「緑の存在」がよりストレスを癒すのだろうか。古本も30冊共存して、その本も手に取って眺めたりしている。古本ばかりの時は一度も手に取らなかったのに。まちのえんがわの縁台に切り込みを入れて仮設的にテーブルを設えた。そうするとテーブルを中心に会話や作業が起こるようになった。なんで、こんな事、最初から思いつかなかったのかと嘆いてみる。
この1年「町の工務店ネット」に参加し「里山のある町角」を生もうというプロジェクトに参画することになった。町の中に緑を自分達の手で育て維持管理する取り組みでもあるとおもう。里山的であれば、より大地と繋がる感覚が蘇るのだろう。先日のこの「まちのえんげい店」のワークショップで、皆で、土を触って植木鉢に土を入れる作業をしていると、誰もが笑顔で気持ち良さそうだった。そんなことを語ると、手伝いに来てくれた花屋のカマシタさんが、オールドロックをDJしながら、それは大地と繋がるからちゃうか。と呟いたコトバが印象的だった。なるほど。
このワークショップを企画した植景研究所の家谷さんは「大地から切り離された植物は旅をする」というテーマを掲げた。鉢植えされた緑が、「植木屋」さんから「まちのえんがわ」へ、そしてどこかの家に旅をし、その家でその人とその場と共生しながら、面倒も増えるが喜びも増えるのだとおもう。
木村工務店のこのゴールデンウィークは4月29日休み、30日通常営業、5月1日土曜日から5日水曜日まで休みとしました。「まちのえんがわ」は、「緑」が、生活や健康の維持のため、どうしても必要なものかどうか微妙な判断ですが、「5月1日と2日」はオープンし、オープンエアーの店舗で、コロナ対策しながら、「大地から切り離された植物」を販売する予定です。