住民投票の日曜日。
住宅相談会があった日曜日。コロナ禍になって、3月以降、相談会でフェースtoフェースでの参加者がほとんどなくなって、この先、いったいどうなっていくのだろうかとおもっていたら、シルバーウィーク以降、急に、住宅の相談にお越しになる方々が増えた。
それぞれにとって大切な家造りをどうしようかと悩んでおられるのは、単に、新しい土地を取得して新築するとか、新しいマンションを取得するとか、いや、中古の住宅やマンションを取得してリフォームするとか、そんな相談よりも、受け継いだ土地と建物、いま両親が住んでいる建物、これからシニア世代として住んでいく建物、それらを、これからのライフスタイルを考えて、どのようにリフォームし、どのように新築し、どのように活用していけば良いのかと、悩んでおられる方々が増えているようにおもう。
もちろん、いままでだって、同じ事なのだが、でも何か、少し、ムードが違う。ビフォーアフター的な劇的性を求めているというより、地に足ついて、自分達のライフスタイルと趣味嗜好をより良く反映できる家造りを求めている…..といえば良いのだろうか。
土曜日の午前中にお越しになったAさんは、大阪の町のど真ん中で、昭和初期に建てられた両親が住んでいた家を、若い夫婦二人の住まいとして、耐震性や温熱環境も考慮しながら、快適な住まいにしたいという。ま、こう書くと、いたってフツウだが、ここ数年のこういう依頼の多くは、接道が狭く長いとか、一軒家だが隣家と密接していて施工しにくいとか、なんだかんだ、厳しい条件の案件が多いのが特徴。
日曜日の午前中のBさんは、以前にも内装替えのリフォームをさせて頂いたリピーターのお客さんだが、これからシニア世代に突入するにあたって、快適な住まいを模索しておられるが、快適な寝室と収納と洗面所など、収納に対する要望も多いが、成人したお子さんや孫さん達など人が集まって一緒に食事ができる場所を造るというのが、これからのシニアリフォームの特徴のひとつだろう。また、それだけでなく、いま所有している空き家になった文化住宅をどのように活用するかという相談もあった。
シニア世代の方々のなかに、受け継いだ、空き家になった借家を、どのように活用すれば良いのか悩んでおられる方も多く、ワタシも生野区で「空き家カフェ」という、空き家問題をどのようにしていくかという、行政も交えた、ミーティングを毎月19日に開催しているが、簡単にすぅーっと解決できるような特効薬はなく、いろいろな立場のひと、それは不動産屋、建築家、工務店という建築の専門職だけでなく、ファイナンシャルプランナーや行政書士や借家オーナーや大学の先生や生徒、さまざまな特定非営利法人、などなど、チーム的な協働によって、ようやく解決できるような、複雑な要件が、「纏わりついている」のが現状だ。
午後からのCさんは、若い夫婦と幼児を連れだってお越しになられたが、奥さまの実家に移り住んで、母や祖父やお兄さんとの同居を考えておられるとのことだった。同じようなシチュエーションの依頼が他に3件ほどあって、ご主人の実家だったり、さまざまだが、単に住まいとしての2世帯住宅を造るというだけでなく、介護や子育てのためだけでもなく、それぞれのライフスタイルのちょっとした違いを活かすリノベーションを求められているのだろう。
午後からのDさんは、ご夫妻でお越しになられたが、ご主人はヨーロッパ出身の方だった。奥さんのご実家の住宅を耐震リフォームする依頼だったが、敷地の別棟でご両親が住んでおられ、別棟でご商売の工場もある。そういえば、職住をともにした住まいのリノベーション依頼も多い。職のなかには農家のひとも含まれているが、職住一体の住まいに対するアレルギーのようなものが、このコロナ禍のテレワークなどで、薄らいでいるようにおもうし、住む場所と働く場所を移動することによって、オンとオフのような切り替えをする時代ではなくなっていくのだろう…..。
そうそう、大阪都構想の住民投票があった日曜日だった。このブログを書いている現在、結果は判明していないが、はんなりとした柔らかい大阪弁を話した生粋の大阪人の祖母を持つ大阪人のワタシとしては、そういう大阪の文化圏が、大阪商人を生んで、経済的発展があったようにおもい、大阪の文化圏のようなものが分断される寂しさと憤りのようなものも感じる。「まぁやってみなはれ」的な新しいことにチャレンジする精神も大阪の文化にはあり、そういう意味では、ほんまかどうか、よーわからんところあるけど、とりあえずやってみよかぁ。みたいな気分もあって、賛成反対五分五分の気分が投票間際まで拮抗していた。こうなったらサイコロで運命決めて、その決まった方向で頑張ろか。ぐらいエー加減な気持ちもあるわけで、さて、結果がどうなるのか、ちょっと楽しみ。