ものをつくるエネルギー源
天気が回復した日曜日。木工家の賀来さんによる、スギの小幅板を使って、家具を製作する、まちのえんがわワークショップを催した日曜日だった。いままでの木工系のワークショップは、デザインを固定し、材料の寸法切りはこちらで済ましておいて、組み立てだけをするワークショップで、昼からの半日で開催していた。
今回は木工家のカクさんオリジナルのワークショップで、最小限の製作ルールと製作手法を共有し、杉の小幅板を材料として、手鋸で材料切りし、金槌で釘打ちして、椅子や机などの家具を造るという、オールドな手法ながら、それぞれが自分の欲しい家具を、デザインから考えて製作するので、午前10時から午後5時まで、たっぷりと一日を費やすハードなワークショップだったが、完成してみれば、とっても充実したワークショップになった。
オトナの参加者のなかに、小学校4年生の男の子がお母さんと一緒に参加していたが、将来は建築をやりたいという。ワタシなど、工務店の長男に生まれ、建築学科の大学に通いながらも、建築をやる決心というか、家業である建築を継ぐ、なかば諦めような決心がついたのは22歳頃だったようにおもう。そのお子さんのような夢を持てる子は、なんとなく神からのギフトのような気がするし、そのギフトを楽しんで受けとれて持続できればエエよね。なんてそんなコトを考えさせられたワークショップだった。
自分でデザインを思案し、机に棚がついた家具をスケッチして、それを製作することになったが、お母さんは、娘さんを同伴しながら、側で見守っていた。うちの長男タカノリの息子、ワタシにとってはマゴの同級生のお兄さんだということで、その都度、カクさんもタカノリもワタシも、鋸を持って切ったり、金槌で釘を打ったりしながら、サポートをしたが、飽きることも諦めることもせず、独力でやり遂げようとするその姿勢に、私たちが、プリミティブで、清らかなエネルギーを頂戴したような気分だった。
製作見本は、アウトドアーやベランダなどで使える、低いテーブルと低い椅子だったが、参加者11名の誰ひとりも、それと同じような椅子とテーブルを作る人がいなくて、それぞれが、それぞれなりの、オリジナルな家具を製作したコトが、少々の驚きで、完成した家具のデザインや施工のクオリティーを眺めながら、それぞれのちょっとしたライフスタイルの違いを丁寧に建築化できる工務店でありたいものだぁ…..なんておもった。
そうそう、昨日は雨が降りしきる土曜日だったが、鉄骨造住宅の上棟式があった。コロナ禍なので、皆で上棟の儀式をし、御神酒で乾杯して、職人さんを紹介する、宴席のないショートバージョンの上棟式だが、感謝と祝福のエネルギーを、新しい家の構造体の中に、「転写」できればエエよね。とおもうのが、上棟式での私たち施工者の立ち位置なんだろう。なんて、ワークショップで、フツウのひとたちが、ものづくりに一生懸命になるエネルギーに接すると、プロとしてどうあるべきなのか、考えさせられるなぁ…..。