「門前」
風が吹いて、木々のざわめきの音が、すでに秋だな。
シルバーウィークのど真ん中。快晴だったので、こんトライをしてみた。自転車で、十三峠から奈良と京都へ。2度めの同じコースなんだけど、自転車をカーボンからクロモリに乗り替えて、乗った感じが違うのかどうか。体に伝わる振動が、カーボンよりクロモリのほうが易しく、それが疲れを少なくしてくれる感じ。足への負担はきっと走り方の問題で、後半は、同じように疲れる疲れる。
このコースの好きなところは、門前の寺院建築の空気感に触れるのが楽しい。大阪から十三峠を越え、榁木峠を越え、追分の分岐点で、大和棟の住宅をみると、奈良に来たって感じが芽生える。308号線を外れ薬師寺を目指すと、ゆるやかな下り坂で、目の前に東塔と西塔の二つの三重塔の尖塔が飛び込んでくるのが独特な感覚で、ちょっとワクワクする。薬師寺の門前で記念写真。
すぐ近くの唐招提寺にも立ち寄る。やっぱり門前で記念写真を撮るが、薬師寺の垂直感とは違う、水平にシュッと伸びる軒が、門の奥の砂利道の向こうに見える姿がエエ。なぜ、この近しい位置関係に、薬師寺と唐招提寺が建っているのかちょと不思議におもう…..。東にどんどん進み、北に方向を変えて、ならまちを通過しながら猿沢の池に到着すると、スタバが出来ていた。休憩しながら、このまま家に帰ってもエエぐらいの感覚だった。
興福寺は、門前の感覚が薄い。どちらかといえば広場な感覚なので、それはそれで独特だけど、いつも通過してしまう。奈良公園を抜ける途中、奈良国立博物館西館の前でおもわず立ち止まった。あらためて今日は「柱のデザイン」がカッコエエとおもい、吉村順三さんの設計にちょっと魅とれる。あの唐招提寺の門のちょっとエンタシスな丸い柱が残像のように焼き付いていたからだろうか。
奈良公園の中を抜けて、東大寺の南大門に向かう。ガラガラだとおもっていたら、家族連れの日本人観光客でいっぱいだった。鹿も餌をもらって嬉しそう。南大門はいつ見ても魅力的でやっぱり門前で記念写真。自転車で周辺を巡りながら、東大寺のあの瓦屋根をあちらこちらの角度から眺めるのが自転車的な面白さなのだろう。(冒頭の写真も)
続く…..。
そうそうシルバーウィーク最終日は、関西大学の木造設計製図の授業があって、大学に向かうと、門の前も中も電車も学生でいっぱいだった。後期は対面授業をやるらしい。連休も授業をやらないと消化出来ないということだ。大きな製図室が、それぞれの机ごとにアクリル板で仕切られていて、それが、コロナ禍であることをあらためて意識させられた。さて、生徒との講評会はどんなスタイルでするのだろうか…..。