さまざま印象を食す。
大阪は、緊急事態宣言区域から解除があって、初めての日曜日。早朝から自転車に乗ってみることにした。奥方はスーパー銭湯に行くという。走り出してみると、空気が新鮮だ。いや、「印象が食物」である。という話を読んだコトがあるが、まさしく、五感で感じる印象を食べまくっているような気分。
天候も良かったので、結果100kmほど走ったが、体ガクガク、何度か筋肉がつった。今まではこの距離ぐらいならって感じだったが、筋肉が自転車を走る筋肉になっていないことに気付く、そういや、Netflixのマイケルジョーダンのドキュメンタリーを視聴したが、一時、バスケからプロ野球選手になって、またバスケに戻るときに、野球の筋肉になっていたのをバスケの筋肉に戻すために、猛烈なトレーニングをしたという。全くレベル違うのに、走りながらその映像が浮かんだ。筋肉というヤツは、その時の自分のライフスタイルに適した筋肉になってしまうのだな…..。
十三峠から平群抜けて法隆寺に行く。なんとなく法隆寺を見たかったのだ。ブラタモリの影響があるのだろう。まだ余裕があったので、ぐるぐる自転車で回りながら、さまざまな土塀を見る。木造建築としての魅力以上に土壁が気になる。歴史を積み重ねる土壁の経年変化の魅力は、こういう寺院の方がより相応しのだろう。あらためていろんなバリエーションの土壁に気付く。裏に回ると、新しい木造建築の大宝蔵院の、朝日を浴びて輝く金色のてっぺんにカラスが一羽。なぜか印象的。これが八咫烏(やたがらす)やったら、エエなぁ。
安堵町の集落のなかを抜けて飛鳥川沿いから今井町を経て明日香へ。法隆寺から明日香に向かう道筋と集落と田畑とそれを取り囲む山々の光景が、とっても奈良を感じる。というか大和を感じる。かつての大和の集落は豊かだな。瓦屋根と漆喰。白い蔵がにょきっとあって。堀もあったりし。特に今井から明日香に向かう雰囲気は、毎回、独特のテンションになる。今井町で珈琲飲んで休憩。長い年月かけて、ゆっくりと、ちょっとづつ集落が改修されていく持続性がエエのだろう。それにしても随所で写真を撮ろうとおもうが、なんか、うまく自転車を停止できない。きっとiPhoneに頼っているからだな。こんな感じで自転車に乗る時は、一眼レフカメラを持ち歩いた方が良いような気がする。なんとなく。しらんけど。
明日香で「石」と「棚田」と「古墳」をみる。明日香で気になるいつもの同じパターン。御所を経由し、たまたま空いてたお店でカレーを食べた。万年筆の製造工場をカフェバーに改装したそうだ。なんとなくマスターに、うちの生野区小路の近くにあって、リフォーム工事にも携わっていた、手造り万年筆のカトウ製作所カンパニーの話をしたら、いまや貴重だから大切に置いてくださいねって。そういえば、応接室にあって、契約の時に使ってもらっていたのに、最近見当たらない…..。
御所から竹ノ内峠を越え竹之内街道を下り家に辿り着こうとした、1.5km手前で、アルテグラのクランクが折れた。こんなコトある? 手で押したり片足で漕いだりしながら、無事辿り着いた。どうやら一体成形でなく接着らしい。おそらく、自転車漕ぎ終わって、飛び散る汗を丁寧に拭き取らないのが、原因かもしれない。予兆はあって、昨年あたりから、時どき異音はして、特にこのライド後半はヘンな音が右のクランクから鳴っていた。建築でも一緒だな。微妙な変化は、何かの予兆なのだ。でもなんとなく、そのままにするコトが多い。
想定以上に疲労困憊で、ウチの生活に慣れきった心身だったが、やっぱりソトはソトでエエですね。さまざまな印象と遭遇し、その印象で満腹になった、緊急事態宣言解除の日曜日。なのだ。