緊急事態宣言下のカイシャとイエ
雨がしとしと降る「緊急事態宣言」が発令された日曜日。今年の桜は、晴天の満開の桜より、雨が降り、散っていく姿が、とっても心に染みる。
人と出会う縁側である「まちのえんがわ」は、人との距離感を保ち、会話を極力避けるのが、社会的に求められているコトなので、4月7日から5月6日まで臨時休業することにした。4月全てのワークショップも中止にした。それでも土曜日だけはONLINE「まちのえんがわ」を10時から17時までオープンすることにしている。木村工務店では、土曜日の現場は一斉に休むことにして、平日はできるだけ在宅勤務にし、お施主さんとの打ち合わせも可能な限りONLINEで打ち合わせするコトにした。設計の打ち合わせは、ONLINEでも案外エエ感じで出来るので、興味のある方は、遠慮無くお申し付けください。
さて、今日の日曜日は、もう流石に朝からワイドショーを見る気が失せていた。雨も幸いし、テレビを付けずに、静かに過ごす。暫く前から大学が休校になりオンライン授業になっている次男が家に戻っている。一人住まいで食事のためにソトに出るのも気がひけるらしい。ウーバーイーツばかり食べて、バイトも出来ず、金欠に陥って、家に戻ってきた。食事が出てくるのがなによりも嬉しいと。奥方がなんだか張り切っている。ワタシひとりの時より確実に食事の質と量があがって、ついつい食べ過ぎてしまい、株価とは逆に体重は上り調子…..。
この日曜の朝は、家の中で、それぞれが、それぞれのスペースをみつけて、過ごしていた。一緒に集まるのは、食事をする時だけ、たまに居間でテレビを一緒に見るが、適当な時間だけ一緒に見て、一緒に笑って、適当な時間を見計らって、それぞれのスペースに移る。ネット社会になって、居間の過ごし方も大きく変化してきた。イエの中のあちらこちらの居場所に移動しながら、Ipadproで、設計プラン考えてみたり、新聞読んだり、YouTubeを見たり、Kindleで本読んだり、AmazonやWiggleで買い物したり、Bluetoothヘッドホンで音楽聴いたり。そうそう、これだけイエで過ごす時間が長くなると、皆が集まって、一緒に食事をする時間、食卓のテーブルを囲んで、あれやこれやと会話する時間が一番楽しいが、あれぇ、ひょっとして、いまや家の中でもマスクが必要なのかね。
こんなにイエに居る機会なんてめったにない。イエの居心地を考えるにはまたとないチャンスかもしれない。在宅勤務ができる1畳ほどのマイスペースがあると、茶室なんかも含めて極小の空間が、心の広がりをうみだすので、いまこそ必要な居場所かもしれない。
温熱環境的にも居心地の良さが求められている時代なので、断熱気密の性能値に加えて、換気なんていうのも、クローズアップされてきたようにおもう。ゆるやかな気流の24時間換気も居心地の良い温熱環境には必須だが、いま求められている「密閉空間」を避けるためには、機械換気だけでは不十分で、窓を開けて、室内の空気を入れ換えることが必要だと、日本建築学会などが緊急発表していた。ちょっと矛盾した表現だけど、風通しの良い家を造るためには気密の施工は大切だ。
三密を避けるためにも、居心地の良い家の設えとしても、半屋外の空間、縁側的な空間が必要なのかもしれない。そんな居場所で、寛いだり、食事をしたり、パソコンしたり、そういうウチとソトの繋がりがある建築的な設えも、心の広がりをうみだすのだとおもう。
5月6日のゴールデンウイーク明けまで長期戦だな。それぞれが家での過ごし方を楽しみ、模索しながら、それぞれの個性に応じた、長く過ごせる居心地の良い家を一緒に考えていきたいものだなぁ…..。