現場監督と職人さんとクラフトマンシップ
もう2月。1月は行く。ふと庭を眺めると、侘助(わびすけ)のピンクの花が開花し、ヤマドリも花目当てにやってきて楽しげなのに、数日のうちに土の上に落下しているピンクの花の姿が、いかにも侘しい。うちの家にとっては、それが、冬から春に移ろうとする兆しのようなもので、そろそろ白い梅が咲いて、3月にサンシュウの黄色い花が咲いて、さぁ桜はまだかいな。みたいな、花の季節感がはじまる。

奈良のリフォーム工事の現場を覗くと、ちょうど、フミノ棟梁とモリ大工が休憩中で、ホットコーヒーを煎れてくれた。シャチョウ、砂糖入れますかって、聞かれて、いらんわ。って応えたものの、飲んでみたら、ゴメン、やっぱり砂糖頂戴!と踵を返す。やっぱ現場の午後3時は、甘いのがエエよね。納まりの話とか、段取りが上手くいってるのぉとか、様子伺いして、頑張ってやぁ!と掛け声かけて、立ち去った。


そうそう、もうひとつの奈良のリフォーム工事の現場に立ち寄ると、サメジマ大工が黙々と作業中だった。足音も立てずに、そぉっと近づくと、ビックリしたぁっと、笑顔でこちらを振り向いた。こんな坂の上の静かな現場で、風の音とか、物音聴いたら、ちょっと怖いのよぉ。なんて。オフは、チョイ悪オヤジなはずなのに、カワイイコト言うので、こちらも悪態的にツッコもうとしたが、いやいや、いまの流行は、ペコパのノリ突っ込まない肯定する。なので、えっなにぉっ…..そうやな、ほんまにちょっと怖いわな。なんて、掛け合ってお互いに元気つけ合った。道具を片付けする自作の棚に、ミカンが3つ。こういうのが、カワイイ。


北巽のリゲッタ店舗工事の現場に行くと、ヒラボシ大工とオオニシ大工の20代大工コンビが作業中で、加工場で手加工した木組みが、現場で完成していて、どことなく嬉しそうな立ち居振る舞いだった。うちの若い大工さんは、ノミとかカンナを使って、手加工するのが楽しみだという。そういえば、23歳のオオニシ大工は、まだまだ修行中だが、現場から帰ってくると、毎晩のように加工場でカンナを研ぐ練習をしている姿に出会す。手加工できる現場を増やしてあげたいものだなぁ….


そういえば、28歳のヒラボシ大工が棟梁として小屋組を手加工し、シノダくんが現場監督をした、ヤベさん設計による、建築カメラマンのササクラくんの家が、イエタニさんが施工する外構のデッキ工事を残して、ほぼ完成し、器具説明と引き渡しをしたのが、今週のコトだった。さて、ここで、どんなライフスタイルが生まれるのか、ちょっと楽しみだなぁ…..。
建築の世界では、こういう職人気質というか、気取りのないクラフトマンシップの魅力は、どんどん薄らいでいく。それが商売繁盛に繋がる時代なのかどうかも疑問。ま、それはともかく、うちの大工さんや職人さんたちは、気取りのない、親切丁寧な、クラフトマンシップを持ち続けて欲しいものだな。とおもう。